- 出版社:吉川弘文館
- サイズ:19cm/299p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-642-05027-2
明智光秀 新装版 (人物叢書 新装版)
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(1件のユーザーレビュー)
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- 税込価格:2,205円(63pt)
- 発行年月:1986.2
- 発送可能日:24時間
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商品説明- 「明智光秀 新装版」
三日天下で有名な典型的反逆児。主君弑逆の原因如何。其人間像描き心裡を分析し歴史の謎を解く。
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ユーザーレビュー- 「明智光秀 新装版」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/04/30 13:33
謎は深まった。でも、ある意味、腑に落ちた。光秀のイメージが変わった。
投稿者:流花(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
光秀というと、故実に明るい教養人、常識的、保守的で、叡山焼き討ちなど絶対できない男というイメージがある。だが、本書を読んで、そのイメージが揺らいだ。
本書は、光秀について書いてある史料を徹底的にあたり、見解を述べた学術書である。著者高柳光壽さんは、初めての光秀の伝記と自負している。といっても、読むのをためらってしまうような、難解なものではない。高柳さんによると、光秀について書いてある文学書は多いが、史実を書いた歴史書、それも本能寺の変、山崎の戦以前の記述となると、全くないと言ってもよいくらいなのだそうである。また、史料にも、良質なものと悪質なものがあり、『明智軍記』などという光秀の伝記のような体裁をとっているものもあるが、これは事実と食い違っているところが多く、高柳さん曰く、“事実から遠く離れた誤謬充満の俗書”なのだそうだ。また、秀吉の側から書かれた『太閤記』などは、秀吉を良く書き、光秀を悪者にしようという筆者の魂胆が見え透いているという。さらに、『細川家記』などの他家の記録も、その家の立場で書かれているので、鵜呑みにはできない。だから、高柳さんの研究は、いろいろな史料を比較、検討し、信頼できる史料を慎重に選びながらの作業で、本当にたいへんな仕事であったと思う。でも結局…わからないのである。出自も、年齢もわからない。濃姫の従兄弟であるというのも“俗書”の類から出たものである。いったい光秀とは、どんな人物だったのだろう。
高柳さんは、光秀は合理主義者であるとの見解を述べている。『老人雑話』という書物に、光秀の言葉として“仏のうそは方便”というものがあるというが、「この言葉は合理主義からでなければ出ない言葉である。」というのである。「彼の合理主義は同じく合理主義的な信長とうまがあったであろう。それゆえにこそ出世もしたのである。だから、叡山の焼き討ちにも、本願寺の攻撃にも、光秀は少しも精神的な苦痛は感じなかったであろう。」…なるほど。光秀を合理主義者と割り切ってしまえば、今まで何か腑に落ちなかったことが、ストンと落ちるのだ。まず、朝倉義景に見切りをつけて、彼の下を去り、将軍義昭を奉じて、信長に仕えたこと。主人を平気で換える(裏切る?)なんて、光秀を常識的で保守的な男と考えると、どうも不自然なのである。だが、光秀は、合理的に考え果断に実行する——そんな男なのだ。だからこそ、その究極の行為、“本能寺の変”を起こすに至ったのであろう。
以前『完訳フロイス日本史』を読んだ時、光秀は「裏切りや密会を好み、刑を科するに残酷で、独裁的でもあったが、己を偽装するのに抜け目がなく、戦争においては謀略を得意とし、忍耐力に富み、計略と策謀の達人であった。」と書かれていて、ショックを受けた。これは、信長のまちがいじゃないか? いくら謀反人だからって、ここまで悪く言うことはないじゃないか、と思った。——だが、今は、もしかしたらそんな男だったのかもしれない、と思えてきた。信長の陣営に来て、わずか12,3年で、宿老を凌いで、大将分となった光秀である。やはりただ者ではなかったのだ。
信長は、光秀の働きに対して感状を贈っている。光秀も、彼の定めた軍法の最後に、「自分は石ころのように沈淪しているものから召出された上に莫大の兵を預けられた」と、信長の恩恵を述べている。だから高柳さんは、光秀が謀反を起こしたのは、怨恨ではなく、「光秀も天下が欲しかった」からだと考えている。…だが、やっぱりどうも腑に落ちない。“計略と策謀の達人”である光秀が、何であんな無計画とも言えるようなことをしたのか? 光秀はきっとあの世で、ニヤリとしているのかも知れない。







