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やまんばのにしき

  • 出版社:ポプラ社
  • サイズ:27cm/1冊
  • 利用対象:幼児
  • ISBN:4-591-00375-2

やまんばのにしき (むかしむかし絵本)

まつたに みよこ (ぶん), せがわ やすお (え)

  • 全体の評価 42件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,05030pt
  • 発行年月:1967.5
  • 発送可能日:24時間
  • 絵本

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ユーザーレビュー- 「やまんばのにしき」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/03/08 01:24

―これからもたくさんの子供たちに瀬川康男の世界を―

投稿者:レム(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

  おそらく多くの方が、それぞれに瀬川康男氏の挿絵の絵本を思い起こされることだろう。 個人的な事で恐縮だが、瀬川氏の挿絵と言えば私はこの本を思い出す。 文は、幾多の作品でコンビを組んだ松谷みよ子氏の手による。 本書の文体には、むかし話としての物語性の他に、人としての素直な気持ちや善なるもののあり方が秘められている。 村人に切り分けても切り分けても無くなることのない「やまんばのにしき」は、「あかざばんば」への単なる褒賞ではなく、金品に換えることのできない誠意、親切、優しさの象徴、つまり誰しもが心の内に持つ宝ものなのだろう。
   
  そして、瀬川氏の画風が物語を独特の視覚領域へと導いていく。 登場するものたちの風貌は、人間だけではなく動物達も虫達も一見飄々としている。 そうではあるのだが、その風貌からは、喜怒哀楽の様々な感情までもが読み取れるように思えるから不思議だ。 そして影や空間に満ちた緊張感。 正直なことを言うと、本書を手にした当初は、時としてその挿絵に若干おどろおどろしい印象を感じることがなきにしもあらずであった。 特に、普段は強がりを言って威張りちらしている「だだはち、ねぎそべ」の二人が、いざ大役をという時になって大嵐に襲われ、顔面蒼白、恐れをなして脱兎のごとく「ちょうふくやま」から逃げ帰る場面などは、何だか見ているのが怖かった。 しかしやがて、この絵の魅力に飲み込まれていき、気がつくと、知らないうちに瀬川氏の挿絵の絵本が書棚に増えていた。
   
  やまんば(あるいは「山姥」)は、二面性を持つ存在だ。 ひとつは、頭には角が生え、口は耳まで裂けていて、山道に迷った旅人を頭から喰い殺してしまう恐ろしい妖怪としての存在、そしてもうひとつは母性愛に満ち、雨の恵みや幸福をもたらす山の神のような存在である(そういえば、足柄山の金太郎は山姥から生まれたとされている)。 そういった二面性には、どことなく鬼子母神を感じさせるところもある。 本書では、これを間接的に表すように「ちょうふくやま」も二面性をもって表わされている。 物語は、暗雲たちこめる「ちょうふくやま」の山頂の説明から始まるのだが、終わりに描かれているのは、月が煌々と照る「ちょうふくやま」の麓の、のどかな村の風景である。 瀬川氏の絵は、当初の神格化された自然の摂理に対してなすすべのない恐怖や緊張間から親しみを込めた畏敬の念への変化を表現しているかのようだ。
   
  瀬川氏は、独学を重ねて絵を学んだのだそうである。 その画風は、真っ白なキャンバスに色を置いていく作品とは異なった印象を受ける。 例えるなら、漆喰の白壁の世界ではなく、温かみを感じる農家の土壁の世界といったところだろうか。 しかも、歴史のある民家に見られるように、 所々 ひび割れた箇所から藁の繊維や竹が少しだけのぞいている。 実際、瀬川氏は、アクリル絵の具にガッシュを重ね、色がはじき出される効果を活かすことがあったのだという。 空間にみなぎる一種の緊張感は、そのような技法からも生み出されているのだろう。
  
  大変惜しいことに、この二月に瀬川氏の訃報に接した。 だが、瀬川氏の紡ぎだした「にしき」である絵本の数々は、これからも尽きることなくたくさんの子供たちに読み継がれていくことだろう。

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2000/10/27 12:49

切っても切ってもたえない宝の布

投稿者:望月新三郎(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「あたし そんなに怖いかなあ 昨日も、やまんばっていわれたのよ!」いくらか甘えた声でいう。こんなとき作家、松谷みよ子の素顔をかいまみた感じだ。やまんばというと、大人も子どもも怖いというイメージが先たつ。なぜだろう。だって追いか けてきて、牛までバリバリ食べちゃうじゃん。そうよ。「うまそうな体をしているぞ」なんて、人を食べようとするからよ。なるほど、なるほど。やまんばは、恐ろしい。怖いという人が多い。

 さてこのお話はどうだろう。ある日、村の者たちが、月見を楽しんでいたら、にわかに曇ってきて、風がごうと吹いてきたと思ったら空からー「ちょうふくやまのやまんばがこどもをうんだで、もちついてこう。ついてこねば、人も、うまも、みんなくいころすどお。」ーと叫ぶ声がした。村の者は、みんな青い顔をして、村中から米を集めて餅をついて桶に入れた。さて、誰が餅をやまんばのところへ持っていくか相談。その結果いつも村であばれんぼうで、いばっている、だだばちとねぎそべに行ってもらうことになった。

 二人は、いつもいばりちらしているものだから、いやだとは言えず、しかたなく行くことになってね。案内する人には、あかざばんばが決まった。険しい山を登って行くと、すごい風が吹きつけてくる。木の根っこに、しがみついて、風の止むのを待って、あかざばんばが、ふり向いたら餅の桶が重ねてあるきりで、二人は逃げていなくなってしまった。ここで正義の味方、あかざばんばは、村のためと思って頑張りぬいて、やまんばの家を訪ねる。餅は。途中に置いてきたというと、生まれたばかりの赤ん坊に取りにいかせた。さすが、やまんばの子どもの「がら」という子どもは、たちまち風のように出かけていって餅を持ってきた。するとやまんばは、くまのすまし汁を作って食べるからってくまをとってこいという。がらは、たちまち、くまをとってきた。いや!くまのすまし汁なんてうまそうだな。見開きいっぱいの絵を見ていると、食べたくなっちゃう。やまんばは、あかざばんばに。手伝ってくれた御礼にと、それはそれは素敵な、にしきの布を一ぴきくれた。このにしきは、ふしぎなにしきで沢山の人にあげてもまた翌日にはまた布になっている。

 切っても切ってもでてくる布をもらったあかざばんばの勇気はすごい。このやまんばはみんな怖くないよ。大好きになれるやまんばだよ。手まねきをしてるよ。読んでね。

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