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血と骨

  • 出版社:幻冬舎
  • サイズ:20cm/513p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-87728-210-6

血と骨

梁 石日 (著)

  • 全体の評価 3.54件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:2,10060pt
  • 発行年月:1998.2
  • 発送可能日:購入できません

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商品説明- 「血と骨」

【山本周五郎賞(第11回)】おのれ独り、徹底的に孤立した男がいる。凄まじい欲望が、家族と女たちを呑み込み、自らも喰い滅ぼす。実在の父親をモデルに、ひとりの業深き男の激烈な死闘と数奇な運命を描いた、空前絶後の1368枚。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「血と骨」

梁 石日

略歴
〈梁石日〉1936年大阪府生まれ。29歳の時、事業に失敗し大阪を出奔、各地を放浪の後、東京でタクシー運転手を10年間務める。著書に「タクシー狂躁曲」「夜を賭けて」ほか多数。

ユーザーレビュー- 「血と骨」

全体の評価
3.5
評価内訳 全て(4件)
★★★★★(1件)
★★★★☆(1件)
★★★☆☆(1件)
★★☆☆☆(1件)
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2002/07/25 14:01

ただ圧倒されるだけ

投稿者:奥原 朝之(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ほぼ著者の自伝らしいが、自分の父親がこんな父親だったらどうだろうかと想像してみた。しかし想像すら出来ないほどに圧倒されるだけだった。

 体はでかく腕力はあり、一対一のけんかでは負けを知らない男。それに加えて独善的でやりたい放題。こんな父親だったらと何度も想像してみようとしたが無理だった。これは人間の想像を超えた生き物である。粗野にして卑とは金俊平のことを言うのだろう。

 自分で起こした蒲鉾工場が当たって莫大な稼ぎを手にするが、稼ぎは全て自分一人のもの。従業員へ分配するという考えは一切持たない。
 欲望の赴くままに生き、何でもやりたいときにやる。けんかも女もである。
 一匹狼であるが故にヤクザでもないので、もっと質が悪い。ヤクザとも大立ち回りを繰り広げ、腹や背中に短刀が刺さってもものともせず、逆にヤクザたちを撃退する始末である。

 しかし最後に金俊平は稼いだ金を全て本国に送り、安住の地を求めて北朝鮮に渡るがそれは正しい選択だったのだろうか。

 事実、第二次大戦中に強制連行されてきた朝鮮人の殆どが楽園を求めて帰っていたらしいが、今現在の北朝鮮の状況を見ているとそれは果たして正しい選択だったのだろうかと感じる。

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2001/01/09 15:31

「凄絶!」の一言に尽きる!−−昭和の裏街道を怒涛のように呑みこんだある在日朝鮮人の生涯。山本周五郎賞受賞。

投稿者:中村びわ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 全編から、頭をかち割られ腕をへし折られた男たちの叫び声、体を蹂躙されながらも淫欲に燃えてしぼり出す女たちのよがり声、恐怖に内臓が凍りついた赤子や幼子たちの金切り声が上がっているかのようであった。
 血やキムチや酒くさい息、ワキガやどぶやくさりかけた魚、精液、汚わいの匂いもぷんぷん漂ってきた。
 −−たまらない!
 正直、途中で「早く解放されたい」と願わずにいられない巨編であった。

 浴びるようにドブロクや焼酎を呑んでは、血がたぎるままにバクチ相手の極道と刃物を振り回して沙汰を起す。暴力のように激しく女性の体を求め、味わい尽くす。その結果できた子どもたちが住む家を、気にさわることがあるたび叩き壊す。こんなシーンばかりが執拗に繰り返されるのである。
 吊るし上げた女の臀部を切り取り、その肉を喰ってしまう。手術で頭部を切り開いて寝たきりの女の顔を、尻に敷いてつぶしてしまう。文学でなかったら、ここまではできまいという領域の表現を、よくぞ吐かずに読み通せたと、読者たる自分を誉めたくなるような内容なのである。

 「血と骨」というタイトルの意味、この人知ではかり知れない鬼神・金俊平が、どうせロクな死に方をしないだろうが、どのように果てるのか、その前にどこまで深い罪を犯すのか−−それらを見届けるまでは途中で放り出せないという一心で読み進めた。
 1920年代の大阪、出稼ぎに渡ってきた朝鮮人たちが勤める蒲鉾工場でのきつい労働から、物語は始まる。当時30歳前後の金俊平の以後50年弱にわたる、内なる血との闘争の記録である。

 青少年を中心とした凶悪犯罪が、目立つようになってきた。血が騒ぎ、自分でわけがわからなくなり起こしてしまった犯罪というものは、犯罪者の育ってきた環境やトラウマ、動機などを社会学的、心理学的、精神医学的に納得できる形で捉えようとすること自体が無理というケースがあるかと思う。
 科学や人間の知識を超えたもの、「鬼が出た」と認めた方がいいのではないかと…。無論、鬼だから法の裁きを下さない、本人に犯したことの誤りについて考えさせないというのではないが、鬼の仕業と考えて、この社会のスケールで測ろうとする視点を変えたとき、ものごとの現象がよく見えてくると思うのである。
 鬼と呼ぶべきものがこの世に存在し得る、あるいは、一人ひとりの中に鬼は住んでいると意識して過ごすことが、重なる不幸を一つでも減らすことにつながらないか…と、そんな発想に結びつくような人間存在が描かれている。

 読後、このサイトで調べて驚いた。梁石白の実在の父が、モデルだという。本文半ば、朝鮮の巫女の歌の中に、「血は母より受け継ぎ、骨は父より受け継ぐ」とあるのが、このタイトルの由来だと出てくる。血もまた骨によって創られることを前提にしており、朝鮮の父が息子に「おまえはわしの骨だ」と言うが、それは家父長制度を象徴する言葉である…という記述もある。
 反抗し続け、絶縁して拒み続けた父の人生をここまで凄絶に書ききったのは、作家の「血と骨」のなせる業だったのだろうか。

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2001/03/31 23:31

凄まじい人間の圧倒的な生き様

投稿者:ひで(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 梁石日氏の作品には、朝鮮人で大阪在住(出身)といった人物が、主人公であるものが多い。初期作品では、エンターテインメント性よりも、朝鮮と日本、朝鮮人と日本人といった側面からのメッセージ性が前面に押し出されていた。最近の作風は、同じような形態はとりつつも、エンターテインメントの枠内でどこまでメッセージ性を打ち出せるかに挑戦している様な気がする。

 さて、本作は98年の作品であるが、どちらかといえば文学的指向が強い作品といえる。ストーリーは戦前の大阪から始まる。この地に多く居を構える在日朝鮮人の人々。その中に蒲鉾職人として働く金俊平がいた。彼は恵まれた体格と自分勝手な性格で皆から恐れられていた。そんなある日、仲間の一人が入れ込む遊女に出会った金は、同じくその女へと入れ込み、身請けを決意する。だが、女は直後にそのまま彼の前より消え、彼は荒れ狂う。

 と、あらすじだけを書いていくと、非常に長くなってしまう。なぜならば本作はこの金を主人公に、彼の人生遍歴を延々と書きつづっていくものだからである。彼は、酒に酔うと乱暴を働き、その攻撃は止むことはない。何度となく警察に捕まり、刑務所へと送られ、家族には愛想を尽かされる。何人もの女の間を渡り歩き、何人もの子供を作りながらも、どこまでも自分中心で、どこまでも自分以外の人間を信用しようとしない。

 なぜ、彼はそこまで悲しい存在でいられるのか。そう思ったとき、彼に忍び寄る老いの存在。自分の体だけを信用してきた人間が一気に地獄の底へとたたき込まれる。時は太平洋戦争を通り過ぎ、現代へと近づいてくる。そして彼の選ぶ道とは。

 彼にどこまでも迷惑をかけられていく奥さんや子供。そんな人間へと自らの感情を重ね合わせるが、結局のところ、彼らだけでなく主人公本人がもっとも悲しい存在であったことに気づくラストは、人の人生とは何かといった、人種や民族といったものを超えた普遍的な疑問を改めて考えさせてくれる。非常に長大で、エンターテインメント性は低い作品だが、一度読んでみることをお奨めしたい。

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2001/05/29 05:23

これが金俊平の生きる道

投稿者:春都(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 舞台を日本のなかにある朝鮮人社会に設定しているだけに、それなりに「倫理観」とか「軋轢」とかあるのだが、そんなものはどうでもいい。

 この作品は「金俊平」を描くためにのみ書かれている。

 テーマだの何だの、小説らしい飾りつけはない。というより、主人公のあまりのキャラの濃さに忘れてしまう。語り口の巧妙なノンフィクションとして読むべきだったのかもしれないと、途中で気づいた。読ませることは読ませるが、あとに残るものはなにもなかったと言っていいだろう。

 そのためかもしれないが、構成があまりにお粗末だ。暴力を振るう、女を襲う、金をせびる、家族に忌み嫌われる。えんえんとこれらのくり返しでストーリーが進み、展開もなにもない。
 いや、あるにはあるが、小説的というより、もっと現実的な唐突さと言えばよいだろうか。技巧をこらしてという感じではなかったので、やはりノンフィクション的要素が強いのかもしれない。

 描写の巧みさと、けた違いの迫力で面白いのはたしかなので、「知ってるつもり」みたいな感じで楽しめばよいのだろう。良い意味でも悪い意味でも、それだけの作品だと僕は受け取った。

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