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クー

  • 出版社:角川春樹事務所
  • サイズ:16cm/276p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-89456-757-1

クー (ハルキ文庫)

竹本 健治 (著)

  • 全体の評価 3.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:73521pt
  • 発行年月:2000.9
  • 発送可能日:7~21日

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ユーザーレビュー- 「クー」

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評価内訳 全て(2件)
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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/05/15 16:16

どんなに強くても「人間は人間」

投稿者:カルバドス(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人は必ず“役割”を持っているという。どんな些細なことであっても“役割”を与えられているのだという。日常生活を続けながらこなせる役割ならよいのだが、人類の未来を変えかねないとなったら、重すぎると感じるのが普通だろう。「勝手にしてくれ!」と投げ出してしまうかもしれない。主人公・クーは、まさにそんな大役を与えられていたのだ。
 SF、ガンアクション、鍛え抜かれた肉体同士の格闘、哲学。基本はSFなのだが、「人間はどうして人間なのか?」といった哲学的命題を含んでいる。ラストに関係するので詳しくは語れないが、単なるアクションではないし、単なるSFでもないことだけは確かだ。
 物語が進むにつれ内容が複雑になっていくが、夢中で読んでいる最中は全然気にならない。この先はどうなるのか、と気持ちがはやっているから。読み終えたとき、その奥深さに気付くだろう。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/10/09 17:30

躍動感溢れる陰惨さが強烈な印象を残すSF

投稿者:yu-I(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

濃密な本格ミステリを書く作家というイメージの強い竹本健治であるが、実は同じくらいSF作品も多く手がけている。
本書は荒廃した未来世界を舞台、非人道的な戦闘訓練を受けた美女を主人公に設定しており、長さも四百枚程度であろうか著者の作品の中では比較的短く、内容も躍動感に富んでいてエンタテイメント性の強い一冊になっている。
ただし、ライトノベルのような作風を期待して手にとると大きく裏切られることとなる。“荒廃した”未来世界が舞台で、“非人道的な”戦闘訓練を受けた(しかも本人の意思に反して)美女が主人公なのである。なんだか他にも見られそうな設定ではあるが、これははっきり言って非常に暗澹たる物語である。それもなるほど「あとがき」を読んでみれば、そもそも「思いっきり救いのない、八方塞がりな話を書いてみたい」というのが執筆の動機だったと著者本人が述べている。
また、重く暗いテーマと派手な戦闘シーンという取り合わせは同著者の「パーミリオンのネコ」シリーズにも見られる(その他設定にも似通ったところが多くあるので、本書が気に入った方は手にとってみると良いかもしれない)が、本書をとりわけ強く印象づけているのは随所に散りばめられた官能的なシーンであろう。この著者の作品では、官能描写は倒錯したシーンのスパイス的に用いられることが多いと感じているのだが、本作ではいかにもエンタテイメントらしい、ストレートなベッドシーンにかなりのページが割かれている。
しかしその描写も、
“眼の前が真っ白な光に包まれ、次にそれは砕け散って、闇に流れる無数の赤い星になった。星ぼしはうねり、逆巻き、巨大な波となって、彼女の意識を呑みこんだ。”
のようなSF的表現が駆使されており、死と隣り合わせの危機的状況下であることなどと融合して、一種異様な効果をあげている。
この点は個性的な登場人物たちが次々に戦闘を繰り広げてゆく躍動感と、陰惨で重苦しいテーマがあいまって生まれるこの作品の異様な雰囲気を、そのまま象徴しているといっていいだろう。

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