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川の書(創元SF文庫)

川の書 (創元SF文庫 黒き流れ)

イアン・ワトスン (著), 細美 遙子 (訳)

  • 全体の評価 52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:61217pt
  • 発行年月:1994.3
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ユーザーレビュー- 「川の書」

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/03/30 21:12

序破急の序

投稿者:kokusuda(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「SFは何よりもアイデアを優先させるべき」というアイデア派の
代表だったイアン・ワトスン氏。
彼の80年代を代表する本作は少し違った読み味です。
「黒き流れ」三部作の第1作ですが一つの長篇の導入部といった感じの
作品です。

数千キロにわたって南北に流れる巨大な川。
その岸辺だけが、その世界の全てだった。
北部の寒冷な湿地帯から南部のジャングルまで交通や産業、
人々の生活すべてが川に支えられていた。
しかし、東岸の住人は西岸を知らず、西岸の住人で東岸に
渡った者はいなかった。
川は中心部で謎の水流「黒き流れ」に遮られていたのだ。

17才になった東岸の少女ヤリーンは川ギルドの儀式を受けて
川の交通や流通に従事する「川の娘」になった。
ジャングルや砂漠に遮られ川の上流と下流は陸路での交通手段は無い。
そのため川船は住民には不可欠だ。
なぜか男は川に1度しか入れず、2度目に入ると狂死する。
女には何の影響も無いのに、、、。
そのため「川の娘」が交通、流通、貿易、通信など全てを司っていた。

「川の娘」として経験を積んでいくヤリーン。
しかし、ある夜「黒き流れ」に呼ばれ西岸に流れ着く。
初めて見る東岸の世界とは、、、。
想像を超えた謎の水流「黒き流れ」の正体とは?
宇宙と生命の壮大な物語の幕が開いた、、、。

物語の展開よりアイデア(論理)を重視していた70年代のワトスン氏の作品に比べ
格段に読みやすい。
視点を簡潔にまとめ情景を丹念に描写することで物語世界に入り込み易くなっています。
しかし、壮大なアイデア、トンデモない論理展開は、やっぱりワトスン氏(笑
「黒き流れ」の正体や存在理由、この世界の真の姿は予想できなかった方向に
動いていきます。

実の所、影響を受けたであろう作品はいくつかあります。
しかし、独特の論点や展開で物語の印象は二転三転。
解説の大森望氏などは
「アイデア派とスタイル派の長所をドッキングさせた
史上最強の英国SF」と称しています。
確かに読者の期待と予想を良い意味で裏切ってくれます。
結末はどこへ流れていくのか、、、?
「黒き流れ」だけが知っているのかもしれません。

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2002/04/07 13:30

少女の成長物語と世界存亡の物語

投稿者:佐々木 葵(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 巨大な川が世界を分断する惑星での物語。川は人々にとっての唯一の交通路であるが、川に出られるのは女だけ。川の中心に横たわる“黒き流れ”という謎の存在のため、誰も対岸にわたったことはない。17歳の少女ヤリーンは、あこがれの川ギルドに入り、そしてそれが彼女の、果ては世界の壮大な冒険と物語の始まりだった。

 「星の書」、「存在の書」と続く黒き流れ3部作の第1作。この「川の書」ではヤリーンが住む世界の説明と、そして“黒き流れ”の正体ワーム(長蛇)との出会いまでが描かれています。ワーム対ゴットマインドといった対決の兆しが見られますが、その詳しい話は「星の書」に描かれています。ファンタジー冒険活劇の醍醐味をとことんまで味わえ、その全ての冒険がヤリーンの一人称で描かれていて、少女の成長物語としても楽しめます。

 壮絶な想像力で構成され表現される、ファンタジー小説。だけどただのファンタジーだけで終わらないのがミソ。必ず「存在の書」まで読んでもらいたい。そうしないと、ヤリーンの物語が終わらないのです。

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