- 出版社:中央公論新社
- サイズ:16cm/359p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-12-203770-0
我輩は施主である (中公文庫)
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- 税込価格:780円(22pt)
- 発行年月:2001.1
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- 本
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ユーザーレビュー- 「我輩は施主である」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/08 10:00
縄文建築団実話物語
投稿者:栗山光司(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
磯崎憲一郎の芥川賞作品『終の住拠』でとてもカリスマ性のある建築家が登場するのです。磯崎はあるところで荒川修作について書いたことがあったのを思い出し荒川かなぁと思ったのですが、何か違う。そんな時、偶然、本書を読むことになり、ここに登場するF森さんという建築家は『終の住処』の建築家そのものではないかと思ったのでした。
本書と『終の住拠』の上棟式の場面は圧巻ですよ。
本書の初出は週刊読売96年11月17日号~97年6月22日号連載『源左衛門の夢』を改題、一部修正して読売新聞から単行本として97年発刊されたものです。
実と虚が入り乱れて、赤瀬川自身はあとがきでこの小説はフィクションであると強調するがそこのところが赤瀬川らしい胡散臭さがあり、極めて、現場にフォーカスした一軒の家が出来上がるまでのドキュメントレポートとも言って良い。
建築実用書、建築評論書、日本文化論としても読める。勿論、小説としても楽しめる。色んな仕掛、工夫があるのです。
そして、もう一人の主要登場人物として建築探偵の藤森照信が傍若無人に大活躍するのですが、このボケ(赤瀬川)とツッコミ(F森)の組合せが笑っちゃうのです。結局、藤森の縄文的野蛮に押されて「ニラハウス」を建てる。
でも、藤森さんの作品「タンポポハウス」も「ニラハウス」も実在するらしいけれど、僕自身がこの目で拝見しないかぎりは自信を持って実在しますと言い切れない。
本書で建物が出来上がるまでの工程描写は細密画を描くようなスーパーリアリズムのような過剰さがあり、それが奇妙な魔術的リアリズムを生むのでしょうか、日常と非日常のあわいの中で赤瀬川邸『ニラハウス』が時空を越えて浮かんだりするのです。やっぱし、路上観察のノリで一度、ニラハウスを確認したい。
葉っぱのBlog
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2001/10/11 20:08
何ともおもしろい「小説」
投稿者:桂英史(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
タンポポハウスを自邸にもつ建築家がいたりする。その建築家にニラハウスの設計を依頼したりした施主は、文庫版にして350ページ以上に及ぶコラボレーションの記録を残したりした。それが本書である。その施主は本書のことを「小説」と読んだりしている。だとすれば、何ともおもしろい小説ができたりしたものだ。
著者も述べているように、空間の佇まいや詳しい様子をわかりやすいテクストとして記述するのは実にむずかしかったりする。そのせいかどうかわからないが、建築関係の分野は無意味に勿体ぶった批評めいたテクストが量産されるという独特な傾向があったりする。本書の内容そのものが、無意味に過剰になってしまった建築評論に対するアイロニーになっているようでもあって、なかなか微笑ましく思えたりもする。しかも、著者十八番の人を食ったような文体が続くなかに、何かを成就しようとする独特な緊張感があったりするから不思議である。ディテールも細やかなので、「小説」にしては実用性もあったりする。林丈二のイラストも秀逸。著者の(いささかあざとい)企画力にあらためて脱帽したりした。言うまでもないが、この小説に登場するニラハウスは都内私鉄沿線の閑静な住宅街に実在する。(桂英史/情報学者)







