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ユーザーレビュー- 「漱石書簡集」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/07/27 14:58
誠実な思いと真摯な言葉
投稿者:呑如来(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
漱石ほど真摯に人と人との関係や国の将来を考えている小説家は現在の日本ではどこにも見当たらない。一般人の間でも"癒し"がブームになって以来、「ダメな自分もそのままでいいんだ」という妙な開き直りが横行してしまい、自分自身を客観的に分析し、悪いところは改善していこうとする克己心すら失われているようだ。
そんなとき、漱石の残した言葉を読むと、本当の意味での優しさとにふっと手を触れられたような感じがして、心が洗われる。
気に入らない事、癪に触る事、憤慨すべき事は塵芥のごとく沢山あります。
それを清めることは人間の力で出来ません。それと戦うよりも、それを赦すことが人間
として立派なものならば、出来るだけそちらの方の修養をお互いにしたいと思います
が、どうでしょう。私は年に合わせて気の若い方ですが、近来ようやくそっちの方角に
足を向け出しました。
(大正四年六月十五日付・武者小路実篤宛て書簡)
このような言葉の深さは、いつの時代になっても変わることはないだろう。







