- 出版社:早川書房
- サイズ:16cm/439p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-030006-2
百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫 JA)
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- 税込価格:819円(23pt)
- 発行年月:1973
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- 本
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ユーザーレビュー- 「百億の昼と千億の夜」
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2004/03/16 14:14
日本SFのある頂
投稿者:san(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は明らかに、日本SF界がたどり着いた一つの頂です。
特に超越者:施政者、登場人物:作者を含むインテリ層と読むと、
作者の属した世代の精神的な断面をかいま見える感じがします。
萩尾さんの漫画も漫画界の頂点として認められていますが、明らかに
この作品があったからこそです。
そういう意味でも、光瀬さんの作品の中でも際立った作品とも言える
と。
人物の出典は明らかに経文からのもので、仏陀・阿修羅王・バラモン
・須弥山の神々と日本人にとって、生活の中に溶け込んでいる多くの
仏教系の情報・人名をうまく使っています。
また、テーマ自体が日本人が人種的な特質として持っている諸業無常
観を背骨に、いくつもの実際の文明(インダスやシュメールなど)を
モチーフにした仮想的な文明が勃興し、滅ぼされていく様と無常感を
より鮮明に彫り進めていきます。
“滅びは必然”という本書の背骨的な旋律と登場人物としての超越者が
滅びの因子を人類に混入していくという作業は、作者の施政者への
悪意や絶望感を示し、それに刃向かう小さな反逆者としてとしての
登場人物が、安易な感情移入すら許されぬほど、峻烈に突き詰めた形
で書かれています。
ここまで書けばわかるかもしれませんが、パッピーエンドではなく、
0からの再出発なのか諦めなのか判然としない終わり方を取っており、
読者の取り方一つで物語の意味付けすら変わると思えます。
日本という国が年を経て変わっていく様のある1面を、全く別の形で
顕した名著の一つと考える一冊です。
是非、1度は手にとって、熟読されることをお奨めします。
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2001/11/03 04:00
すべて滅びゆく……
投稿者:トリフィド(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
西の『2001年宇宙の旅』、東の『百億の昼と千億の夜』、などという感じに捉えています。 SF仲間に云うと、首をひねる人もいますけどね。『2001年宇宙の旅』の方が、格がかなり下だそうです。
ま、ともあれ、この作品が、日本SFが到達した頂点のひとつであることはまちがいないでしょう。およそSFを読むものはみんな読んでいて欲しい、そんな作品です。文句なしに星五つです。本当は十個くらいつけたい。
この作品世界の、茫漠とした、なにもかもが失われゆく滅びの世界の引きつける力にはすさまじいものがあり、現実世界に戻ってくるのに難儀してしまうほどです。そして戻ってきてからも、見るもの聞くもの、すべてが以前と違って感じられるようになってしまう、そんな作品です。読み終わってから唖然として、二、三日ボーッとしてしまう、そういう作品なのです。
若いSF読みに知られていない傾向があるようなので、デフォルト読み作品として、あれこれ考えずにとにかく読めと、強力にプッシュしておきたいと思います。
萩尾望都によるコミック版もあります。光瀬作品の単なるコミック化にとどまらない、独自の作品としての主張が強い傑作です。小説版を読んだらぜひこちらもチェックしましょう。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/07/31 17:32
傑作
投稿者:花梨(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベストテンで必ず上位にランクされる、SFの名作中の名作です。プラトン、キリスト、仏陀らを主人公にした前半パートは、今見るとかなりギャグっぽいアイディアなのですが、無情感ただよう文体で、非常に格調高く進みます。遠未来を舞台にした後半では、さらに派手なアイディアが、説明もほどほどに連打され、あれよあれよというまに、ラストの一発落ちに驚かされることになります。
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2001/06/17 19:28
20世紀SF古典の中の古典
投稿者:ゆたやん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわずと知れた…と書きたいところだが、最近はなかなか知っている人が少なくなってきた…20世紀の日本SFで古典といえば絶対にこの作品があがってくるそんな名作である。
ま、マンガもある。萩尾望都だ。これも絶品だが、別の人が書評書いているだろうから割愛する。ただ。そうだなあ…もし小説が良くわからなかったら、マンガ版を読んでおくことをお勧めする。キャラクタの関係はよくわかるし、それは萩尾望都だから当然面白いので小説にもとっつきやすくなる。
光瀬竜という人の作品は難解といわれるが、とっつきにくいというだけで実はわかりやすい作品だと思う。この百億…なんてその代表格だ。
相手にしている設定はすさまじいまでに大きい。なんたって、宇宙の始まり以前からの<存在>の理由を求めて阿修羅王、仏陀、プラトン、ユダ、イエスキリスト、大天使ミカエル…といった、そりゃもうなんかすごいキャラクタたちがときに争いときに味方となり、宇宙を時空を何百億年のオーダーで旅するという設定なのだから。
これに匹敵するスケールの大きさを求めて、世界中のSFを見渡してもなかなか存在しない。「幼年期の終わり」「タウ・ゼロ」といった由緒正しき宇宙SFにようやく見つけるだけだ。
この作品は、私が出会った20年前に、既に<日本を代表する古典SF>という評価だったのだ。この凄み。去年出版された小説といっても通用する内容なのに…。
何度復刊されたことか。表紙だって既に何世代を経たことか。おそらく、21世紀も読みつがれていく名作なのだろう。正統なカルト人気を誇る日本を代表する古典SFは、見つけたら買いだ。
まあ、BK1の人は怒るかもしれないが、図書館で見つけたらすぐ借りよう。手垢で擦り切れた百億…ってのもなかなかのものだ。あ、言っておくが、古本屋で安いものを見つけるのは至難の技だ。神田でもなかなか入らないし、入ったら高い。図書館で見つけれなければ、無理を言ってでも、BK1で取り寄せよう(笑)。







