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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1989
  • 出版社: 早川書房
  • レーベル: ハヤカワ文庫 SF
  • サイズ:16cm/446p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-010100-0
文庫

紙の本

デューン砂漠の救世主 改訂版 (ハヤカワ文庫 SF)

著者 フランク・ハーバート (著),矢野 徹 (訳)

デューン砂漠の救世主 改訂版 (ハヤカワ文庫 SF)

税込 946 8pt

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みんなのレビュー10件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (6件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

前作以上の手強さですが、こたえられません

2003/09/27 01:57

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作「デューン 砂の惑星」とほぼ同時に日本で
出版されたので、死にそうになりながら読破しました。
初読は小学生の時です。
その時は「こんなコムヅカシイ本はゴメンだ!」と
思っていましたが、映画を見た後に再読し、映画も
再見して納得のいった作品です。

ポウルが権力を握り恒星間帝国の玉座に着いて
12年…
いまベネ・ゲセリット結社、宇宙協会、
ベネ・トライラックスの顔の踊り手たち
旧勢力は糾合してムアドディブ皇帝に対する陰謀を
たくらみ、アラキスの宮廷めざし、ひそかにその
恐るべき策略の手を伸ばし始めていた。
フレーメン内部の裏切り,名義上の皇妃イルーランの
暗躍、そして死から甦らせられ彼を殺すよう訓練された
〈ゴーラ〉ダンカン・アイダホの登場…
だがすべてを予見したポウルは、全人類の平安な
未来におのれの愛を、おのれの肉体を捧げる決意を
固め、ここに物語は偉大なる悲劇となって読者を
思いもかけぬ衝撃の結末へといざなう!
(初版巻頭解説より)

前作の「砂の惑星」よりも権謀術数の度合いが増し
隠喩と指示語の嵐です。
ポウル・ムアドディブの予知能力もイメージでしか
表現されていません。
それが何を意味する予見なのか、読者が判断せねば
ならないんです。
前作は何とか勢いで読了したんですが、この作品は
小学生には無謀でした。

前作の映画の最初に出てくるイルーラン姫のナレーションは
この作品の結末を意味していたんですね。
私には映画のイメージを借りて理解できたようです。
これだけ難解な作品ですから読んだ方によって
解釈は大きく違うでしょう。
しかし、SFマインドは感じられるはずです。
SF者にとって読了後の満足感はこたえられません。

ちなみに映画のラストシーンでポウルの予知した
イメージや妹エイリアのナレーションは、
3作目の「デューン 砂丘の子供たち」4作目の
「デューン 砂漠の神皇帝」につながっていきます。
文庫本で10冊分です。
2時間の映画になるわけがないですね(笑
この作品に挑戦したリンチ監督はえらいと思ってます。

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紙の本

盲目の皇帝が砂漠に去っていく姿にオイディプスの姿が重なります

2005/09/19 18:52

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作より12年が経過し、ポウルが皇帝として君臨する世界が舞台となります。デューン世界で12年という時間が1人の皇帝が君臨する時間として長いのか短いのかよくわかりませんが、エイリアが幼い女の子から女性に変わるくらいの時間ですから、きっと様々なことがあったのでしょう。前作の終わりでイルーランと政略結婚をすることを匂わせていますが、政略結婚だけで世界に君臨できるわけではありません。「聖戦」と呼ばれるフレーメンとアトレイデ家の兵士による侵略(?)戦争も一役を買っているはずです。ですが、そのあたりは登場人物の会話の中で語られるだけで、物語としては現れてきません。
そして、本作で語られるのはイルーランと教母に代表されるベネ・ゲセリット、恒星間航行を管理する協会、新たに登場したベネ・トライラックスによる陰謀と、それを知りつつ回避させようとするポウルの行動の数々です。それぞれの語りが多く、終わりには悲劇が訪れるのだということはわかるのですが、登場人物の動きがなかなかイメージできないまま進んでいきます。
解説等を読むと悲劇であることや、救世主の物語であること、さらに創造主の物語であったり、エコロジーが語られていたりして様々な読み方ができそうなのがわかりますが、私はやはり悲劇として読んでしまいたいと改めて思いました。
実は、特にこの『砂漠の救世主』は、ギリシア悲劇『オイディプス王』に通じるものがあるように思います。『オイディプス王』では、神託に抗おうとして結局従わざるを得なかったオイディプスが自らの目を抉り取り、いずことなく消えていくという終わり方をします。本作のポウルもまた、予言、予知に抗おうとしてむしろ予言、予知を成就させることによって自分の永遠性を獲得していずことなく消えていくではありませんか。
もちろんこれは、『デューン』を読む時の1つの見方であるに過ぎないのでしょうが、この見方に気づいた時にむしろそれまで難解だった物語がすっと入ってくるように感じたのです。
物語は永遠性を獲得しながら姿を失ったポウルから、その子どもたちの話へと移っていきます。『オイディプス王』に見られたような親子の物語が、『デューン』でもくり返されるのか、期待しながら読んでみたいと思います。

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2012/08/26 16:41

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2013/01/10 22:46

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2014/01/26 16:26

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2022/01/15 21:09

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2022/01/13 23:06

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2021/11/18 09:15

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2024/03/04 17:16

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