電子書籍
彼女の体とその他の断片
著者 カルメン・マリア・マチャド , 小澤英実 , 小澤身和子 , 岸本佐知子 , 松田青子
「身体」を驚異的な手法で書き換える新しい文学、クィアでストレンジな女たちの物語! 全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他多数受賞、ニ...
彼女の体とその他の断片
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
彼女の体とその他の断片
商品説明
「身体」を驚異的な手法で書き換える新しい文学、クィアでストレンジな女たちの物語! 全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他多数受賞、ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に選出された今もっとも注目を浴びる作家の初短編を、豪華翻訳陣が邦訳!
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
ストレンジでフェミニンでクイア
2023/04/07 11:15
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストレンジでフェミニンでクイアでユーモラスで残酷な短編集。アンジェラ・カーターやケリー・リンクや小川洋子から影響を受け、カレン・ラッセルに支持される、というのはなんかもう、それだけでいいなあ、と。
ざっくりと言ってしまうと、テーマは身体とジェンダーということでいいのかな。「本物の女には体がある」という短編が、そのことをよく示している。この作品の中では、女性の間である種の病気が拡大している。身体が消えていくという症状だ。ほんとうに消えていく。だんだん透明になってなくなっていく。主人公たちレズビアンのカップルもこのことに直面する。そこには、元々この社会において、女性の体なんて最初からいなかったようにしか扱われない、という感覚があるのだろう。そうした悲しみがある。というか、体は当人の物になっていないというか。
「八口食べる」というのは、そもそもスタイルを維持するためにダイエットする、ということをデフォルメした話だ。自分の体であるにもかかわらず、社会が与える価値観にコントロールされている。
セックスは体と不可分だ。さまざまなセックスと性欲の処理がリスト化された「リスト」には、ただあきれてしまう。でもその多様性もまた、世界の1つの断面である。
「とりわけ凶悪」は、心地よいほどの社会に対する皮肉だ。アメリカのテレビドラマ「性犯罪捜査官」の12シーズン272話のタイトルにあらすじをつけただけの作品なのだが、もちろんそれらしく書いているものの、実際の話とはまるでちがう、らしい。主人公のステイブラーとベンソンという二人の捜査官は、クイアな事件に直面するだけじゃなく、BL的に接してみたり、いつのまにか性別が変わっていたり、マチャドのやりたいほうだいにいじられる。性犯罪そのものも問題なのだけれど、それをとりまく社会そのものが多様な性欲を抱えていて、それはそれでいいんだけど、認めろよな、という、そうした意味での凶悪さを指摘している。
マチャド自身もレズビアンで、妻がいる。社会の女性に対するミソジニーってあるけど、とりわけレズビアンにとっては居心地悪いだろうな、と思う。ということでは、最近読んだ、モニック・ウィティッグの「Across the acheron」も同様で、ここではガイドのマナとウィティッグによる地獄めぐりが描かれていたりする。ウィティッグもレズビアンで、フランスからアメリカに移住したのだけれど、ぼくが読んだ英訳はそのパートナーによるものだ。
気付くと女性の生きにくさが描かれた小説ばかり読んでいたな。偶然ではあるのだけど。
紙の本
心地よい混乱。
2020/09/01 17:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人称で語られる。語り手はほぼ女性、付き合う相手は男性だったり、女性だったり。異性であれ、同性であれ、恋に落ち、素敵な性行為をするのに差がない。読んでいる方は、あれ、と語り手を何度か確認する。そして別に好きになるのに性別を確かめなくてもいいじゃないという気になってくる。
規範の中でもがき、逸脱を試みる。そんな彼女たちの物語。