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収録作品一覧
女死刑囚 | 5-48 | |
---|---|---|
30人の3時間 | 49-90 | |
新かぐや姫 | 91-136 |
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紙の本
しかしこれは「面白さ」ぢゃない「怖いもの見たさ」というべきだろうか
2007/04/27 18:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
山田風太郎ミステリー傑作選4〈悽愴篇〉。この巻にはワタシが山田風太郎にハマッたきっかけである「わが愛しの妻よ」が収録されているのだが(確かにあの話は悽愴陰惨無情の極みである),今回初めて読んだなかで衝撃的だったのは書名にとりあげられている「棺の中の悦楽」。主人公は自分が学生時代に家庭教師をした美少女に恋い焦がれながら何も出来ずに彼女の結婚式に出席した30男。当の娘は何も知らないが,彼にはこの娘のために人を殺した過去がある。しかもその殺人の目撃者が世に知られた公金横領犯で,「殺人について口をつぐんでやる代わり,オレが刑期を終えて出てくるまでの間これを保管しておけ」と言われて安アパートの押し入れに1、500万円(昭和36年の1、500万だからね)入りのトランクを隠し持っているのだ。
男がその殺人の露見を恐れたのは,自分の罪よりその殺人の理由が明るみに出ることで愛する少女が傷つくからだった。ところが彼女は何も知らぬまま大金持ちの令息と結婚してしまい,取り残された彼は彼女に捧げた自分の半生が突然ばからしくなる。横領犯が出所するまであと3年,その3年の間に1、500万を使い切って死んでしまえば済むことではないか,と意を決した彼は,その金を使って思うさま女を弄ぼうと誓う。それは彼の純なる思いを知りもせず,嫁に行ったあの少女への屈折した復讐であった,のだが……。
一度読みはじめたら最後,終幕まで本を置くこと能わざるほどの……しかしこれは「面白さ」ぢゃない「怖いもの見たさ」というべきだろうか。とにかくこれだけは言っておこう。ラストの1行を読んだ瞬間,あなたの足下で地獄の門が口を開けます。