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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1994.9
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社ノベルス
  • サイズ:18cm/430p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-181798-1
新書

紙の本

姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス 百鬼夜行シリーズ)

著者 京極 夏彦 (著)

産の上にて身まかりたりし女、其の執心、此のものとなれり…様々な古典文献を引用しつつ、日本的な家系の悲劇を浮かびあがらせるミステリ。綾辻行人、法月綸太郎、竹本健治も絶賛する...

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姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス 百鬼夜行シリーズ)

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商品説明

産の上にて身まかりたりし女、其の執心、此のものとなれり…様々な古典文献を引用しつつ、日本的な家系の悲劇を浮かびあがらせるミステリ。綾辻行人、法月綸太郎、竹本健治も絶賛する大型新人の傑作。【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー337件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

痛快です。

2002/07/03 09:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:米作り - この投稿者のレビュー一覧を見る

生まれて初めて、このジャンルを面白いと思いました。
「謎解きをしながら読まなければならない」
という先入観があったので、ミステリーの類は
「面倒くさいなぁ」と思っていたのです。

気に入った理由を3点挙げさせてもらいますと

◎「京極堂」の見事な語り口
複雑な化学式をそのまま言葉に置き換えたような…
「わからんわぁ!」と思っても、「関口」も分かって
いないようなので、なんとなく連帯感が生まれます。
「京極堂」の美人な妹が、作品の明暗にメリハリを
つけていますね。

◎緻密な文化背景の描写
「うぶめ」「憑き物」…それらは単なる伝説ではなく
日本の地域社会の中でどのような意味合いをもって
語られてきたのか。社会学的なことに興味のある方、
古来の伝承・説話に興味のある方にも満足してもらえ
る下地がこの作品を支えています。

◎読めない展開
これは当たり前の必須条件ではありますが(苦笑)
「京極堂」の語りの難解さ、「関口」の心の迷い等々、
個々の場面で酔いしれたい展開が随所に盛り込まれて
いるので、そこでは思い切り酔いしれたほうがいいです。
謎解きをせずに、私のように何も考えず翻弄されたまま
読んでみるのはいかがでしょう?

その他、個性豊かな登場人物がたくさん登場します。
陰陽師好きには、もうたまらないですね。痛快です。

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紙の本

このシリーズは癖になる

2016/05/30 23:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:師走 - この投稿者のレビュー一覧を見る

デビュー作がこれかよ!といい意味で驚いたのを覚えてる。

どこが好きかと聞かれると分からないけれど、
このシリーズに出会えた特別な本であることは確か。
登場人物は結構いるし文章も難しくてきちんと全部を理解しているわけではない。
でもなんか好きだな・・・ひとの欲望やあさましさ、嫉妬、見栄とか黒いのも汚いのもいっぱい書かれてるんだけど、全部ひっくるめてきれいで物悲しい。
この読後感はたまらない。癖になる。

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紙の本

憑き物落とし!

2003/05/21 15:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:黒田ネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私がこの本を読んだのは今からかれこれ4年前。この4年間、この作品以上に生唾を飲む作品には出会っていません。現代では胡散臭く思われているオカルティズムも、この作品を読めばかなり納得できるかも。
 作品の舞台は昭和27年夏。戦後、復興しつつもまだ闇の残る日本で事件は起きます。一人の視点からではどうしてそれが起きているのかさっぱりわからないこの事件。これはもう憑き物が憑いているとしか思えない!と誰もがそう思わずにはいられなくなった頃、京極堂こと中禅寺秋彦が重い腰を渋々上げて、憑き物落としの作法を披露します。
 京極堂の憑き物落しは、ダメ人間・関口の病んでる精神にシンクロして物語を読んでいた、読者の〔憑き物〕も一緒に祓ってくれます。読み終わった後は憑き物が落ちたみたいにスッキリと晴れやかな気分になれること間違いなしです。
 あ…、他人の薀蓄聞くの嫌いな人は読まないほうがいいかも…です。

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紙の本

これは怖い…

2002/12/25 16:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:A-1 - この投稿者のレビュー一覧を見る

文庫本の表紙が怖いのでノベライズで買ってしまいました。高いのに!(爆)
このシリーズの中で、一番これが怖かったんじゃないかなあ?
いや「魍魎の匣」も怖かったですが、これはなにしろアレがアレですから…
こわがりの私にはこの二編は、後回しにしないと読めなかった。(笑)
経産婦さんとかには読ませたくないような気もします。
誰も読みたくはないかもなあ…。(爆)
でも人気なんですよねこれ、カストリ時代風味なのが良いんでしょうか?(謎)
私も、セピア色の似合いそうな昭和初期な感じが良い感じなのですが。
それとも、愛のお話だから?
切ない、報われない、哀しい誤解と、謙譲と利他的な自己満足が交錯しあって、悲劇を生んでいるのが哀しい感じです。

個人的には、結局、ホムルンクスなのか、クローンなのか、人工授精なのか、どれなんだ?って感じだったんですが、今更どうでも良いんでしょうか?(どれでも無理か?(汗))

これは!という推理トリックで名を馳せて居る本書ですが、読んでいるこちらをよろしく引き回してくれる感じで、以後シリーズ第一幕として活躍が頷けるレギュラー陣の登場人物にも魅力もあり、それを追うのもなかなかに楽しいものでした。
はじめに出てくる敦子ちゃんはチャキチャキの女記者で気持ちがいいし、榎木津さんは前評判(?)からして何をやらかしてくれるのか期待大(笑)、関口は無口なのかお喋りなのか気が小さいのか無頓着なのかの性格がつかみにくい感じがしましたが、まあ「猿」ということで良いんでしょう(いいのか?)。

最後に饒舌な講釈をしつつ謎解きをする京極堂こと中禅寺(「探偵」ではなく「憑き物落とし」と称している)が、エラリー・クイーンの解法を彷彿とさせるというのは、言われてみれば頷けますが、よくこのシリーズの引き合いにクイーンを引き合いに出されることが多いのは、その事件の重さと難解さに比較する軽やかなエンターテイメント(娯楽性)が感じられる所も含まれているのだろうな、とも感じました(中禅寺との蔵書マニアという共通項は、探偵クイーン側ではかなり観念的な表現にとどまっていたので置いておく)。

本当に後味が悪くない。
不思議と、悪趣味な筈のソースなのに、何故か悪趣味に感じない。
悪趣味は悪趣味なのだろうが、どこかオブラートで包んだような無難さを感じるのは何故なんだろうか?

登場人物達の感情がどこか観念的で、リアルで無い感じを受けるからだろうか?

それとも、それ(事件)に傷つかない、物事を自分で消化出来る、自立した人達であるからだろうか?
彼の作品に登場する人物達は、ありがちな作品の登場人物の様に読者に共感を押しつけない。
独白はあるが、それは彼(または彼女)だけのものだ。

それとも、登場人物のあまりの多さに由来するものなのか?
実際、主要な主人公とも呼べる登場人物は、今作品にして敦子・関口・榎木津の三人、もしくは中禅寺・木場を加えて五人、はたまた渦中の母子もしくは姉妹を加え七人といった風で、そうでなくとも主たるレギュラーメンバーは毎度四人以上も居るという乱惑ぶりで、それがさながらミクロコスモスのごとき雰囲気をかもしており、それぞれが作用しあって少しずつ、もしくは劇的に事象が動いてゆくのだが、そうやって見せられる視点が鳥瞰図のように高くなるために、前述のような印象を受けるのかも知れない。

それとも、その文章の現代性を逸した語り口からなのかも…

それにしても、これは、嗚呼、色々と怖い…。
           (↑この表記が、怖いって話も(^^;))

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紙の本

肌で感じるじっとりとした暑さ

2002/07/17 16:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わたる - この投稿者のレビュー一覧を見る

拝み屋、探偵、オカルト、小説家といずれ劣らぬ個性的な登場人物に、まず興味を奪われた。そして読む者をひきつける話の展開。
時間を惜しんで読み終えると、何故かじっとりしとした汗をかいているような気分になった。梅雨という季節に読み始めたせいだろうか。それとも著者の表現によるものだろうか。
京極夏彦は難解だと周囲の者が言うので敬遠していたのだが、予想に反して非常に面白かった。
謎に絡め取られ、止まることも戻ることもできない読書の感覚を久々に味わった。

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紙の本

眩暈の夏。

2002/07/13 00:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本箱屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

二十箇月身籠り続ける妊婦と産院で消える赤子。
憑き物筋の血統に受け継がれる血の呪い…異人殺し。
古本屋の主人の言葉を借りるのなら
「世の中には不思議なことなど何もない」のだ。
記憶。少女。眩暈。かあさん。全てそれは現実の。
——私の呪いを解いてください。
悪夢と思われる現実をつまびらかにすることでその願いに応える。
その眩暈からさめるまで。
「私」の知らずの彷徨の道連れとなるのだ。

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紙の本

謎・登場人物・エピソード、すべてが斬新。

2002/07/06 11:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:むつき ジン - この投稿者のレビュー一覧を見る

憑き物落し、京極堂と作家関口との謎解きシリーズ第一作目。
あらすじはさまざまな方面で紹介されていると思うので割愛させていただく。
とにかくこのミステリーは凄い。
一つの謎が次の謎を呼び、時には登場人物の台詞にまで振り回される。
先が見えない展開に、所々挿入されている妖怪や、この世のものでないものに関するエピソードが斬新だ。
物語が進むたび主人公関口氏が混乱して行くように、読者のほうも罠にはめられて行く。
特筆すべきは、ミステリー作品に有りがちな読後の爽快感が、この作品にはない点であろう。
すべての謎が解決したとき、そこには人の世の「切なさ」が残っている。
そこが京極作品の魅力であり、数多くのファンをとりこにしてきた一つの理由なのかもしれない。
私自身まさに、京極夏彦氏に「やられた」。

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紙の本

普通のミステリーに飽きている方へ

2006/10/12 11:57

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る

知人に勧められて初めて読んだ京極夏彦の作品です。
正直3分の1までは京極堂の薀蓄話ばかりで読みにくくて仕方なく、物語が動き始めて漸くハマりました。
読む前は「京極と言えばオカルト」と思い込んでいましたが、意外と現実的であり、そしてやっぱり怪談ムードも満ち満ちていて怖かったです。
普通のミステリーに飽きている人、ミステリーも小説も特に好きじゃないが薀蓄が好きな人、少しばかりひねくれ者にはお勧めです。
京極氏の作品はどれも分厚いので、ハマれないときつい一方ですから。

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紙の本

美しく妖しい京極堂シリーズの幕開け

2005/09/01 21:57

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:永遠のかけら - この投稿者のレビュー一覧を見る

『我輩は猫である』の迷亭が好きな人は、おそらく気に入る京極堂。
個人的には、ストーリーそのものよりも、博識で、論理的で、不思議な雰囲気を醸し出す京極堂のキャラクターと、それを包む世界観に魅せられた一冊。

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紙の本

目眩がしそうな暑い夏の日に

2002/07/05 01:06

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まきしまむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者の妖怪(京極堂)シリーズを始めて読むという方のために一様簡単に設定について触れておこう。

時代は昭和20年代後半。古本屋の主にして陰陽師である京極堂こと中禅寺秋彦、鬱病気味の作家関口巽、人の記憶が“見える”超探偵榎木津礼二郎、猪刑事の木場修太郎などが一風変わった魅力を持つ人物が登場し、一見不可解としか思えない事件を解いていく。

物語はただ流れていくのではなく、京極堂の激しいまでの蘊蓄の嵐や様々な紆余曲折(?)をたどりながら重層的かつ神秘的に進んでいく。

「呪文」のような怒涛の薀蓄の嵐をかいくぐり、見事「解」へとたどり着いたときの爽快感は何物にもかえがたい。

あなたはこんな疑問を持ったことはありませんか?
「見えているはずなのに」「聞こえているはずなのに」…なぜ?
その答えが本書の中に隠れています。

目眩がしそうな暑い夏の日に読みたい一冊です。

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紙の本

境界の曖昧さを楽しむ。

2001/10/25 13:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る

 古本屋の店主、京極と主人公であり作家でもある関口の延々と続く会話を読んでいくうちに、日常と非日常、正気と狂気の境界が非常に曖昧になっていく。自分の知識、記憶の正しさに自信を持てなくなり、漠然とした居心地の悪さを関口と共有することに。
 正直、京極の話は難解で、理解できたようなできないような…。しかし科学が蔓延した現代ではない、曖昧なものの入り込む余地のある戦後の雰囲気がよく出ていて楽しめます。関口と京極堂、超能力で過去を見る探偵に刑事の木場など、登場人物が個性的なことも嬉しい。本の厚さにちょっと引いてしまいそうになりますが、案外これが読み始めればなんとかなるので未読の人にはぜひ一度試してみて欲しいです。

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紙の本

不可解な京極ワールド

2005/04/17 18:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふぁむ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は私が京極シリーズで一番最初に読んだ本です。
その、「一番最初」で、かなりハマりました。この作品には最初から最後まで予想を裏切られ続けました。ああだこうだと考えていても、最後には「ええええ!? そういうことだったの!?」という驚きの感想が残りました。まだ読んだことのない人にはとてもお薦めです。そして、この本を読み終わったら、次の「網りょうのはこ」も読んでみてください。

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紙の本

謎を解明したい欲求はもどかしく広がっていく

2001/08/03 05:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゲレゲレ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 物語は、鬱病を煩ったこともある内向的な主人公のひとり、関口の視点で語られる。関口自身は表向きは謎の答えを解明しようと努力する。だが、本当は最初から謎の答えを知っていたのかもしれない。知りたくないという気持ちが強いために、真実から目をそむけ、彼の目は容易に開かない。だが、陰陽師京極堂の論理的な解明や、榎木津の示唆により少しずつ関口の迷妄は解かれていく。
 関口は思い出したくないことを少しずつ思い出す。本文の中では一行おいて語られる一言か二言程度の関口の独白が衝撃的。そして、幻視ができるため最初からすべてを知っているはずなのに、多くを語らない探偵榎木津の存在もあり、謎の解明は引っ張るだけ引っ張られ、読んでいる側にとっては、知りたい欲求がもどかしく広がっていく。
 密室殺人、容疑者を集めた謎解きなど、よくあるミステリーの手法を取っている部分はあるが、その解答は陳腐なトリックとはまったく違うところにある。その他、夢の描写、科学・心理学・民俗学などの豊富な知識、個性的な登場人物、周到な複線、論理的解明の体裁をとりながら霊や妖怪を潜在的に恐れる日本人の心理をつく設定など、新人作家(京極夏彦のデビュー作)と思えないほど、興味を引く手法が随所に散りばめられている。
 関口は、自分は狂人かもしれないと疑っているほど、なんだか頼りない人だ。そう思いながら読み進むうちに、私自身が正常な視点を持てていないのではないか、という感覚に襲われた。きっと私も京極堂の罠にはまってしまったのだ。

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紙の本

ミステリーの傑作。怖いものが苦手な人はご用心。

2008/08/20 16:36

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、1994年に刊行された著者のデビュー作にして、その後に現在まで続く「百鬼夜行シリーズ」の第1弾。著者はこの本の原稿を講談社に持ち込んで、出版が叶ったというから、すごい新人作家の華々しい登場、といったところだっただろう。

 この本は傑作だと思う。おもな舞台は殿様のご典医として名を成した病院。その因習に囚われた旧家を襲う陰々滅々とした風聞の数々。そのうちには真実はあるのか、あるいは名家に対する人々の嫉妬に過ぎないのか?随所にちりばめられた伏線、それを1つに結びつけて真実を鮮やかに解き明かす結末。推理探偵小説の醍醐味が、上下段組みの430ページという決して短くない長編にぎっしりと詰まっている。映画やドラマになれば評判を呼ぶことだろう。
 さらに、この本が傑作だと思う理由は、祟りだとか憑き物だとか妖怪だとかの「非科学的」な恐怖を、認知科学のウンチクを交えて論駁していく、魅力的な登場人物、中禅寺明彦こと「京極堂」を創造したことだ。彼の存在が、長く続くシリーズを引っ張って来たことは疑いない。

 しかし、この物語は私の感覚では、かなりキワドイ。新生児の死亡、婿入りした医師の失踪、20か月も身ごもったままのその妻、という事実が、様々な風聞いや醜聞の元になっている。鬼子母神の近くという病院の立地もあって、赤子喰いだとか、その祟りだとか、いやあの家はもともと...などという、ちょっと職場や家庭の食卓では口に出しては言えないような話題が、物語の基本部分を構成している。
 さらに、事件の背景ででは、これまた世間で禁忌とされていることばかりが二重三重に起きている。こういったことの1つ1つに嫌悪の情を持ってしまうと、後味の悪いものになってしまう。

 京極堂は、古書店経営という職業の他に、神社の宮司であり、祈祷師の一種である「憑物落とし」をやっている。いわば、科学の対極に位置するような人物なのである。しかし「この世には不思議なことなど何もないのだよ」というセリフが口癖で、オカルト的な恐怖を理詰めで解明しようとする理論家でもある。
 彼が、事件にまつわる様々な気味の悪い出来事を解き明かして説明してくれるのだが、私には「それでもやっぱり...」といううすら寒さが残ってしまった。

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2004/09/24 18:26

投稿元:ブクログ

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