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世界探偵小説全集 31 ジャンピング・ジェニイ

  • 出版社:国書刊行会
  • サイズ:20cm/350p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-336-04161-X

世界探偵小説全集 31 ジャンピング・ジェニイ

アントニイ・バークリー (著), 狩野 一郎 (訳)

  • 全体の評価 44件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:2,62575pt
  • 発行年月:2001.7
  • 発送可能日:7~21日

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/02/11 06:56

風変りなミステリの妙味

投稿者:東の風(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これには、まいった!
 通常の犯人探しの探偵小説とは全く違うミステリー小説。ユーモアとウィットの利いたコメディを見ているみたいな趣。面白かったなあ。

 名探偵ならぬ迷探偵、ロジャー・シェリンガムが活躍する作品。
 あちこちで、「おいおい」とツッコミを入れたくなるシェリンガムの右往左往ぶり、状況をますますややこしいものにする推理と行動が、とても愉快でしたね。シェリンガムったら、全くとんでもない探偵です!

 普通の探偵小説とは全く違う趣向が凝らされています。それは主に、話のシチュエーションの風変わりな妙味と、被害者の死をめぐって一致団結する登場人物たちの言動の面白さ、そこにあったように思います。

 二転三転するシェリンガムの推理も愉快だったし、彼をはじめ、一部の登場人物を除いた面々の奮闘は、思わず応援したくなったくらい。エンディングのひとひねりと併せて、ミステリの妙味を堪能しました。

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2001/12/13 19:23

迷走する探偵

投稿者:いぬ (男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 名探偵ならぬ迷探偵が登場するミステリーは数知れないが、事件の真相を隠蔽しようとして右往左往したあげく、自分自身が容疑者になっていくという、めちゃくちゃな話は類例がなさそうだ。

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2006/08/10 21:15

殺人者だけではないんです、悪人だって殺されても仕方ないことがあるんじゃあないか、そう思いますね。世の中には、殺されても仕方がない人間が、実際にいるんですよ

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

《小説家ロナルド・スラットンの屋敷で開かれた仮装パーティー。会場となった屋敷の屋上に設けられた絞首台で嫌われ者の女性が殺された》本格ミステリ。
ええ、英語と音楽に対する無知をさらけ出してしまうんですが、今日、紹介する本を読んでいて分ったような気がするんですね。R・ストーンズの有名なヒット曲に Jumping jack flash というのがありますよね。あの Jumping jack というのは、欧米のおもちゃで間接のところをピンで留め、壁にぶらさげて紐を引っ張ると、手足が動く人形のことではないのかしら、って。
無論、ストーンズの曲の内容はまったく分かりません。ただ、もしかすると人形ではなく絞首刑にあった犯人のことを歌っているのかもしれない、なんて思うんですね、ワタシ。
閑話休題。有名な殺人者か被害者に扮して参加するという仮装パーティーが開かれました。そこで皆の注目を一身に浴びているのは、ロナルドの弟デイヴィッドの妻イーナです。彼女は酔って、はしゃぎ回り、義兄ロナルドの婚約者を中傷したりします。
終いには、屋上で家族のスキャンダルを公開すると騒ぎ、自殺をほのめかし、戯れに絞首台の縄に首を通すことまでします。その言動に耐えられなかった男は、思わず彼女が立っていた椅子を外し、その場を立ち去るのです。後には、縄に首を通してもがくイーナのJumping jackに似た姿が。
彼女の不在に気付いたロナルド達が屋上にたどり着いた時、既にイーナは絶命していました。いつのまにか移動された絞首台の足元の椅子。デイヴィッドに嫌疑が掛かることを嫌う人物は、椅子の指紋をふき取り、口裏を合わせ自殺の線で警察の捜査を乗り切ろうとします。破綻する証言、現れる矛盾。
バークリーが作品を通じて訴えるのは、殺人者はいつでも裁かれなければならないのかという根源的な問題です。同じ作家の『毒入りチョコレート事件』、アイルズ名義の『殺意』を思い出します。
埋もれた名作を発掘する世界探偵小説全集の一冊で、出版されて5年も経つのに、今でも注文すれば容易に手に入る、というのは嬉しいですね。このシリーズの解説はどれをとっても懇切丁寧で、しかも新しい発見があるというのも特筆ものです。この本の若島正の文章もそうです。
そして、全巻ではありませんが、かなり多くの巻を飾っている影山徹のカバー画も素敵です。現代人の不安を上手く表現していて、キリコとの類似を言うのは簡単だし、デザインとして意図的に利用している部分もあるのだろうが、色といい構図といい、推理小説の古典シリーズにはぴったりなもの。いつか影山さんの原画展でも開いて欲しいものです。

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2006/06/25 14:13

冗談から出た死体

投稿者:どーなつ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

作家のロナルド・ストラットン邸で開かれたのは、歴史上有名な犯罪者や被害者に仮装した人々が集まるパーティー。
屋上に雰囲気作りの為に吊るされた藁人形3体。
全ては冗談のはずだったのが、実際に1人の女性が藁人形と同じように首を吊って死んでしまいます。
当初は、自殺だと予想していた事件ですが……。
★★
タイトルの「ジャンピング・ジェイニー」は、ロバート・ルイス・スティーブンスの歴史小説「カトリアナ」から採られた、縛り首の死体を現す言葉だそうですが、
原題は「デッド・ミセス・ストラットン」(死せるミセス・ストラットン)と、そのままずばり言い表しています。
物語の中で、仮装するキャラクターは、向こうでは馴染み深い(という言い方は適当な表現ではありませんが)ものだそうです。
ロンドン塔の王子、ジョージ・ジョゼフ・スミス、ミセス・メアリー・エリノア・ピアシー、メアリー・ブランディー、フローレンス・メイブリック、切り裂きジャック、マドレイン・スミス、ドクター・ハーヴェイ・クリッペン、エセル・ニーヴ、ブランヴィリエ伯爵夫人、ウィリアム・パーマー。
実に多彩な仮装ですが、私にはジャックくらいしか分かるものがありません。
本書もさることながら、あとがき部分に↑のキャラクターの詳細が記されていて、それもまたおもしろい。
メアリーは絞首台に上るとき、見物に集まった群集の中に、スカートの中を覗こうとした人がいるのをみて、絞刑史に
「お願いですから、あまり高く吊るさないでね。体面というものがありますから」
といったそうな。
ピアシーに至っては、好きになった相手の妻と子を殺し、警官が彼女の部屋を捜索した時、
激しく争った痕跡が歴然と残っており、とどめに血糊のついた斧や包丁まで出てきたというのに、
問い詰められた彼女は平然とピアノをひきながら
「ねずみを殺したの」
と言い放ったそうな。
仮装したキャラクターと登場人物にはなんの因果関係もないけれど、最終的に全て読み終えた時、
いつでも冷静でいれたのは女達の方ではなかったのか、と感じました。
女はある程度覚悟というものができると、逆に肝が据わるんですよね。
ストラットン夫人の死で、証言があちこち揺れ動く男達に比べたら、女達は実にしっかりしている。
★★
著者のアントニー・バークリー「毒入りチョコレート事件」で有名ですが、他にも、フランシス・アイルズ名義で「犯行以前」他数作、
A・Bコックス名義で数作、
A・モンマス・プラッツ名義で1作、
他に合作小説も出しています。
今作のロジャーシェリンガムもシリーズ作品だそうなので、他にもいろいろ読んでみる価値ありの作家さんだな、と思います^^

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