日本海海戦の真実 (講談社現代新書)
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- 税込価格:735円(21pt)
- 発行年月:1999.7
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ユーザーレビュー- 「日本海海戦の真実」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/07/03 01:09
事実だけでなく一つの時代を物語る本である。
投稿者:ベリ太(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
東郷平八郎は世界でも著名な日本の歴史上人物の一人であろう。
日本海海戦の完勝、丁字戦法、様々なイメージに飾られている。
また司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」で紹介されることによって、
それを導いたのは秋山真之であるととうのも歴史愛好家の間では、
一つの常識となりつつある感がある。
本書は著者の特別に得られた資料を紐解くことによって、
その常識をくつがえし、また新たな歴史のベールをめくったものと言えよう。
しかし、それによって東郷や秋山の価値が下がるものでは決して無い。
事実は、歴史に輝く人物の周りには、同じように輝く人物たちの存在を、
あらためて教えてくれるものである。
そしてその人物層の厚さは明治という時代を物語る一つの参考となろう。
私事で恐縮だが、郷里の福岡では海戦の当日に
遥かに砲声のこだまがしたという古老の話、
テレビでの特別番組で当時少年水兵だった最後の海戦の参加者のインタビューなどを
思い出した。そんな思い出をあたらめてリアルにさせてくれた読後感であった。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2012/01/18 00:28
日本海海戦の2つの「東郷神話」を突き崩す
投稿者:yjisan(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年末にドラマ『坂の上の雲』が完結した。ドラマでも、原作でも、クライマックス・シーンは何と言っても日本海海戦だろう。この空前絶後の歴史的大勝利の要因として、ふたつの重要なポイントがあった。作者の言葉を借りれば「杳として行方がつかめないバルチック艦隊の通過コースを的確に予測し迎撃できたこと。そして『誰もが予期しなかった』緒戦における敵前大回頭である」。
司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』によれば、この2つの勝因には、いずれも連合艦隊司令長官・東郷平八郎海軍大将が深く関わっていたという。
第1の鎮海湾待機については、先任参謀・秋山真之海軍中佐ら連合艦隊司令部の面々が、一向にバルチック艦隊が姿を現さぬことに焦りを感じ、「バルチック艦隊は津軽海峡に向かっているのではないか」と考えて北進を主張する中、東郷1人が「必ず対馬海峡を通る」との揺るぎない確信から待機を指示したとされる。
第2の「丁字戦法」については、天才参謀である秋山が考案していたものの実戦での使用は難しいと躊躇っていたところ、バルチック艦隊と対峙した際、実戦経験豊富な東郷が即座に彼我の状況を判断し、神がかり的な直感によって「取舵一杯」を命令したとされる。
いずれも東郷の無謬性を強調する「神話」であるが、防衛庁戦史編纂官であった著者は、『坂の上の雲』が執筆された当時は知られていなかった『極秘明治三十七八年海戦史』という海軍軍令部が編纂した機密資料を発見した。この戦史の詳細な記述に基づき、著者は「神話」の虚構性を暴いていく。そして日本海海戦後、東郷がいかにして神格化され、そのことが日本海軍にどのような悪影響をもたらしたかを論じている。
戦史研究の専門家だけに、その考証は緻密で隙がない。ただ、その分、叙述が淡泊な憾みもある。『坂の上の雲』を読んだことがあるなど、日露戦争に関する一定の知識を持っている人向けの本だと思う。







