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ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読(岩波現代文庫)

ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 (岩波現代文庫 学術)

多木 浩二 (著)

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  • 税込価格:1,00828pt
  • 発行年月:2000.6
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ユーザーレビュー- 「ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読」

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2001/02/12 22:50

ベンヤミンの予言どおりの〈現在〉

投稿者:谷池真太(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ベンヤミンは、複製技術によって芸術作品は伝統・祭祀からの脱却し、その時代の受容によって、芸術は芸術であるがために芸術であるという、自律性を身につけた、という。すなわち「アウラ」の喪失である。現代のわれわれには分かりにくい点もある謂である。なぜなら、われわれは当たり前のように複製芸術作品を受容し、消費しているのだから。じつはこの謂は奇妙にも中島梓と重なるのである。
 評論家中島梓はその処女評論集『文学の輪郭』で、埴谷雄高・村上龍らを例に挙げ、文学はなにものによることもない文学の自律性を身にまとった、といった。これはベンヤミン、アドルノの言った複製技術という外部的な変容の課程であった技術・芸術の自律性を、日本文学のなかで村上龍やつかこうへいや埴谷雄高の作品の中にみたものである。
 この事象だけをみても、ベンヤミンの視座は遠く未来の変化を的確に予言していたといえよう。もう一つ例を挙げたい。
 著者多木浩二はレニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』のワンシーンを例に挙げ、機械装置による俯瞰は人間の眼のそれを上回ることを述べ、「ベンヤミンはそこからファシズムにおいて政治が芸術であるという、政治の耽美主義にいたり、その耽美の行き着くところに戦争をみていた」と結論づける。
 この「俯瞰」は現代人の新感覚である超越錯覚と呼ばれる、ある時ふっと自分が自分を見下ろしている情景—幽体離脱といえばわかりやすいかもしれない—が感じられる「錯覚」と、その視点は同じである。
 われわれは機械装置によって生み出された映像に、よりリアルを感じてしまうであろうこともベンヤミンは予想していたのである。

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2000/11/08 18:10

最近刊行された文庫のなかではとりわけ期待とともに一気に読んだ本

投稿者:今福龍太(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近刊行された文庫のなかではとりわけ期待とともに一気に読んだ本。文庫の書き下ろしとは、復刊の多いこのジャンルにあって、なにより魅力的なスタイルだ。そして期待は十二分に満たされた。一気呵成に書かれた気配を漂わす、きわめてテンションの高い考察。最後の2章、とりわけ、時間をかけた、認識論的にも感覚的にも多元化された経験にもとづく知覚作用をベンヤミンの「触覚的」という用語のなかに読み込み、ミメーシスと触覚、そして「くつろぎ」について展開される著者の独創的な読みは刺激的。ベンヤミンのテクストをポジティヴな発見法として読みたいという、序章の「精読」「注釈」についての著者の態度表明も示唆的。70年前の「歴史の現在」を、いまの私たちを条件づける「歴史の現在」へと接続する想像力のTaktik (触覚)のなかからベンヤミンの言う「根源」が姿をあらわすさまが、これほど明晰に思考のプロセスとして経験されたことはなかった。

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