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紙の本
二つの山河 (文春文庫)
著者 中村 彰彦 (著)
【直木賞(111(1994上半期))】【「TRC MARC」の商品解説】大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所で例のない寛容な処遇がなされ、日本人市民と俘虜との交歓が実現した...
二つの山河 (文春文庫)
二つの山河
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商品説明
【直木賞(111(1994上半期))】【「TRC MARC」の商品解説】
大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所で例のない寛容な処遇がなされ、日本人市民と俘虜との交歓が実現した。所長こそサムライと称えられた会津人の生涯を描く直木賞受賞作。(山内昌之)【商品解説】
収録作品一覧
二つの山河 | 7-88 | |
---|---|---|
臥牛城の虜 | 89-166 | |
甘利源治の潜入 | 167-228 |
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紙の本
直球ストライク、けれどこれは魔球?
2020/02/29 08:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第111回直木賞受賞作。(1994年)
最近の直木賞は長編小説が多く、この作品のように文庫本にして80ページほどの短編といってもいい作品を読むと、作品の好悪は長さではないと改めて気づかされる。
しかもこの作品はほとんどの選考委員が賛辞をおくっていて、気持ちいい。
藤沢周平委員は「直球でストライクを取ったような、単純だが気持よく読める作品」とし、「読者を作品世界の中にひきこむのはヒューマニズム」と、いかにも藤沢周平氏らしいコメントである。
「稀に見る清々しい小説で好感度百パーセント」と書いたのは山口瞳委員。絶賛に近い書きぶりながら、「やや小説的結構に乏しいという憾みが残った」とも書いている。
この「小説的結構」というのは小説を組み立てる方法のようなことでしょうか。
唯一否定的な意見となった五木寛之委員がいう「小説としては、いささかひよわな面がある」というのに、近いニュアンスかもしれない。
この小説の主人公松江豊寿(とよひさ)は実際にいた人物で、会津人として第一次世界大戦時に徳島のドイツ人俘虜収容所の所長を務め、その後会津若松市の市長にまでなっている。
中村は松江という人物の生涯を簡潔明瞭な文体で綴っている。
俘虜たちの人格をないがしろにすることなく、収容所の運営を見事なまでに成し遂げた松江の行いは美談ではあるが感傷的に過ぎず、またそこに至る松江の想いを戊辰戦争時に受けた会津の人たちの苦悩に重ねていく。
確かに「好感度百パーセント」であるが、これを直木賞としていいのか、
口当たりのいいノンフィクション作品ではないのか。
そんなことをつい考えてしまった。