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美濃牛(講談社ノベルス)

美濃牛 (講談社ノベルス)

殊能 将之 (著)

  • 全体の評価 49件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,36539pt
  • 発行年月:2000.4
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商品説明- 「美濃牛」

「鬼の頭を切り落とし……」 あたかも伝承されたわらべ唄の如く、首なし死体に始まり、名門一族が次々と殺されていく。古今東西の書物から各節の冒頭に付された引用が謎を増幅させ、愉しませる。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「美濃牛」

殊能 将之

略歴
〈殊能将之〉1964年福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。「ハサミ男」で第13回メフィスト賞受賞。

ユーザーレビュー- 「美濃牛」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(9件)
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★★★★☆(4件)
★★★☆☆(2件)
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2002/03/10 08:23

サンプリング文学

投稿者:modern(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 近年、音楽の世界では「サンプリング」という言葉が流行した。これは何かと言うと、既存のレコードの良いところだけを抜き出して、組み合わせて、自分の新しい音楽にしてしまうという手法、つまりは「盗作」である。ただしその使い方が上手ければとても面白い音が出来上がるし、もちろん著作権で訴えられることもない。
 何故こんな話をしたかと言うと、この「美濃牛」という作品がまさにその「サンプリング」によって書かれた小説のように思うからだ。音のようにそのまま抜き出して並べるだけとはいかないが、思想的サンプリング、つまり引用した言葉からイメージを膨らませて、さまざまなオマージュと共に話を作っていく、という作り方がされているように思う。こんなことは卓越したセンスと膨大な知識量があって初めて出来ることである。脱帽、と言うしかない。

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2001/05/30 04:55

マイブームは石動戯作

投稿者:呑如来(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 傑作である。

 「2001本格ミステリ・ベスト10」で堂々の第5位に輝いている本作は、デビュー作とはまったく違った手法を採用し、舞台も都会ではなく、民話的で物語要素の濃い岐阜県の小さな集落になっている。

 各章の冒頭に掲げられた引用と、登場人物たちの語るさまざまな薀蓄は、作者の教養と知性をうかがわせ、読むものの知的好奇心も満足させてくれるし、この作品から登場する探偵石動戯作は、その魅力的なキャラクターで皆を愉快にさせる。私もすぐ好きになった。

 事件の謎解きもそうだが、俳句や歌のパロディ(これには大笑いしてしまった)、飛騨牛についての説明など、主要素でないところがとても楽しい。
 個人的には漱石に関する言及と引用、島尾敏雄、国木田独歩の引用などにテクストの快楽を味わった。

 哲学好き、純文学好きの人こそ読むべき作品である。

書評サイト「書を持って街へ出よう」はこちらです。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/10/11 20:31

辰巳四郎のデザインは、小説以上に痺れる

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

殊能の本の印象は強烈だ。作者の名前からも、強い男のイメージだが、辰巳四郎デザインのカバーが一層、異常感を煽る。しかし、内容は落ち着いた本格推理小説。その落差がいい。著者は1964年生まれの覆面作家、名古屋大の理科中退で、一時はかなり鳴らした人だそうだ。そろそろ覆面をとって欲しい気がするのは、私だけだろうか。

全体はプロローグとエピローグ、そして本編が四章。しかも、更に細かい区切り事に、牛に関する様々な文献からの引用が飾る体裁の作り。それが嫌味にならないのは作者が、透徹な平易な文章を心がけているからだろう。それでいて山奥の木の香りが全編に溢れる。作者が手本とするのが、巻頭の文章「岡山県に獄門島が存在しないように岐阜県に暮枝村は存在しない」で分かるように横溝正史。

癌を治す奇跡の泉発見で沸く岐阜県暮枝村、取材に出た天瀬と町田の前に、首の無い遺体が。名探偵 石動戯作が解き明かす連続殺人の謎。泉のある鍾乳洞や童歌は『八つ墓村』、句会は『獄門島』、そして登場する名探偵 石動戯作は金田一耕助と、全編横溝に捧げられた本と言っていい。これが案外珍しい。小栗、夢野、乱歩、中井、久生などには今までもその独特の文体や世界に、支持者や模倣者が輩出してきた。ところが、同じ時期に復刻が進み読書界を席捲した横溝の簡潔でいて論理的な世界には、追随者がいなかった。

それは、解説にもあるように横溝の文が簡潔で平易であるために、論理の部分で誤魔化しが効かないせいかもしれない。この作品はそのハードルを見事にクリアしている。知らないうちに警察官に紛れ込んでは情報を聞き出し、最後に警察に頼られてしまう探偵石動の人懐こい性格、警察官の姫木や渡辺のユーモラスさ、ライターの天瀬の心が、心地よい。連続殺人の起こる羅堂家などは、もっと怪しく描いてもいいのだろうが、娘の窓音も含めておどろおどろしさがない。句会もだが、村長と友人の凸凹コンビ振りも微笑を誘う。推理小説にしては全編を優しさが貫いていて、ふうわりとした気分。しかも論理的。傑作へあと一歩。

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2001/11/10 22:06

「はさみ男」に続く作品としてふさわしいものです。不思議な幕が何重にも巡らされた可不可の視界が彼独特の世界を醸し出しています。

投稿者:kawasemi(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 岐阜県の田舎で起きた、奇跡の泉騒動の取材を押しつけられた記者が、そこでさらに起きた連続殺人事件に巻き込まれていく。二転、三転する展開に、読み出すと引き込まれて途中で離せなくなる面白さです。読むときは十分な読むための時間と、読み返すための時間とを確保して読みましょう。


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2001/07/15 17:57

田舎には不似合いな秘密

投稿者:くろこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 前作とは全くの別シリーズの第一作であり、新キャラクターの探偵が登場する。前回でみせた迫り来る様な心理描写やサイコスリラーの姿は影を潜め、どちらかといえば、旅情ミステリーの様である。里にはあまりにも不似合いな殺人事件、怪しい人々。前作よりも勢いがないなどと侮るなかれ。あちこちにある細かい仕掛けが話をひっくり返し、思いもよらない事実を引き出す。これだけ違った作品を魅せる著者の今後が、とても気になる。

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2001/03/07 20:02

<遅配>される真相

投稿者:コリー(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「ハサミ男」にて鮮烈なるデビューを遂げたメフィスト賞作家の第2長編。筆力、人物描写、全体の構成、といった小説の基礎部分は相変わらず高い完成度を誇っている。横溝作品を彷彿とさせる村落において起こる殺人事件の数々。名探偵石動戯作がこれらを解決していく手際は、意外にオーソドックスだ。しかしラストにおいて、この名探偵の存在意義は見事に否定されている。前作同様、真相は<遅配>され、正義の側は敗北するシステムになっているのだ。法月氏も短編において「真相の<遅配>パターン」を多用しているが、殊能氏のそれはよりラディカルで底意地の悪いものである。殊能氏の本格ミステリに対するアンビヴァレントな感情は、次作「黒い仏」において全面的に開花することとなる。

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2001/09/01 01:20

出てくる料理が◎

投稿者:marikun(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 う〜ん、相変わらず評価が難しい小説です。などと言いながら1週間で、既刊をすべて読破。読ませる力があるんですよね、殊能さんて…。
 3冊のなかでは、これが一番読みやすいです。出てくる料理がとてもおいしそう。飛騨牛には、ちょっと手が届かないから、卵チャーハンカレーは作って食べてみたいと思います。
 文章の凝り方は、とてもイイです(特に前半部分)。事件が収束に向かい、謎解きの部分になると失速する感はありますが…。特に私が気に入ったのは『ここではないどこかを求め、自分ではない誰かになりたがる者は、つねに裏切られる。どこに行ってもそれは「ここ」でしかないし、自分以外の人間にはなれないからだ。』という一文。真実だな〜と思いましたね。
 この本には解説が付いていて、川崎賢子さんという人が解説をしているのですが、とても思わせぶりな書き方をしていて、妙に気になります。殊能さんって覆面作家だったんですね。

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2001/01/15 13:35

美濃牛を読んで

投稿者:ユウ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ハサミ男で鮮烈なデビューをはたした殊能将之の第2作目の今回は、名門一族がその地に伝わるわらべ唄の歌詞にならうかのように次々と殺されていくという話。
 1作目に比べて驚くような仕掛けはないものの安定した面白さのある良作になっている。

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2002/02/22 13:29

コメディーかも?

投稿者:すずき(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 期待して読むと作品の良さが半減するので、期待してはいけないと思いつつも前作のハサミ男が面白かったので、期待せずにはいられなかった作品です。ミステリーとしてはハサミ男のほうが好きですが、でも、美濃牛は軽快なタッチで描かれてあって、面白かった。
 これはコメディー? 通勤電車の中で思わず笑ってしまった。この著者は綾辻行人が好きなのか、事件にまきこまれる登場人物の心理描写が似た感じがしました。ただ、すこし唐突なのがひっかかりました。ちょっと中途半端な感じをうけました。でも、次作を楽しみにしたい作家の一人であることにはかわらない。

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