紙の本
もどかしい、欺瞞
2002/02/08 20:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ユカリタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
血なまぐさい香りが漂ってくる。いやらしく、隠微なのだけど、なんだか途中で気持ち悪くなってくる。それは、性のことを赤裸々に綴っているからというよりはむしろ互いの策略がうっとおしく、小細工じみてもどかしいからかもしれない。
たしかに10数年前はそういう時代だった。結婚初夜まで処女でいなければならない、という。村上春樹の短編に、婚約者と結婚して処女を失ってからだったらあなたとセックスしてあげるけどそれまでは絶対に駄目、結婚してから会いに来て、というのがあったけどまさしくそういう風潮があった。この作品では、女はそれにこだわって、身体を合わせるけどセックスはしない、つまり素股による擬似性交をし、男は今の既婚者としての生活を守るため、あるいは責任逃れのため、これを続けていく。不安定で作り物めいた関係。
今では想像できないけれど。そこから、この作品全体に漂う暗さ、隠微さが生産されている気がする。因みにこの作品は10数年前に映画化され、桃井かおりと伊丹十三主演で話題となった。
投稿元:
レビューを見る
06 12/23
吉行淳之介って思ったより現代の作家なんだね。最近の感覚で読んだ。
平易だけど難解な感じだった。
投稿元:
レビューを見る
自分の人生と“処女”の扱いに戸惑う22歳の杉子に対して、中年男の佐々の怖れと好奇心が揺れる。二人の奇妙な肉体関係を描き出す。第31回 野間文芸賞
投稿元:
レビューを見る
主な登場人物は
22歳処女の杉子と、
現代的にいえばチョイ悪な中年の佐々。
ふたりのねじれた肉体関係。
印象に残ったのは、
杉子とのお食事中に、
佐々がレストランのテーブルに
外国のエロ写真をばさっと広げるところ。
「まあ、いやだわ…」
と恥ずかしがりながらも
エロ写真収集癖のある杉子は
思わずじっと見入ってしまう、
というシーン。
杉子の伏せたまつげやその目線、
赤く染まった耳やくちびるを見て
佐々はたまらなかっただろうなと思う。
全体にただよう、
とらえどころなく薄気味悪く
ねっとり、ぬらりと
粘度の高い、濃密ないやらしさ。
こういうの、好き。
投稿元:
レビューを見る
5/11
行間からたちこめるエロス。
物語が男女の関係を描いているということとは無関係に、匂い立つものがある。
投稿元:
レビューを見る
この年齢特有の気楽さやしたたかさのある杉子と、この年齢特有の欲望とずるさを持つ佐々の微妙な駆け引き。
簡潔な文章の間に、濃密な官能の空気が漂う。
投稿元:
レビューを見る
技巧的な恋愛だな――というのが、第一印象。主人公の佐々さんは、腹立たしいくらい安定しているように見える。飄々と不倫するの。もうちょっと翻弄させてやりたい反面、この手の男性が魅力的に映るあたり、私もクチバシが黄色いよなあ、って。
そんなふうに、主人公はノンシャランな男性っぽく私の目には映るけど、男性の読者がこの小説を見て、佐々さんが翻弄されてるだとか不安定な部分あるだとか、垣間見えたりするのかな。そして、22歳で処女の杉子がどう見えるんだろう。女性経験豊富な大人の男性にぜひ問いたいところ。
だって、私はどうしても杉子目線で読んでしまいます。
佐々さんじゃないと杉子の相手が務まらない感は、ある。でも、杉子じゃないと佐々さんの相手が務まらないっていう雰囲気は感じ取れなくて、それが非常にもどかしい。
結局のところ、杉子では佐々さんに脅威を与えることができない。できていない。ただ、杉子もいろいろと技巧的ではあると思うんだ。でも、それが見えないところが、とても良いと感じた。
投稿元:
レビューを見る
感想を書こうと思っているうちに時間が経ってしまった小説。
中学生の頃、この作者の「砂の上の植物群」を読んで衝撃を受けた。隠れて読んでいた兄のフランス書院よりエロい。というか中学校の図書室に置いていいのか。不思議で綺麗でどこかおどろおどろしい性描写をする。その上、タイトルがものすごくセンスが良い。等と色々な感想を持った。
自分ももう大人と言われる歳だし、あの衝撃をもう一度感じてみたいし、この人の作品を全て読んでみようか。と思ってこの作品を手に取ったが、ちょっと失敗した。
時代が古いか、作者と私の感覚に隔たりがあるせいか、この作品のテーマとそりが合わないのか、主人公の恋人?の貞操感についていけない。よって、挿入を拒む恋人?にイライラしてしまう。主人公の性格もその恋人の性格も個人的に嫌い。
それでも最後まで読めたのは、文章が上手いから。もちろん作家たる人文章は皆上手でなければいけない(と昔大学のゼミの先生がおっしゃっていた)のだが、好みの文章だ。
とりあえず新年を迎えたことだし、なんとなく手を出さないでいたこの人のほかの本を呼んでみようと思う。
投稿元:
レビューを見る
難しい‼本の厚みだけで云ったら薄っぺらいのに、濃厚な話しだった。解説に卑語が飛び交っていたもんで、どんな内容か不安だった為レビューを読んだらまぁ賛否両論!これはやっちまったかも…と思ったけど、あたしはドンピシャに好きな感じだった。文体もモヤーッとした2人の関係も描写も。杉子も遊びだったのかと思ったけれど、結局佐々と一緒になりたかったのねぇ…女ってねぇ……困ったもんだよねぇ…。
投稿元:
レビューを見る
あんにゅい。
変なおっさんと、尻軽女(処女―それ以外はなんでもする)のお話。
何も起こらない。いや、正確にいうと途中で女が処女じゃなくなるんだけども、それは話のなかえではどうでもいいことらしい。あっさり描写、てか、見逃したくらいだ。
それにつけても、作者は男である。
この一つも素敵なところのない男と不倫までして恋する必要性が一切感じられない。女の書く不倫小説に出てくる不倫男の多くは魅力的である。こいつなら、しゃーねーな、と思わせる男である。でも、この遊び人の描いた男には一抹の魅力も感じられないからこそ、この小説の意味があるように感じた。
つまり、何も起こらない。ということ。
昭和の香りがこの作品に魅力を与えている。これが、現代だったら…援助交際ものか?
投稿元:
レビューを見る
初吉行淳之介。こういう作風の人だと知らなかったのでびっくり。全体的に淡くて人物の描写も少ないのがいい感じ。
投稿元:
レビューを見る
大人の狡猾ないやらしさに満ちているのに、絶妙に嫌悪にまで達しない。だから読み返しちゃう。ほんとにつくづくいやらしい作品です。
投稿元:
レビューを見る
http://s.ameblo.jp/call-it-stormy-monday/entry-11834714753.html
投稿元:
レビューを見る
意味不明…文章力とか以前に、しょーもない。
とてつもない嫌悪を感じる、ということは、一方で箸にも棒にもかからないものとは違って、技術は高い。
だからこそおしい、話自体どうでもいい、なぜこれを書いたのか、誰が喜ぶのか分からない。勝手にしろ、という感じ。時代的なものなんだろうか、当時はセンセーショナルでおしゃれに見えたのか、信じられない。
たぶん作者と同じ男だから感じるんだけど、女をもてあそぶ男が嫌い。あ、なんだ、結局そういう理由か。これはおれ自身だからか。
投稿元:
レビューを見る
セックス以外の性行為を中年男に許す処女について話が進む。オリーブオイルでの素股など性的に技巧を持つ処女というのも悪くないが、これといったとらえどころが表現しようがない作品である。