コルドバの女豹 (講談社文庫)
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- 税込価格:600円(17pt)
- 発行年月:1986.9
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収録作品一覧- 「コルドバの女豹」
| 暗殺者グラナダに死す | ||
|---|---|---|
| コルドバの女豹 | ||
| グラン・ビアの陰謀 |
ユーザーレビュー- 「コルドバの女豹」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/12/01 00:04
めくるめくスペイン諜報戦
投稿者:tujigiri(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
1980年代、フランコ体制から民主制に移行して間もないスペインの地を舞台に、極左勢力や極右勢力入り交じっての複雑な諜報合戦を描いた短篇集。
イラク戦役に加担したアスナール政権の総辞職を呼び込んだ、スペイン列車爆破事件で一躍日本でも名を馳せたテロ組織ETA (バスク祖国と自由)や、フランコ体制の復古を狙う軍部勢力などが狡知を振り絞って暗闘する表題作をはじめ、フランコ体制に加担した悪人を処刑する謎の男エル・ガローテをめぐる謀略を描く「「暗殺者グラナダに死す」や、スペインのNATO加盟を阻むべくソ連から仕掛けられる薬物テロに立ち向かう日本人医師たちが活躍する「赤い熱気球」、さすらいのギタリスト柏木亮が反乱首謀者の略取合戦に巻き込まれる「サント・ドミンゴの怒り」など、いずれもハードボイルドロマンあふれる秀作揃い。
これは拾い物だ。
スペインといえば目下世界最高峰とも称されるサッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ」が有名だが、反面ナショナルチームはその優れたポテンシャルのわりに大舞台で結果を残せず、サッカーファンをいつもやきもきさせるのだが、その背景には国と地方の大きな乖離がある。
ETAのバスクもそうだが、もともと違う歴史を持った異民族がひとつの国家に統合されていく過程で抑圧が発生し、多重な断層が生み出されているのだ。スペイン人である前にバスク人である、といった強烈なアイデンティティが心情的な一体感を阻害する。そのエアポケットを力点に各勢力がそれぞれの正義を掲げて争うのだから、本書の短編群は実は相当に根深いものを描いているのだ。
作中でも、テロリストが日本人主人公に向かって「単一民族の日本人にはわからない」と叫ぶシーンがあって(今ではこれも古い考え方だが)、なかなかに示唆深い。
現代スペイン史を垣間見れる、読み応え十分の短編集。







