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生活の設計

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:20cm/174p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-444101-5

生活の設計

佐川 光晴 (著)

  • 全体の評価 43件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,47042pt
  • 発行年月:2001.2
  • 発送可能日:購入できません

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商品説明- 「生活の設計」

【新潮新人賞(第32回)】私は「埼玉県営と畜場」の作業員。ぼくが屠畜場で働いている理由? キツイ仕事ゆえ、午前中で終業だから。共働きの妻にも幼い息子にも都合がいい。しかし…。著者自らの体験に基づく、デビュー作。新潮新人賞受賞。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「生活の設計」

佐川 光晴

略歴
〈佐川光晴〉1965年東京生まれ。北海道大学法学部卒業。大学卒業と同時に結婚、勤めた出版社を一年で辞め、90年から埼玉県内の屠畜場に勤務。本作で第32回新潮新人賞を受賞。

ユーザーレビュー- 「生活の設計」

全体の評価
4.0
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2004/12/16 20:38

生活と仕事の関係……日常の視点から。

投稿者:花の舟(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『生活の設計』という、いかにも生真面目なタイトルに奇しくも表されているように、佐川氏のひととなりが、おそらく反映されているであろう作品です。佐川作品は初めて読みました。まとめて3冊読んだので、順次レビューを書きたいと思います。
 今時、珍しく「労働」というテーマを掲げてはいますが、内容は作者自身を投影させたであろう“わたし”の生活と、仕事である屠畜場でのあれこれ、なぜ屠畜場で働くのか?といったことを、丁寧に綴った作品です。几帳面すぎるくらい、粘り気のある文体で、描写は細かく、佐川氏の言わんとすることに引き込まれてしまいます。
 “わたし”が屠畜場で働くことにしたのは、なぜだろう?というところから、話は始まります。勤めていた出版社が潰れ、次の仕事先も運よく、紹介されていたのに、それを断ってまで屠畜場で働くことにしたのは…。
 その説明に終始するのですが、妻に代わって家事をこなし、子供を保育園に迎えに行ったり、という卑近な生活のあれこれが、いきいきと描かれていて底の方から光が射しているような作品なのです。
 そして、世間から“わたし”に向けられる、奇異な目。例えば、“わたし”は友人から、はっきりと言われます。「一刻も早くそんな仕事は辞めるべきだ」というふうに。この、「そんな仕事」という言い方が、世間の目です。
 しかし、佐川氏は、開き直るでなく、自分の労働を見つめなおす作業として、そういった人の目をも十分に頭に置いたうえで語るのです。
 最後に「職業とは、それを身につけるのにかかった年月からだけみても、そう簡単に奪われるわけにはゆかないものだからだ」と、嫌味なく、誇り高く納得します。
 『生活の設計』のいいところは、その健全さにあると思います。歪んでない素の心。食肉解体の手順や、その様子を描くところも出てきますが、緊張感と迫力と、意外にグロテスクな感じはせず、佐川氏の「眼」が生きています。そこらへんも読み応えがあって、おもしろかったです。

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2002/07/15 17:06

生活の設計

投稿者:MMM(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本には脈々と続いている私小説というジャンルが存在する。もちろんこの作品も私小説というジャンルに分類されるべき作品なのだろうが、それにしても、それ以上に何か私小説を越えてしまうような力を持った作品でもある。
 というのは、まず、この作品は私小説だというのにちょっと嘘をついてしまっている。あとがきで書いているように全てが本当ではないのだ。だが、ほとんどは本当のことなのだ。事実、淡々と描写しされてゆく作者の生活はほとんどが本当のことだ。
 だが、そこで、この作品には若干の「差違」が生じてしまう。
 この「差違」は一体なんなのだろう。
 だが、ここで僕が「差違」の正体を書くことは出来ないし、出来るわけがない。
 それは作者の設定の甘さなのかもしれないし、作品にたいし厳密ではないだけなのかもしれない。でも、その「差違」が佐川光晴という作家の作品にいつも含まれ、不可思議な魅力を生み出しているのは確かなのだ。この「差違」が膨らみを持ち、もっとはっきりとした形を持って現れたとき、この人はとてつもないものを作り出してしまうのではないだろうか。

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2001/10/11 23:29

労働とは何か

投稿者:nory(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作者は大学を卒業後、すぐに結婚し、勤めていた出版社を1年で辞めたあと屠畜場で働いている。そこではあまりの仕事の厳しさから午前中で仕事を切り上げる。そして午後からは教師をしている妻の変わりに、家事の一切を片付ける。この小説はそんな作者の生活をもとに書かれている。

 一貫して小説に流れるテーマは「自分が屠畜場で働いている理由はなんなのか」ということだ。思いつきで足を踏み入れた世界に、辞めようと思うこともなくもう6年が過ぎている。
 日常の中で出くわす「なぜ屠畜場なのか」という場面で、主人公の男はいつもはっきり答えをいうことができない。息子が通う保育園の先生に職業を聞かれたらどうするのか。なぜ昼間から床屋に来ているのか問われたら。妻の両親にいつまで続けるのかと聞かれたら。
 この職業を恥じているのではない。好きだというわけでもない。ただ自分に合っている仕事だというだけだ。男は世間に対して説明できる理由を探し続ける。

 淡々と書かれた文章からは、それほど切羽詰まって理由を探そうとはしていないことがうかがえる。おそらく「世間」というものが存在しなければ、こんなことを考える必要もないのではないか。仕事をして、生活をしている。ただそれだけなのだ。

 しかし最後に書かれている文章は、それまでの抑揚のないものとはニュアンスが大きく変わっている。人間にとって職業とはいったいなんなのか。労働とは何なのか。私たちがふだん意識もしないようなことが、本来、作者の根底にある思想から激しく美しく叫ばれている。

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