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性の境界 からだの性とこころの性(岩波科学ライブラリー)

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性の境界 からだの性とこころの性 (岩波科学ライブラリー)

山内 俊雄 (著)

紙書籍

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商品説明

性転換をめぐる問題は単に性に関する事柄にとどまらず、社会の中での人と人との新しい関わり方や考え方にも多くの示唆を与える。性同一性障害をもつ人たちがどんな症状を抱え、なぜそ...続きを読む

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商品説明

性転換をめぐる問題は単に性に関する事柄にとどまらず、社会の中での人と人との新しい関わり方や考え方にも多くの示唆を与える。性同一性障害をもつ人たちがどんな症状を抱え、なぜそれが起こるのかに迫る。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

山内 俊雄

略歴
〈山内俊雄〉1937年長野県生まれ。現在、埼玉医科大学副学長、教授。同大学倫理委員会、日本精神神経学会「性同一性障害に関する特別委員会」で委員長を務める。著書に「性転換手術は許されるのか」等。

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社会生活面での権利も確立を

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2000/07/28 15:01

評価4 投稿者:鈴木クニエ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 やはり少し続けておきたい。
 96年に流れた「埼玉医科大学で性転換手術承認」のニュースは、衝撃的だった。テレビ各局もかなりの時間を割いたが、なかでもTBS『ニュース23』はこれまでの性転換手術の様子まで取材を行っていた。従来のアンダーグラウンドで手術を行う医者が、患者を罵倒する声が流れる。「文句言うんだったら、やらないよ」といった脅しともとれる言葉を言われながら受ける手術は、どれだけ屈辱的で辛いだろうか。過去に性転換手術を行った医師が優生保護法違反に問われて以来、そういう状況が続いてしまった。しかし、埼玉医大のようにきちんと検討し、心と体の性の不一致に悩む人々が(必要としているならば)正当な治療を受けられ、患者としての権利をもてるようになってほしい。本書によると、性転換手術という言葉も、最近は「性別再適合手術」と呼ばれ始めているという。本来的な表現が使われるのは喜ばしい。
 私は、女の体を持ち、自分を女だと思い、男に惹かれる。圧倒的なマジョリティに属す。しかし、なぜ自分を女だと思い、男に惹かれるのかは、不思議でならなかった。無自覚でいられるマジョリティだからこそ、自分たちの性について自覚的に問い続けたい。また、私を含めた社会が、どれほどの負担をマイノリティに強いているかについても。
 男女の性には、少なくとも[生物学的性・性自認・性指向]の3つの軸があると、私には思える。その軸の上でグラデーション的に、性が位置づけられる。決して二項対立ではない。一般的になっているとはまだいえない、この性の問題が、本書や関連書を通じてせめて知識としてだけでも知られてほしい。そしてできれば、少しでも理解を得られるようになってほしいと願う。単に医療的な措置だけで完結しないからだ。二分法で性別記載される戸籍の問題、就職の問題などが課題として現在も残る。医療面同様、重要な課題である。性分化の仕組みや医療面について詳しい本書とあわせて、伏見憲明氏や虎井まさ衛氏の著作なども読んでいただきたいと思う。

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心と体の性の不一致が照射する性の多様さ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2000/07/09 17:30

評価0 投稿者:鈴木クニエ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 体は男だが心は女。あるいは、体は女だが心は男。96年、心の性と体の性が一致しない、この「性同一性障害」に社会的関心が集まった。著者が属する埼玉医科大学倫理委員会が、性転換手術を治療法として承認したためだ。
 そもそも性は、どのように決まるのか。受精卵からヒトになる発生段階で、性の分化が起こる。Y染色体上のSRY遺伝子が、性分化で重要な役割をはたすという。まだ解明されていない点もあるが、本書は体と脳が女または男となる過程をわかりやすくまとめている。とても精巧でかつ興味深い仕組みだ。おそらくは発生途中になにかが原因で生じた性同一性障害の診断と治療、さらに社会的課題を、著者は医療者の立場から誠実に綴る。
 アンダーグラウンドに追いやられていた日本の性転換を取り巻く状況が、少しだけ変わってきたと思う。日本で性同一性障害をもつ人は2200〜7000人と推定される。心と体の性の不一致が照射したのは、性の多様さだった。

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