- 出版社:白水社
- サイズ:20cm/203p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-560-04936-X
さんずいづくし
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- 税込価格:1,680円(48pt)
- 発行年月:2001.4
- 発送可能日:7~21日
- 本
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商品説明- 「さんずいづくし」
落ちる、消える、流れる、泣く、浮かぶ…。「さんずい」に強くなれば、人生はみずみずしくなる。軽妙なタッチで綴る言葉の読本。ユーモアあふれるエッセイ集。『フロント』連載の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「さんずいづくし」
別役 実
- 略歴
- 〈別役実〉1937年旧満州生まれ。早稲田大学政経学部中退。「マッチ売りの少女」等で岸田国士戯曲賞、「ジョバンニの旅」等で芸術選奨文部大臣賞受賞。ほかの著書に「満ち足りた人生」など。
ユーザーレビュー- 「さんずいづくし」
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2001/06/29 15:17
「さんずい」の付く動詞─一例に流れる─を約50取りあげ、それをネタに奇想を展開するエッセイ集。
投稿者:大笹吉雄(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
別役実は劇作家であるとともにエッセイストとしても知られていて、わたしは戯曲同様に、この著者のエッセイも好きだ。わけても発想が飛んでいて、虚を突かれることが多い。戯曲と共通の持ち味である。
わが国には古来、「物尽くし」という楽しみがある。その伝統を踏まえて別役にはすでに『虫づくし』『けものづくし』『病気づくし』『道具づくし』というエッセイの連作があるが、本書もそのシリーズの一環で、「さんずい」の付くほぼ五十の動詞にまつわるエッセイである。一端をしめせば「落ちる」「流れる」「溶ける」「消える」「泣く」「泳ぐ」「決める」「演ずる」「汚す」「潜る」「浴びる」「塗る」「減る」「滴る」「混じる」「漁る」「湧く」「渋る」などなど。
発想が飛んでいるにもかかわらず書き方そのものは真面目だから、実はデタラメなその内容が、ほんとうのような印象を受ける。このことから子供の教育に悪いと母親から「抗議」を受けたことがあるという。「あとがき」で著者は年齢のせいでこの傾向が減じたと言うが、なかなかどうして、わたしは大いに楽しませてもらった。たとえばインターネットというこのメディアにも関係のある「染みる」という項。
著者はかつて「しみる」というのは、入ってきてはいけないものが、「しみこむ」もしくは「しみいる」場合に使ったのだろうと考える。だから今回、略称を犯調審という「犯罪用語調整審議会」がコンピューターに侵入していたずらをする「ハッカー」を「染みこみ屋」と呼ぶことを提唱したのは理にかなっているのみならず、外来語がカッコよく聞こえるというわが国の文化状況に照らしてみれば、ほとんど「尊敬」されているかのごとくに響く「ハッカー」よりも、「染みこみ屋」の方がいかにも生活にくたびれた犯罪者というニュアンスまでをも漂わせていい。ただ犯調審の提唱にもかかわらずこの名称が世に流布していないのは、コンピューター業界が「染みこみ屋」ではまるでコンピューターそのものが防水処理をし損なった壁紙のように思えるというので「待った」をかけているのである……という風なのだ。
またたとえば「清める」。葬式に行くと帰りに清めの塩を渡される。それを清めとして体に振りかける仕方に二種類ある。一つは死は一種の穢れだから払うと考える立場で、もう一つは斎場には悪霊が満ちてて時に人について来るから、それを払うという立場である。前者の場合は玄関のドアをあけて体の前方から塩をかけ、後者の立場に立つ人はドアを閉めた後に体の後方から塩をかけるべきだと考える。というのは……。
「さんずい」の付く動詞をネタに、よくもこれほどいろいろなことが、と感心させられる遊び心にあふれたエッセイ集で、読後、何ということなく楽しくなる。一種の現代の奇書である。 (bk1ブックナビゲーター:大笹吉雄/演劇評論家・大阪芸術大学教授 2001.06.30)







