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厄除け詩集(講談社文芸文庫)

厄除け詩集 (講談社文芸文庫)

井伏 鱒二 (著)

  • 全体の評価 53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:98728pt
  • 発行年月:1994.4
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ユーザーレビュー- 「厄除け詩集」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/03/16 17:19

時に爆笑、時にしんみり、時に愉快に…

投稿者:佐々木 なおこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

茨木のり子さんのエッセイを読んでいて
井伏鱒二さんの「厄除け詩集」の存在を知り、早速読んでみた。
彼の詩「なだれ」は知っていた。
なだれに乗っている熊の様子で、
一度読んだら、瞬時に映像がくっきり頭に描かれて
なんとも愉快な気持ちになる。
「逸題」の一節
「春さん蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿」
この部分を茨木さんの家人が気に入って
すっかり覚えてしまったと言う。
「顎」
は娘と二人、お腹をかかえて笑った。
電車に乗っていて
顎のはずれた人を見たという内容。
こんなふうに淡々と
人を笑わせる詩をかけるのは凄いと思う。
「春宵」
は一緒に歩いていた友達が
溝に落ちたという詩。
最後の部分が
「気の毒だとはいふものの
暫時は笑ひがとまらなかった」。
こんな詩もあるのだなぁ〜と
静かに感動した。
彼の訳詩の一つで
「コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ」
というのもある。
実にいろんな詩を生み出す人なんだなぁと
改めて井伏鱒二さんのことを知りたくなった。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2004/09/25 00:35

忘れちゃならない詩人

投稿者:北祭(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 会津八一は『渾斎随筆』の中で「国語を超えて翻訳をするのは容易なことでなく、ことに詩歌はとりわけむづかしい」と訳詩について語っている。支那の詩、とくに五言四句の絶句など「なんともてにおえるものではない」とため息をつく。

 けれども、仮に李白や杜甫が、同じ日本に生まれたとしたらどうか。いっそ文字の表面にこだわるよりも、「ずっと作者の心に入り込んで、中からほぐして、歌なら歌に、それを直す」といった心構えであればよい。そう考えた会津八一は、その数こそ少ないものの、悠々と万葉味あふれる訳詩を残した。次に唐詩選より一首。

   ●原詩●「照鏡見白髮」(唐)張九齡

   宿昔青雲志  宿昔ノ青雲ノ志。
   蹉柁白髪年  蹉ダダリ、白髮ノ年。
   誰知明鏡裏  誰カ知ラン、明鏡ノ裏。
   形影自相憐  形影自ラ相憐レムコトヲ。

   〇会津八一の訳〇

   あまがける こころ は いづく しらかみの

   みだるる すがた われ と あひ みる

 正直なところ、原詩の読み下し文をそのままに味わうことは難しいけれど、会津八一の和歌ならば分かる。なるほど訳詩も悪くない。

 ここで忘れちゃならない人がいる。詩人・井伏鱒二である。井伏鱒二は詩と詩人が大好きであったという。どうかすると小説よりか詩のほうが好きであったという話があるくらいである。漢詩の訳、自身の創作、それぞれ数は少ないが個性あふれる名作ぞろい。「照鏡見白髮」も訳してなさる。

   ◇井伏鱒二の訳◇

   シュッセシヨウト思ウテヰタニ

   ドウカスル間ニトシバカリヨル

   ヒトリカガミニウチヨリミレバ
 
   皺ノヨッタヲアハレムバカリ

 実に飄々とした歌いぶりである。これを「小唄ぶりの洒脱な訳詩」といったのは向井敏であった。ちょいと小説に飽きたら、井伏鱒二の厄除けが役に立つ。

   ◇なだれ◇

   峯の雪が裂け

   雪がなだれる

   そのなだれに

   熊が乗つてゐる

   あぐらをかき

   安閑と

   たばこをすふやうな恰好で

   そこに一ぴき熊がゐる

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2002/05/10 23:58

さよならだけが人生だ

投稿者:琴 (男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

あまりにも有名な「サヨナラダケガ人生ダ」の「勧酒」が収録されているのがこれ。読むまで知らなかったのですが、これは訳モノなんですね。聞くところによると、愛読者は「原作より断然いい!」とまでいっているそうです。
人生についての深い示唆に充ちた作品です。かっこいいです。でもやっぱり一番好きなのは「花ニ嵐ノタトエモアルゾ、サヨナラダケガ人生ダ」ですね。

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