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気になる部分

  • 出版社:白水社
  • サイズ:20cm/199p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-560-04933-5

気になる部分

岸本 佐知子 (著)

  • 全体の評価 55件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,57545pt
  • 発行年月:2000.9
  • 発送可能日:購入できません

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商品説明- 「気になる部分」

なぜ「シュワルツェネッガー」の「ェ」は発音されないのか、眠れぬ夜の「ひとり尻取り」、屈辱の幼年時代−。奇妙でせつない日常を強烈なユーモアで綴るエッセイ。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「気になる部分」

岸本 佐知子

略歴
〈岸本佐知子〉1960年生まれ。上智大学文学部英文科卒業。翻訳家。訳書に「もしもし」「室温」「サーカスの息子」など。

ユーザーレビュー- 「気になる部分」

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2004/02/18 19:34

どこかで「飛ぶ」

投稿者:king(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

ニコルソン・ベイカーの優れた翻訳者として知っていたのだけれど、この人の文章もベイカーに劣らず変だ。柴田元幸氏の書評にも例を引かれているポジティブシンキングの実践例などの、想像力のおかしな発展などが多々あってとても面白い。
日常の細部にどうでもいいような考察を繰り広げていくというのは、岸本氏が好んで訳すニコルソン・ベイカーの小説でも同じなのだが、ベイカーと岸本氏には空気感とでもいうものに大きな違いがある。ベイカーのそれが最初は普通っぽいところから始まって、次第にずれていく、というか真面目さの過剰が滑稽さにつながっていくという印象があるのに対して、岸本氏はあるところで、または最初っから「飛ぶ」のである。

「物の本によれば、いちばん手軽な方法としては、寝る前になるべく楽しく美しい光景、たとえばきれいなお花畑などをイメージするというのがある。これなら簡単だと思い、ある晩さっそく試してみた。布団の中で目を閉じ、呼吸を一定に保ち、一面の菜の花畑を思い描いてみた。いい感じである。さらにリアリティを持たせるため、蝶を飛ばし、案山子(かかし)もあしらってみる。と、黄色いじゅうたんの中ほどに、何やら黒いものが蠢(うごめ)いている。カメラをズーム・インしてみると、なぜか河童が一匹こちらに背を向けてうずくまり、花をむしゃむしゃ食っている」

というポジティブシンキングの実践例にしても、なぜか唐突に「河童」がでてくる。
普通、「例えば」や「私の想像では」というような前置きが必要になるようなことにかんしても、ぽんといきなりつながってしまうのである。そしていつしかその想像、妄想が現実とこんがらがっていってしまう不思議な感覚がある。その種のエッセイを読みながら、この人ちょっとした小説を書くと面白いんではないだろうかと思っていたら、「軽い妄想癖」という章に収められている文章がまるで内田百間の掌編のようだった。
これもなかなか面白い。

他には、「バグが出る」というエッセイが面白い。
パソコンのおかしな文字の話から始まって、エレベーターとエスカレーターの区別の付きにくさに話が進む頃には、私は大きくうなずいていた。
たとえば、区別をつける窮余の策として案出した方法、

「字数の多い感じのする「エスカレーター」の時は階段の形を思い浮かべ、その一段一段に「エ」「ス」「カ」「レ」……と文字が刻まれているところを思い描く」

というのだが、いまになってもやはりエスカレーターという言葉を発する時には、そのイメージが一瞬だけ浮かんでいることに気づくというのである。そう、エレベーターとエスカレーターは区別が付きにくいのである。
いまでも私は間違えてしまいそうな気がする。なんとなく、間違わないのだが。

他にも、朝パソコンの電源を入れ正常に起動するとプリンタから「やってみなはれ」と打ち出されてくる会社や、国際きのこ会館での悪夢のような滞在記、横須賀市を自分にくれないかなと子供の頃からずっと思っている変な同僚ヨコスカさんの観察、などなど奇妙で笑えるエッセイ集である。

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2001/09/22 13:46

愛すべき変な人

投稿者:ポーリィーン(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 表紙の絵に惹かれて手にとってみた。気の強そうな女の子がハサミで自分の三編みを切ろうとしている。裏表紙を見てみると実際に切ってしまって悲しげな表情。変な表紙だと思ってページをめくればもっと変なエッセイだった。「根掘り葉掘り」の「葉堀り」とはいったい何の意味があるのか、一人携帯電話を持って笑いながら歩いている人が珍しくなくなったが本当に手に持っているのは携帯電話で羊羹や木炭ではないと言い切れるのか…。独自の疑問や考え(証明するために統計をとっていたりする)が大いに笑えます。

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2004/12/20 16:50

岸本さんの頭のスイッチを押してみたら…

投稿者:風(kaze)(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 例えばここに迷路があって、入口から一人ずつ入っていくとする。たいていの人はうろうろと迷いながら、右に折れ、左に折れして歩いて行く。矢印で言うと、ある所で→に曲がり、ある所で←に曲がりながら進んで行く訳である。ところで、本書の著者の岸本さんだったらどういう行動を取るだろうかと考えてみる。で、私は思う。迷路の道を歩いて行くうちに、突然スキップしてみたり、仕切りの壁をよじ登ってまたぎ越したり(↑に向かったり)、岸本さんには確かに見える地面の取っ手を持ち上げて、その穴の中へとさっさか入って行く(↓に向かう)のではないかと。

 今、迷路を引き合いに出してみたのだが、要するに何が言いたかったのかというと、思考の働かせ方や、何にこだわるか、何をどう面白いと感じるかという点で、多くの人と岸本さんのそれとはかなり違っているようだと、それを言いたかったのである。一般の人とは違うこだわりや関心を持っていたり、多くの人とは別の方向へと思考回路が繋がっていくところ(そして岸本さんの場合、それはしばしば飛躍するのだが)、岸本さんならではのマイナーへの指向性のようなもの。それが手触りとして感じられる本エッセイ集は、実に興味深く、読んでいて面白いものだった。

 >の冒頭の文章に始まり、その文字の変形について考察していく「シュワルツェネッガー問題」。
 “エレベーター”と“エスカレーター”とがなかなか区別できなかった幼い頃のことから、ある言葉が別のそれへと無意識に変換されてしまうことへと話が展開して行く「バグが出る」。
 全編“きのこ”尽くし、あっちに“きのこ”、こっちにも“きのこ”と“きのこ”が出てきて、それがさらに増殖して行くかの如き奇怪な風味を漂わせた「〈国際きのこ会館〉の思ひ出」。
 新幹線の一番前の“鼻”と呼ばれている部分が気になるという所から始まって、ついには、岸本さんが以前勤めていた会社の社長の気になる部分へと行き着く「気になる部分」。

 と、面白かったエッセイをこう列挙していけばキリがないのだけれど、そうした奇妙な味わいのあるエッセイとは別の意味で印象に残ったのが「トモダチ」である。ここでは、岸本さんの小学校六年生の冬の思い出が語られて行く。読みながら、東野圭吾さんのある作品を思い浮かべていたのだけれど、そこには星新一さんのショートショートに通じる雰囲気もある(例えば、「鍵」という作品に通じるような味わい)。読み終えて、どこかなつかしい気持ちに誘われたこのエッセイが、私は一番気に入った。

 また、本書の第四部「翻訳家の生活と意見」で、岸本さんが強烈なインパクトを受けた面白い小説がいくつか挙がっている。「なるほど。岸本さんらしい選択だなあ」と、本の紹介文を読みながら思った。
 岸本さんの頭の中のワープロでは“荷凝尊”と変換されるほど、著者の並々ならぬ思い入れが伝わってくるニコルソン・ベイカーの作品も、いつかきっと読んでみよう。そんな“おまけ”まで付いてきた本書は、何とも奇妙で不思議な味のする好エッセイ集だった。

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2001/01/30 10:40

森まゆみのブックガイド・コラム〜本のある暮らし

投稿者:森まゆみ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 岸本佐知子の名はベイカーやアーウィングの翻訳家としてはよく知っていたが、こんな随筆の手だれとは知らなんだ。
 この人の想像力は人と別物である、子どものときから。
「ある人がくだもの屋さんで20円のリンゴを7個買おうとしたら10円足りませんでした。この人はいくら持ってたでしょうか」という問題が出るとする。すると岸本さんは“ある人”がひどく気の毒になりはじめる。計算どころか“ある人”のことをいろいろ想像して、それが淡い恋心に変わったりしているころ「はい、鉛筆おいて!」と先生の声。

つづきはこちら

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2001/01/05 18:17

11月25日今日のおすすめ

投稿者:bk1(不明|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る


 なぜ「シュワルツェネッガー」の「ェ」は発音されないのか、眠れぬ夜の「ひとり尻取り」、屈辱の幼年時代—。奇妙でせつない日常を強烈なユーモアで綴るエッセイ。

【コメント】
 ユーモア・エッセイ界に超大型新人登場。
 「新幹線の先頭部分の中に何が入っている?」「福袋は兵器になるか?」・・・・などなど世の中の、どうでもいいけど気になる部分について、じっくりていねいに考察していきます。
 名翻訳家としても名高い著者ならではの品の良い文章も魅力的。(筑摩書房・松田哲夫)

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