中世哲学への招待 「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために (平凡社新書)
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- 税込価格:777円ポイント:7pt
- 発行年月:2000.12
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ユーザーレビュー- 「中世哲学への招待 「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために」
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2002/07/03 05:31
絶好の啓蒙書
投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
上智大学の中世哲学原典集成の編者の一人が、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスの生涯と思想をたどりつつ平易に中世キリスト教世界を語った好著。
『存在の一義性』(哲学書房)を読んでわけがわからなかった僕には非常にありがたい本であった。
現代社会で「問題」とされる概念について「西欧的」なものというフィクションを利用してとりあえずの見通しを立てていて、情況的にも非常に示唆的な内容にもなっていると思います。
哲学に関心のある人も、ない人もひろく読んで欲しい一冊。
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2001/02/10 12:47
ヨハネス・ドゥンスの哲学を新書で読めることは快挙というほかない
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
カバー裏に「“精妙博士”ドゥンス・スコトゥスの哲学を軸にしてヨーロッパ的思考を理解するための要をさぐる、アクチュアルな中世哲学入門」と印刷されている。そもそもヨハネス・ドゥンスの哲学を新書で読めること自体、快挙というほかなくて、私はただもうそれだけで感激してしまったのだが、本書を読み進めていくうちにその感激は興奮に変わっていった(とりわけ最終章「時間と宇宙」は秀逸)。濃密な刺激に満ちた読書体験を堪能したあとでは、あれこれ「書評」めいた繰り言を弄するのはいやになる。以下、心にとどめておき反芻したい事柄をいくつか、ほんのさわりの部分をメモしておこう。
中世神学は「神の科学」であった。──《したがって、神学者の示す「神の存在証明」は、決して個人の信仰心に訴えるものではなく、むしろまったくその反対に、客観的科学であろうとしたものである。(中略)近代科学を、教会からの離反としてのみ見る人には、教会を支えた神学が、実は科学性を追及したものであり、それが近代科学を生み出したという側面を見落としてしまうだろう。》
中世神学において、神の三位性(父と子と聖霊)に照応する人間精神の三つのはたらきは、記憶、理知(知識)、意志(愛)である。──以下、「記憶」をめぐるヨハネスとベルクソンの所説の類似へと及ぶ叙述は刺激的。
ヨハネスの自由意志説は、現実の世界を可能性(本質的偶然存在)として理解する。このような世界こそ、近代科学を成立させてきた世界だった。──《ヨハネスのこの主張は、直接的には意志の自由の根拠を明らかにするためであったが、偶然的存在一般の性格として理解されていくことで、可能性についての新しい理解を生み出すものだった。つまり可能性は現実によって排除されるのではなくて、可能性は、現実とは別であって、それはそれとして存在する、という観念である。言い換えると、ヨハネスによって、可能的世界と現実世界が共存する世界理解が認められるようになったのである。》
《ヨハネスにとって、この世界は神の創造物である。言い換えると神の意志によってはじめて在ることができる存在である。神がいないと考えれば、この世界は明日には無いだろう。この根源的な偶然性は、この世界の本質的な側面である。それは、ヨハネスの神学において、意志の自由性が、世界の必然性と同じように、原理的と見られることと連動している。ヨハネスの神学においては、根源的な偶然性と、ものの間に生じる必然性は、このように決して矛盾することはない。それは当然のように両立している。現代の量子力学の戸惑いは、ヨハネスの神学にはないのである。》
ヨハネスは時間の空間的理解を否定し、神がこの世界に現実に関わる場面を「この今」すなわち「永遠性の瞬間 instans aeternitatis」だと考えた。──《「瞬間」instans とは、ラテン語では「とどまらない」を意味する。まさにここに、ヨハネスにおける空間思考の「破れ」の証拠がある。なぜなら、「永遠」とは元来、ある状態に「とどまる」stans ことを意味したからである。したがって、ヨハネスが言っている「永遠の瞬間」とは、「永遠なる神に属する瞬間」のことであり、それは神に、「とどまらないもの」が属することを、何と意味している。これはまったく驚くべきことである。》







