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中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)
中坊公平・私の事件簿
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紙の本
ただ、ひたむきに生きてきた人
2003/01/25 22:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:s@ひつじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中坊氏のことを知ったのは何年か前のNHKのドキュメンタリー番組だった。住専関連の後始末を任せられていた。暴力団などからの脅迫などもある中で奮闘しておられた姿が印象的だった。しかし、それは彼の仕事の一部でしかなかったのだ。この本はこれまでこの人が取り扱ってきた500件を超える事件の中から14の事件を取り上げている。それは、この人の歩んできた道であるが、同時に、私たちに社会の縮図や歪みをも突きつける。彼はこの他に担当した事件の全てを事務所に保管しているという。それは、全ての事件に生きている間はもちろん死んだあとも責任を取るということだと言い切っている。それは、どんな事件にも全力を尽くしたという彼だからこそであろう。彼は大上段に構える人ではない。常に人間を見る目が暖かい。しかし、不正な権力に対しては徹底的に闘う。それは、企業、行政、政治、司法から暴力団までいわゆる権力機構に対してまるで一匹狼のように立ち向かう。「闘う弁護士」といわれた所以だ。この中で胸を打つのは「森永ヒ素ミルク事件」の冒頭陳述と産業廃棄物の不法投棄「豊島事件」での行政側と住民との最終調停の際の挨拶だ。大企業、国や県などの傲慢さからくる不始末が、いかに罪のない人々を苦しめているのかが自分のこととして胸に迫ってくる。そして、最終章で住専の後始末の顛末を読み、著者のあとがき。「人間というのは、ただひたすら、懸命に、ひたむきに生きていかなければいけない。ひたむきさがない人間には心を揺り動かされない。…(中略)私はただひたむきに生きてきただけだ」。熱いものがこみ上げてくる。この本は難しい法律用語をできるだけ使っておらず平易でわかりやすい。これも著者の人柄だろう。どこまでも頭の下がる人である。
紙の本
この人はやっぱりスゴイ!
2001/09/02 12:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:阪神タイガーツ - この投稿者のレビュー一覧を見る
闘う弁護士こと中坊さんが担当した約300件の事件から、とくに心に残る14の事件をピックアップして記したもの。
個々の事件で、その時々の感情を素直に表しており、書面からでもその熱意を感じられ、ついついこっちまで熱くなってしまいます。
中坊さんの「正義」「思いやり」を感じたい人は、ぜひ読んでください。十二分に感じ取れることでしょう!
紙の本
教えられたこと
2001/08/30 23:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akira - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本で一番印象に残ったのは「森永ヒ素ミルク事件」。おおまかなことは知っていたが、この本により別の視点を教えられた。ヒ素入りミルクを飲ませ続けてしまったお母さん達のこと。被害者は赤ちゃんだけではないのだということを。そして中坊さんの「赤ちゃんは先に生まれてきている大人を信じきっている----- 」今幼児虐待が問題となっているが、自分が育児で悩んだときには中坊さんのこの言葉を思いだそうと思う。
紙の本
涙なくしては読めない冒頭陳述
2012/06/13 18:35
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと、日本語はスピーチには向かないと思っていた。論理的な討論ができないということではない。日本語でも正しい言葉遣いをすれば、論理的なやりとりはできる。ただ、冒頭陳述や就任演説などスピーチの類で、心を揺さぶられるものに、出会ったことがなかったからだ。
しかし、この本の「森永ヒ素ミルク中毒事件」の[冒頭陳述]を読んで、こんなにも感動的なスピーチが日本語で可能なのだと気づかされた。読み進む途中で、涙が止まらなくなった。数日おいて、声に出して読んでみた。本当に素晴らしかった。これで心を動かされない人はいないだろうと思った。
感動といえば、中坊公平の父親の言葉も、この人を作り上げた言える。森永という大企業や国を相手に闘うことは、よい客を減らすことになるのではないかと考える著者に、彼の父親は、
「情けないこと言うな。お父ちゃんは公平をそんな人間に育てた覚えはないぞ。この事件の被害者は誰や。赤ちゃんやないか。赤ちゃんに対する犯罪に右も左もない。お前は確かに一人で飯を食えるようになった。しかし、今まで人の役に立つことを何かやったか。小さい時から出来が悪かったお前みたいな者でも、人様の役に立つなら喜んでやらしてもらえ」
と言ったのだ。
閑話休題:それにしても、こうしてみると、弁護士や裁判官も危険な商売である。そんな危険な場に一般国民を引きずり出す裁判員制度って、なんなんだろう。
紙の本
尊敬出来る人物
2003/07/27 19:11
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投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の扱った14の事件の事例を語りながら、著者の信念を語っていた。
著者の信念。それは、正義とは何かである。法律は、万民に公平にと作られているが、実際には、公平では無い。それを弁護士の立場から、弱者にも陽があたるように努力した生き様が示されていた。「森永砒素ミルク事件」「豊島廃棄物事件」は、その象徴である。「住専問題」は、国民に「罪無き者に罰を与える」事件として、これ以上国民を踏みにじらないと悪戦苦闘している。正義、ここに極めりという感である。
NHK人間講座でも、3ヶ月彼の講義を聞いたが、正義の一語につきる思いだ。自分が感動した出来事を語る時は、涙して語る。不正を語る時は、激怒して語る。こういう人物が法務大臣を勤めて欲しい。
紙の本
弁護士の鏡
2002/04/12 09:21
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投稿者:pu- - この投稿者のレビュー一覧を見る
「中坊公平」という名前は新聞紙上やテレビの画面でよく目にします。では、いったい何をしてきた人なのかと問われたら、私は全く答えることが出来ませんでした。本書は、中坊公平氏の弁護士ヒストリーを大雑把に把握することが出来ます。
世間を震撼させた刑事事件から、環境問題まで扱う氏の器の大きさを認識することが出来ました。本書を読み、事件に際し中坊公平氏が、真実のため依頼者のために尽力している姿を知り、彼こそが弁護士のあるべき姿なのではないだろうかとも思いました。弁護士は司法試験を通れば名乗ることの出来る資格です。弁護士バッチが一人歩きしている弁護士も世の中には多いと思います。世の弁護士にはこの中坊公平氏の姿勢を見習ってほしいです。
「弁護士の仕事ってなんんだろう?」と思う人に対しても、本書はお薦めです。
紙の本
生きる姿勢
2002/03/27 00:11
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投稿者:ぶん - この投稿者のレビュー一覧を見る
弁護士の書いた文章ならば、まず堅く理路整然とした文章をイメージするが、この本は、そのように身構えて読む必要はない。事件簿という記録文ではなく、随想録と言った方がぴったりくるだろう。
内容は、著者が実際に体験した事件の概略から、弁護士として、人として感じなければならない気持ちを著者なりにまとめた本である。人情に篤く、正義心の強い著者の人となりを感じることができる本である。
紙の本
中坊公平の俯瞰図
2001/07/19 23:29
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投稿者:穂高 嶺二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者がこれまで扱ってきた14の事件とそこから得られた教訓が簡潔にまとめられていて、著者のこれまでの足跡を辿るのに便利。また、森永ヒ素ミルク事件の冒頭陳述は心を打たれる。しかし、新書という制約から一つ一つの事件にさかれた分量が少なく、少々物足りない。著者は現在朝日新聞紙上で自叙伝を連載しているが、こちらは独特の語り口で生い立ちからの出来事が事細かに述べられているので、それぞれの事件と著者の態度・行動をより詳しく知りたい方にはこちらがおすすめ。
紙の本
「現代の鬼平」中坊弁護士が戦ってきた人生の軌跡を,14の事件処理を通してたどる
2000/12/28 12:17
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投稿者:廣田 耕司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧住専処理やゴミを持ち込まれた瀬戸内の豊島の解決にらつ腕を振るい,日本で最も正義感の強い人として国民の信頼を集めている中坊弁護士。500件以上の事件や裁判に関わってきたが,特に印象の深い14の事件について,思い出を語ったもの。
1960年,最初の事件は中小企業の和議をめぐってのケース。孤立無援のまま工場現場に入り込み,工員と同じ作業をし信頼を得る。「事件を解決に導く本質は法律ではない。現場にある」これが氏の現在の基礎になっている。そして森永ひ素ミルク中毒事件,豊田商事事件,グリコ・森永脅迫犯模倣事件,瀬戸内の豊島事件,不良債権・住専処理事件と続く。「落ちこぼれで出来の悪い私は,事件を担当することで徐々に成長した。そして自分のためでなく,みんなのためにひたむきにがんばらねばならないということを学び取ってきた」と語る。得手勝手な利益追求が横行する現在,まだ日本は救われるとの思いに駆られるような清涼剤でもある。
(C) ブッククレビュー社 2000