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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1996.7
- 出版社: 現代企画室
- サイズ:20cm/196p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7738-9606-X
紙の本
気狂いモハ、賢人モハ (越境の文学/文学の越境)
詩、小説、評論の3つのジャンルにわたって旺盛な執筆活動を続けているベン・ジェルーンの第3作目の小説。70〜80年代のモロッコを背景に、イスラーム社会に渦巻く前近代と近代・...
気狂いモハ、賢人モハ (越境の文学/文学の越境)
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商品説明
詩、小説、評論の3つのジャンルにわたって旺盛な執筆活動を続けているベン・ジェルーンの第3作目の小説。70〜80年代のモロッコを背景に、イスラーム社会に渦巻く前近代と近代・男と女の相克の姿を描き出した。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
魘されるような声/言葉の網
2008/09/09 15:01
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ最近読んだ小説の中で一番面白かった。著者はモロッコ出身のフランス語作家、いわゆる、マグレブ作家としてはじめてゴンクール賞を受けた現役の詩人、作家、評論家で、これまで私は短編集の『最初の愛はいつも最後の愛』を読んだことがあって、それはとてもテクニカルで優雅な物語集だったのだけれども、長篇第三作に当たるこの作品は、もっと荒々しく、熱く、錯綜した語りと複雑な時空間の構造を有した現代小説だった。舞台は70年代から80年代にかけてのモロッコ。デモで警察に捉えられた若者が拷問のために死ぬ。田舎の村から連れてこられた娘は言葉が通じないために唖ということにされてしまう。女奴隷は主人の子供を産み虐げられて魔術に縋り、主人は女奴隷の魔術のために狂って卑猥な言葉を吐き散らす。ほかにも資本家、ユダヤ人、子供たち、さまざまな人物が現れ、狂人であり賢者であるモハに言葉を聞かせる、語りかける、モハはときにはそれに鋭く対立し、ときには優しく愛撫するように、また祈るように言葉を紡いでいく。これら語られた言葉を読んではいけない、聴くのだ、とほとんど不可能な言葉とともに、さまざまな人々、時間、空間をあっちにいったりこっちにいったり彷徨する《声》のエクリチュール。とてつもなく優雅で、暗く、黒い笑いに彩られた素晴らしい作品。激しく原文にあたりたくなった。