- 出版社:角川春樹事務所
- サイズ:20cm/412p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-89456-911-6
エリ・エリ
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- 税込価格:1,995円(57pt)
- 発行年月:2000.12
- 発送可能日:7~21日
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商品説明- 「エリ・エリ」
【小松左京賞(第1回)】「神」に代わる超越者を求めて人類は、「ホメロス計画」による地球外知的生命体との接触を試みるが、計画の反対勢力による陰謀が極秘裏に、進行していた。宇宙・神・人類の根源に迫るSF巨篇。第1回小松左京賞受賞作品。【「TRC MARC」の商品解説】
ユーザーレビュー- 「エリ・エリ」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/10/01 13:53
現代版「理神論」の行き着く先
投稿者:FAT(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学文明が着実に進歩する中で、既存宗教への人々の関心が急速に離れていく近未来が舞台である。この近未来では、太陽系内の惑星の開発が進んでおり、木星にまで人類の生活圏は拡大している。そして、人類は更に太陽系の外宇宙にいよいよ進出しようと「ホメロス計画」を実行に移そうとしているが…。
本書のモチーフは、現代版の「理神論」とでも言うことができるだろうか。「理神論」では、世界の創造主としての『神』の存在は肯定するが、その『神』の人格や奇跡の存在については否定し、『神』は世界の創造=自然法則の定立後は、個々の現象には介入しないとする思想である。いわば、宇宙は「神が創造した偉大なる自動機械」だという、極めて合理的・近代的な世界観である。
しかし、キリストがその最後において「エリ・エリ」と神に問いかけたように、人類は、最後の最後に「依るべきもの」の存在を否定するこの世界観には耐えられないのかも知れない。それ故、人類の進化を見守る「偉大なる父」たる地球外知的生命体という新たなる『神』のイメージを創り出してきた。その典型は、『幼年期の終り』のオーバー・マインドであり、同じく『2001年宇宙の旅』のモノリスであろう。本書でも、そのような立場から、人類の進化を見守ってくれているかも知れない太陽系外の知的生命体を希求する人類の姿を描き出しており、クラークのこれらの作品とも通底する重厚感のある作品に仕上がっていると思う。
なお、山之口 洋の『オルガニスト』とも響き合うような結末が用意されており、人間の未来の有り様について示唆的・暗示的なものが感じられる点も興味深いところだ。
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2002/09/04 02:00
神よ神よ、なぜ我を見捨てたもう
投稿者:青月堂(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
神よ神よ、なぜ我を見捨てたもう(エリ、エリ、レマ、サバクタニ)新約聖書・マタイ伝に出てくる一節である。
近未来(21世紀半ば)、人類は宇宙への進出に望みを託していた。月、火星、そして木星のアステロイド帯に基地を作り、資源の採取や移住の可能性を探る。テクノロジーの進歩は、神の存在に疑問を投げかけ、宗教そのものが廃れていた。しかし、人間は精神的な弱さから、神に変わる超越者を欲し、それを宇宙に求めた。宇宙の知的生命体を探す計画は、神を探す計画でもあった。
神の存在を感じられなくなった神父。レオナルド・ダビンチの如く万能な科学者。インプラント(エイリアンにより身体に何物かを埋め込まれること)されたと信じる精神科医。彼らを軸に、宇宙開発の推進者、反対者達、ローマ教皇やアメリカ大統領といった面々が織り成す幾つかの物語。そして、宇宙から飛来した謎の巨大宇宙船が現れた時、バラバラだった話が一つにまとまっていく。
壮大な話を破綻なくまとめあげる力量はとても新人とは思えない。半村良や光瀬龍といった60年代のSF黄金期の作家を思い浮かべた。そして、もう一人思い浮かべるとしたら、小松左京。この作品は第一回小松左京賞受賞作でもある。
それ程ハードなSFという訳でもないので、SFが苦手、という人でも充分楽しめると思う。ちなみに、作者はヒラタニ・ミキではなく、ヒラヤ・ヨシキと読む。男性である。
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2001/03/29 10:28
ストレートど真ん中SF
投稿者:桐矢(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一回小松左京賞受賞作品。小松左京がさまざまな作品で描いてきたテーマ、「人類の未来」「神の存在とは」に真正面から取り組んだ力作。
舞台は21世紀半ば。「神はいない」敬虔なクリスチャンだった友人の最後の一言が、主人公の牧師、榊をアルコールに溺れさせた。極限まで進んだ科学が非論理的な存在を否定する。
その一方で異星人による誘拐・アブダクション事件が続発していた。神を失った人類は、超越者としての異星人を求めるのか。NASAでは、太陽系外の地球型惑星へ宇宙船を飛ばそうというホメロス計画が進行している。
そして、教会の威信をかけて、「科学によって神を証明」するために、バチカンの教皇自らが目をつけたのが、そのホメロス計画だった。
著者の前作「エンデュミオン・エンデュミオン」をはるかに上回る完成度だ。登場人物は多いが、それぞれ魅力的で、わかりやすく書き分けられ、なぞを追ううちにこれだけの厚さの本が一気に読めてしまう。文句なしで、受賞が決まったというのも頷ける。
後半にかけて、大きく俯瞰した構図になっていく。
主人公の榊、気に入っているので、もっと活躍してほしかった。続巻を待ちたい。
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2000/11/28 18:50
概要
投稿者:bk1(不明|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十一世紀中頃。地球人類は精神的進化の時代にあった。そしてそれは、“神”という非論理的な超越者による救いへの懐疑の始まる時代でもあった。人類は神にかわり、“隣人”すなわち地球外生命体の存在を求めていたのだった……。
こうした時代風潮を背景に、木星では「ホメロス計画」が実施されようとしていた。異星人の探査を目的としたこの計画の中心として無人宇宙船ホメロスIが建造され、人類の強い期待を集めていた。だが反面、計画に参加している各国の間では、実際問題として、太陽系内の資源開発を最優先したいというのが本音であり、それには、莫大な資金を要するホメロス計画は、邪魔な存在でしかなかった……。
“神”を捨て、他の知的生命との遭遇に期待を寄せはじめた人類だったが、その反動として、宗教は衰退の一途をたどっていた。神に疑いを抱き、信仰を失った人々は教会を捨て、自殺する者すら現れた。そうした中、カトリック神父・榊和人は、自らも信仰心に疑念を感じていた。そして彼は「神を論理的に解釈することこそ、宗教の衰退を押し止めることのできる道だ」と説く論文を発表する。この論文は教皇庁より高い評価を受け、法王自ら、榊を“神を探す計画”の責任者に任命、「ホメロス計画」の一員として神の存在を追究するよう命じるのだった。そして巡礼の旅に出た榊だったが、エルサレムにおいて爆弾テロに遇い、瀕死の状態となってしまう。
一方、ホメロス計画に反対する勢力もまた、計画を阻止すべく着々とテロ計画をたてていた。彼らは一人の精神科医をマインドコントロールし、木星へ送り込み、ホメロスIともども爆破してしまおうとしていたのだった。
だが、こうした一連の動きを超越した事態が発生する。銀河中心方向からニュートリノによる通信が受信されたのだ。それは太陽系をめざして飛来する異星人の巨大な宇宙機から発せられたものだった!ついに人類は地球外生命に邂逅したのか、それとも……。
第一回小松左京賞受賞作!
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2000/11/20 00:38
神の概念を探究し、ファースト・コンタクトを活写
投稿者:喜多哲士(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類が宇宙に進出し、エネルギーや食料などの資源を地球外に頼るようになった近未来が舞台。心のよりどころを宗教に求めることをやめる人々が急増、カトリック教会も方針転換を迫られている。そのかわりに異星人の存在を信じるものが増えていた。全地球的な規模で異星人とのコンタクトをはかる「ホメロスI」計画が推進されているが、それに反対する勢力もある。そして、明らかに人工的に作られたと思われる巨大な物体が地球に接近してくる……。
本書は、そのような設定の中で、神とは何かを求める神父、異星人に支配されていると妄信する精神科医、木星で計画に参加する物理学者、計画を押し進める俳優出身のアメリカ大統領、計画の失敗をもくろむ軍人などの多彩な人物たちを縦横に動かし、神の概念を探究し、ファースト・コンタクトの模様を活写するというSFならではの展開を繰り広げている。
その壮大なもくろみは、そういった巨視的な物語をつむいできた第一人者の名を冠した第1回小松左京賞にふさわしいものだといえよう。ただ難点をあげるとするならば、登場人物の行動がその設定に追いついておらず、神や異星人に対して根源的なところまで追求しきれなかったことだろう。
しかし、こういった大きなテーマに正攻法で立ち向かおうとする作者の姿勢には好感が持てるし、今後壮大な世界を構築していくであろう作者の出発点として大きな価値を持つ作品であることは間違いない。
(喜多哲士/書評家・教員・童話作家
http://www4.justnet.ne.jp/~tetsuji-kita/)







