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商品説明
オウム真理教の信者・荒木浩の動向を中心に、「オウムの中から外を見る」という視点で撮影されたドキュメンタリー「A」。13カ月におよぶ撮影の記録と、オウム施設で過ごした日々に直視した信者たちの生の姿を克明に綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森 達也
- 略歴
- 〈森達也〉1956年生まれ。テレビ番組制作会社で、小人プロレスラー、超能力者などをテーマにしたドキュメンタリー番組の演出を手がける。現在、フリーランスのディレクター。
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紙の本
まっさらな媒体
2000/09/13 01:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Betty - この投稿者のレビュー一覧を見る
オウムの内側から外側を見るっていうコンセプトで撮影された荒木広報部長のドキュメンタリーの、ディレクター(後にカメラマン兼ねる)の日記の形式をとったノンフィクション。
自分をマッさらな(といっても限界はあるけど)媒体として何事かを捉えていく姿勢が感じられて、そういうのは好きです。
ある意味、「青臭い」といえるのかもしれないけれど。私もたぶん、そんなふうにしか生きられないし。スゴク心と身体に沁みた一冊になりました。
紙の本
ここから見るか、向こうから見るか、上から見るか
2000/08/31 05:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ユヴスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
オウム真理教に対する強制捜査からまだ間もない頃。オウムに対して真っ正面からドキュメンタリーを撮らしてくれと言ったら、果たして彼らは許可してくれただろうか? 普通は絶対にムリと考えるだろう。だが、著者であるTVディレクター・森は、彼が普段からドキュメンタリーを撮るときのように当たり前にオウムに手紙を書き、許可を求めた。そしてオウムの広報部長・荒木はそれを許した。そこから2年以上を経て完成したフィルムは「A」と名付けられた。
このフィルムに移っているもの。信者に詰め寄る取材陣。立ち並ぶ警官。ヘッドギアをかぶる信者。怒鳴り声を上げるTVカメラマン。自から転び信者を公務執行妨害で逮捕する公安。家族を否定しながら家族を心配する信者。記者クラブの既得権にかじりつく新聞記者。オウムに人権はないとののしる通行人。歓談する信者たち。残念ながら私は「A」を未見なため、ここに上げた例はほんの一部に過ぎないだろう。
そしておそらくそのフィルムには映っていないものもある。オウム信者と警察とマスコミの後ろから、または中からカメラを回し続けた森自身が、常に感じ続けた違和感だ。その違和感は、何となくは理解できる。しかし、詳しく説明しろと言われると難しい。かろうじてキーワードにすると「民主主義」「人権」「法律」「日本の民度」「個人の価値観」などと、安っぽい言葉が並んでしまう。だが、これが現実なのだろう。
残念ながら、現時点では「A」を簡単には見ることは出来ない。表のメディアではけっして流れず、たまに各地で細々と行われる上映会を待つしかない。だけど、これが表のメディアで見られるようになったとき、その違和感が多少なりとも減っていることが期待できるのではないか。そんなかすかな希望が、絶望の中にかいま見える本だ。