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飯島耕一・詩と散文 3 ゴヤのファースト・ネームは バルザックを読む

  • 出版社:みすず書房
  • サイズ:21cm/332p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-622-04733-0

飯島耕一・詩と散文 3 ゴヤのファースト・ネームは バルザックを読む

飯島 耕一 (著)

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  • 税込価格:3,675105pt
  • 発行年月:2000.12
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商品説明- 「飯島耕一・詩と散文 3 ゴヤのファースト・ネームは バルザックを読む」

第5回高見順賞を受けた「ゴヤのファースト・ネームは」と、バルザックの文学空間の奥行きと魅力を分析・味読した最新の入門=研究を併収。没後150年、巨人の全貌に迫る論考を集成。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「飯島耕一・詩と散文 3 ゴヤのファースト・ネームは バルザックを読む」

飯島 耕一

略歴
〈飯島耕一〉1930年岡山生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。国学院大学教授を経て、2000年3月まで明治大学教授。詩集に「虹の喜劇」「猫と桃」、評論集に「アポリネール」など。

ユーザーレビュー- 「飯島耕一・詩と散文 3 ゴヤのファースト・ネームは バルザックを読む」

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2001/01/04 18:15

バルザック的世界への格好の指南の書

投稿者:吉村和明(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 20世紀最大の小説家マルセル・プルーストは、『サント=ブーヴに反論する』のなかで、バルザックを念頭に置いて、「わたしたち」はいまや、フロベール、マラルメといった作家たちには少々食傷気味で、たしかに効き目はあったにせよ、無塩療法を続けた末に、塩が欲しくてたまらなくなる人のようなものだといった。この話を紹介しながら飯島耕一氏がいうように、ほかならぬバルザックこそまさに「塩」だというわけである。

 このたび上梓された『飯島耕一・詩と散文3』には、1974年刊の詩集「ゴヤのファースト・ネームは」とともに、「バルザックを読む」の総題のもと、著者がこの十数年打ちこんできたバルザック研究の成果を示すテクストの数々が収められている。
 無塩療法に慣れた「わたしたち」は、どこかで「塩」を渇望しながら、しかしいざ実際口にしてみると、すぐにその強い刺激を受けいれることはたぶん容易ではないかもしれない。そんなとき、「バルザックを読む」のテクスト群は、「塩」の味に馴染み、それをわがものとするための、格好の助けとなるだろう。

 1983年、大学の授業で『ゴリオ爺さん』を読んだのがきっかけで、飯島氏は「バルザック党に変身した」のだという。バルザックが「人物再登場」の手法を初めて意識的に適用したこの小説は、いわば「人間喜劇」の要ともいうべき作品であり、いろいろな読み方が可能だが、ひとつのありうべき読みの道筋は、これを「人間喜劇」きっての「悪の詩人」、ヴォートランの初登場作品と見ることである。これ以降ヴォートランはそのまがまがしい強烈な個性で、『幻滅』、『娼婦の栄光と悲惨』という二つの大作を染めあげ、こうして「人間喜劇」の骨格をなす「ヴォートラン三部作」というべき作品群がかたちづくられる。『娼婦の栄光と悲惨』は、つい先頃飯島氏自身の訳で藤原書店から刊行されたし、さらに飯島氏は、「人間喜劇」の小説をあれこれと読んできて、「『幻滅』からこの『娼婦の栄光と悲惨』全体が、面白さから言うなら一番」ともいっている。ほかにも「塩」の効いた作品はむろん多々あるが、飯島氏の指南にしたがい、このあたりから広大で奥深いバルザックの世界に入ってゆくのもいいかもしれない。

「バルザックを読む」は、たんなる狭隘な「専門」研究ではない。とりわけその第二部「思想の見晴台に立って」にはより突っ込んだ論究が集められていて、バルザックをネットワークの中心として、19世紀初めの矯激なカトリックの思想家、ジョゼフ・ド・メーストルに始まり、「アナロジー」の重視という点でバルザックとの類縁が感じられる「空想的社会主義者」フーリエ、さらにこのフーリエを介して、アンドレ・ブルトンとシュルレアリスムといった具合に、世界はどんどん広がってゆく。

いずれもたしかな手応えのあるテクスト群であって、そのうえ、飯島氏の詩人としての代表作のひとつ、「ゴヤのファースト・ネームは」まで一緒に読むことができるのだから、「贅沢」とはまさにこのようなことをいうのではないのだろうか? (bk1ブックナビゲーター:吉村和明/フランス文学研究者・上智大学教授 2001.0105)

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