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楢山節考 改版

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:16cm/194p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-113601-7

楢山節考 改版 (新潮文庫)

深沢 七郎 (著)

  • 全体の評価 44件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:42012pt
  • 発行年月:1989
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「楢山節考 改版」

お姥捨てるか裏山へ、裏じゃ蟹でも這って来る。雪の楢山へ欣然と死に赴く老母おりんを、孝行息子辰平は胸のはりさける思いで背板に乗せて捨てにゆく。残酷であってもそれは貧しい部落の掟なのだ—因習に閉ざされた棄老伝説を、近代的な小説にまで昇華させた『楢山節考』。ほかに『月のアペニン山』『東京のプリンスたち』『白鳥の死』の3編を収める。【「BOOK」データベースの商品解説】

ユーザーレビュー- 「楢山節考 改版」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(4件)
★★★★★(2件)
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7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/12/03 23:15

姥捨山

投稿者:marekuro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

深沢七郎氏の短篇集です。
収録作品は収録順に

・月のアペニン山
・楢山節考
・東京のプリンスたち
・白鳥の死
となります。どの作品もひと癖あり読み応えのある作品でありますが
本書評においては、表題作である『楢山節考』を中心に書きます。

大変に有名な物語ですが概略を述べるなら以下のようになると思います。

信州のとある寒村では70歳に近づくと、楢山という所へ
楢山参りと称して、人を置いて(捨てて)くる風習がある。
とある一家とその家の70歳になる、「おりん」という女性が
山に行くまでの話。

となります。いわゆる”姥捨山”の物語です。
今日的な価値観で、物語を眺めると
大変な悪習であると思いますし事実、そうだと思います。

しかし、老人を捨てるのには理由があります。
作中では、おりんの息子である辰平が、息子を叱る際に

      「バカ野郎!めしを食わせねえぞ!」
      (p47)
と怒鳴ります。
それは悪態のように使われる言葉であったそうです。
では、なぜそのような言葉が悪態になるのか?
答えは簡単で食料事情が悪いからです。

作中に出てくる盆踊り歌に

      おらの父っちゃん身持ちの悪さ
      三日病んだらまんま炊いた

とあります。どうやら贅沢を戒める歌だそうですが
病気の時に白米を食べるのが贅沢で極道者だとか馬鹿者だと
罵られるそうです。

この盆踊り歌からも、食料事情の悪さが伺えます。
その他にも晩婚を奨励した歌で

       三十すぎてもおそくはねえぞ
       一人ふえれば倍になる

という歌もあったようで、「倍になる」というのは
もちろん、食い扶持の事です。

作中には他にも驚くような記述がありました。
それは、高齢者が自分の歯をしっかりと保って
いることは恥である。という文化です。
作中に登場する、おりんは健康な歯があることが
悩みの種で、自らの歯を石で叩き折ります。

また、曾孫を見るまで長生きした女性は
「ひきずり女」と呼ばれて蔑まれたそうです。
食料事情の悪い村では曾孫を見るという事は
多産や早熟のものが3代続いたことになって嘲笑される
とあります。

これらのエピソードの根底にも食料事情の悪さが
共通してあります。

そのような事情から、山に高齢者を捨てるのは
口減らしのための悲しい風習で、見方を変えると
必要悪であったのだと思います。

作中にある信州は現在の長野県になりますが
このような悪習は信州に限らず、日本各地に
見られたそうです。

評者が学生だったころ、地方の老人施設でアルバイトを
したことがありました。
※介護保険施行よりかなり前です。
今では信じられない話かもしれませんが
高齢者の介護に学生アルバイトが入っていたのです。
もしかしたら、当時でも信じられない話だったのかも
しれません。

アルバイト初日、現場を案内してくれたベテランの看護師さんが
「ここは楢山節考の世界に近いから」と言っていました。
遊んでばかりの学生だった評者は当然、楢山節考など知るよしもありません。
ベテラン看護師の発言を民謡か何かだと勘違いした評者。
「なんだか趣きがありますね~」などとバカな相槌を打ちました。
看護師さんは表情にこそ出さなかったのですが、どのように感じた
のか?楢山節考の内容が内容なだけに
今、思い出しても恥ずかしくなる黒歴史の1ページです。

そんな評者も福祉専門職として働き出してかなりの年数が経過しました。
今の高齢者福祉の現状は、楢山節考の時代と比較すると、比較にならないほど
格段に進歩していると思いますが、やはり根底には
この「楢山節考」の思想が流れているのを感じることがあります。


読んでいて思ったことは、「姥捨て」として作品世界を見ただけでは
不十分で、テーマは非常に多面的だという事です。
死および死に望む姿勢、隣人、個人と集団、家族、掟
様々な見方が出来ます。
作中に出てくるような部落では、人よりも掟の方が優先される。
その怖さ。
または、泥棒を働いた家族を村総出で叩き出し、逆に略奪する
様子を描いている箇所では集団ヒステリーの怖さを知らされます。

本作は、ページ数の少なさもあって描写がシンプルです。
しかし、装飾の無いシンプルな描写だけに、リアリティをもって
物語の世界観を感じることが出来ます。
それはとても重く、ツラく、時に耐えがたい痛みとなって
読む人の感覚を刺激します。

わずか60ページ程の作品ですが、こんなに衝撃を与えてくれた
作品は久しぶりでした。

最近、評者の下に配属された20歳の部下に楢山節考を知っているか
尋ねたら「鰹節のメーカーですか?」と答えてくれました。
昔々の自分と再会したようで複雑な気分になりましたが
後日、彼の机に本書を置いておきました。
そんな彼は今、認知症高齢者の行動障害に振り回されながら
走り回っています。
彼がいつか、自分の部下に楢山節考を教える時には
もっと”老い”が肯定される世の中になっていて欲しい。
そう思います。



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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/08/02 00:33

しまつをつける

投稿者:muu(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「おりん」は自分の人生の終盤に、必要な仕事を片づけていく。
自分の葬式用の振る舞い酒、息子の嫁さがし、老人らしく死ぬために歯欠けになる…。
人からはこっけいとも映るほどに、まっすぐ豪快である。
愛などという言葉ではおおいきれないほど、ずぶとく、たくましく、
身の程を知った女。
最後に残されたのは自分の命にしまつをつける仕事のみ。
いよいよ旅立ちだという日、息子に背負われて山へ入る。
そこで望んでいた雪が振るのだ。

死ぬまで生きて、仕事をする者は幸いである。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/07/30 23:20

投稿者:るる(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「白鳥の死」には、疑いを持たないのなら、信仰なんて本能と同じだろう、という意味の文章がある。「楢山節考」で、からすに食われるというのを読んで、仏教的な鳥葬を思い浮かべるのは簡単なことだ。でもそこで思想を語らずに、社会の法則を即物的に描くだけで、異様な迫力が生まれる。死を恐れる本能や、救済を求める信仰を超えたもの、あるいはそれ以前のものが描かれています。

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0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2000/08/11 23:35

楢山節考を考える

投稿者:katokt(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 個人の意識、集団としての最適な生存の姿とか、まだまだ未解決な問題がここで語られてると思うし、何より挿入歌をふくめ生き生きとその情景が描写されているところに読む価値があると思う。詳しくは

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