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紙の本
女ざかり (文春文庫)
著者 丸谷 才一 (著)
大新聞社の女性論説委員・南弓子。書いたコラムが思わぬ波紋をよび、政府から左遷の圧力がかかった。家族、恋人、友人を総動員して反撃開始、はたしてその首尾は? (瀬戸川猛資)【...
女ざかり (文春文庫)
女ざかり
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商品説明
大新聞社の女性論説委員・南弓子。書いたコラムが思わぬ波紋をよび、政府から左遷の圧力がかかった。家族、恋人、友人を総動員して反撃開始、はたしてその首尾は? (瀬戸川猛資)【商品解説】
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紙の本
11人以上いる!
2020/03/15 18:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞社の女性論説委員が、フェミニズム的視点で書いた社説が元で、政府から理不尽な圧力をかけられるが、なんとかその原因を突き止めて、窮地を切り抜けようというある種の言論世界の冒険サスペンスになっている。美人で聡明な主人公の活躍に痛快さを感じるところもあるが、どこか割り切れなさも残る。45歳バツイチ独身、なにしろおじさま方にモテモテである。11人のボーイフレンドがいると言われているが、なぜ11人なのか、本命は誰なのかという謎がまずあって、そこに引き込まれるるのが若干悔しいのは嫉妬だろうか。
政府はどこぞの勢力から圧力を受けて新聞社に圧力をかけ、会社は社員に圧力をかける。それに抵抗するために、圧力の連鎖のどこか元の方にくさびを打ち込もうというわけで、そう言うと戦っているようだが、敵を味方につけようということでもあって、それはすなわちこちらも味方になるということである。哲学教授が言う贈与の互恵関係の理論がそれを裏付けているように。
勝利を得たように見えても、実のところお互いに秘密を持ち合い、そうして権力に取リこまれているだけである。寝物語に語られた理論は、一つひとつのミクロな事象、行為を正当化するだけの他愛ない例えのようで、じつは物語全体の構成を暗に示唆している。
フェミニズム的論調で筆禍を被った主人公だが、その解決には彼女のみならず、伯母、母、娘の美貌の家族それぞれのボーイフレンドたちの力を借り、時には体当たりで、要するにいいとこ取り、リアリズムに徹した姿勢には感嘆ももするが、今まで下心100%で近づいてきていた男たちを、これまでキープしてきた成果が、ここに来て見事に発揮されるという顛末なのである。結局、旧秩序の不合理と戦おうとして、より一層旧秩序に適応した可愛い女になることで、窮地を切り抜けたというだけではないのか。それも美人という存在の既成ポジションをきっちり活用した感がある。
さらに振り回された男たちへの盛大な裏切りまであるのだが、誰もそれに怒ったりもしない。こうなると、どんなに理屈を並べても美人には弱いという男社会を嘲笑し、そんな男社会でのし上がるフェミニズム論客を嘲笑し、こんな欺瞞的なストーリーを楽しむ読者たちをも嘲笑しているのだとしか思えない。そういう読者の意識を巧妙にあぶり出すことによって、現実の社会システムのグロテスクさを有無を言わさずに突きつけるてくる。ああ、たしかにそうなってるなあと、言われてみて思い起こせば、誰もが納得せざるを得ない現実である。
もちろん作者の仕掛けたそんな違和感を読み取れない読者には、それまでのことだ。確かに時代の最も新しい部分を切り取っているし、新聞社の内情なんかも確かに面白いのだが、作者の感じた現代社会への違和感は、その旧い部分にも、新しい部分にも、まんべんなく向いているのであり、人物の緻密な描写でこそ表現できているのではあるまいか。
紙の本
一度は読んでおきましょう
2013/02/27 15:16
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投稿者:女医ナー - この投稿者のレビュー一覧を見る
入念な下調べをされたのだろうと推測します 勉強になりました