- 出版社:法蔵館
- サイズ:20cm/271p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8318-5603-7
脳死の人 生命学の視点から 増補決定版
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- 税込価格:2,520円ポイント:24pt
- 発行年月:2000.7
- 発送可能日:7~21日
- 本
商品説明- 「脳死の人 生命学の視点から 増補決定版」
日本の脳死論議の地平を切り拓き、その方向を決定づけた旧版に、「移植前夜、医師たちを前にした講演」と「子どもの脳死問題」の新稿2篇を増補。東京書籍1989年初版の増補決定版。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「脳死の人 生命学の視点から 増補決定版」
森岡 正博
- 略歴
- 〈森岡正博〉1958年高知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。現在、大阪府立大学総合科学部教授。著書に「電脳福祉論」「宗教なき時代を生きるために」など。
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ユーザーレビュー- 「脳死の人 生命学の視点から 増補決定版」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2002/02/26 15:09
「脳死」を考えると、世界は広がる。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
立花隆の脳死三部作(『脳死』『脳死再論』『脳死臨調批判』中公文庫)に対する素朴な疑問から著されたという書。現在の時点で「脳死」を語ったり考えたりする際には恐らく避けて通れない書であると考えられる。名著であると思う。
「脳死」や臓器移植を主問題として扱った書籍は数多く存在するが、本書の視点はある種独特である。氏は「脳死」に対し医学的な見地からの解読よりも、氏が独自に立つ「生命学」の立場や文明論の視点からの考察に力を注いでいる。読みながら「なぜ氏は医学的な立場より氏独自の立場からの論が「脳死」や臓器移植を考える際により有効だと考えるのか?」という疑問を持つかも知れないが、読みすすめるうちにその疑問は解決されていく、と思う。
具体的な内容を少し紹介しますと…。
「医学的・法的な問題の解決を人々に納得させるやり方でコンセンサスが形成される」という移植推進派の一部に根強い見方が根本的に誤りであることを指摘したり、「脳死の人」の身体をさまざまなかたちで利用しつくそうとする一連の動きを紹介し警鐘を発したり、死の受容には「わたしの死」「わたしと親しい人の死」「わたしと親しくない人の死」という三種類の受けとり方があることを指摘したり、効率主義で生命を相対化することがもたらしかねない危険性を指摘したりし、それらを論理立てて説明し尽くしている。
「脳死」臓器移植や生命倫理学系の問題を考えるために必要な視点を得るには好適な本であるとともに、「いのち」をめぐる、そのほかの問題を考える糸口も確実につかめる本である。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/09/29 17:30
いのちを考えたいあなたに贈りたい
投稿者:ちゅう子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いのちを定義づけるのは何ものだろうか。人は考えるからこそ、ふと気づいたときに思いもよらぬ展開が始まるのである。
21世紀に入り「臓器移植」についての問題が庶民の我々にとっても身近なものになってきている。日本では20世紀も終わろうというとき、ドナーカード(脳死での臓器提供意思表示カード)が普及し始めた。「死んだら、痛くも何ともない身体。このカラダで誰かの命が助かるのなら、死んだら身体の提供をいたしましょう」という意思は美しく広がっていっている。「いや、人様には差し上げてもいいけど、私自身は人様の臓器、身体を頂こうとは思わないわ。」という意思も同時に存在している、云々。このようにいろいろな意思を表出することは自由なのである。しかし、人々に生まれるこのような感情をいち早く受け止めていた人物、それは一昔(それ以上になるだろうか)前、脳死臓器移植医療に「ちょっと待った!」をかけていた森岡正博氏である。
「死ぬ」ことについて我々はどのように認識しているのであろうか。恐らくは誰もが「もう心が存在しない、抜け殻の身体が残った状態」と思いがちなのではないだろうか。
著者は「ほんとにそれだけ?」の問いを繰り返し我々に語りかけ続けている。というのは、そこに「脳死」という一見「完全と思わせる死」を見逃さなかったのである。
日本において我々が迎える「死」は、医師によって確認され、法的に承認され、火葬して墓に納めるというものであろう。このとき「死」とははたしてそれだけだろうか。著者は、現代社会・現代医療(…ときに、過去の話しと思える面もあるが、日本全国ではまだまだ彼の指摘している意識は存在している…)の側面から「人々の死」の捕らえ方の盲点を指摘している。そこに、「人々のこころ」の存在を我々に思い出させてくれる。本書では臓器移植について多くが語られその経緯も読み応えがあるが、著者はそれのみを語っているのではないというところをさぐってみたくなる。さらに、著者自身が現在もなお、我々への問いかけをやめてはいない。初版に引き続き文庫本、そしてこの増補決定版が急いで刊行された。それは人の死が法律で決められようとしていることへの警鐘からである。「死」とは誰のものであろうか。決定版とはうたってあるが、それは移植医療についての彼なりの締めくくりであって、著者はまだまだ考え続けているのである。
森岡氏にとっての生命、とりわけ「ひとのいのち」とはかけがえのないものである。あなたは「ひとのいのちは、誰にとってもかけがえのないもの」と自信を持って語れるであろうか。私にとってのこの本は、「そんなこと、あたりまえじゃないか」という傲慢な心に「ほんとにそう思っているの?」と扉をたたいてもらった貴重な一冊である。
森岡正博氏の生命に対する大いなる思い、あなたは何処まで読み取ることができるだろうか。彼に弱点があるとしたらそれはどういうことだろうか。「いのち」を真剣に考えるあなたとともにありたい「森岡正博氏のいのち」、森岡氏の歩みの一冊である。







