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難事件鑑定人

  • 出版社:早川書房
  • サイズ:16cm/521p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-172951-8

難事件鑑定人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

サリー・ライト (著), 長島 水際 (訳)

  • 全体の評価 23件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:96627pt
  • 発行年月:2001.10
  • 発送可能日:購入できません
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ユーザーレビュー- 「難事件鑑定人」

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2002/05/08 18:19

博識な元偵察兵が登場する知性派?ミステリ

投稿者:キイスミアキ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 
 大戦では偵察兵を務めていたという経歴を持つベンは、大学で貴重な資料を鑑定して保管する記録保管人。時にはその修復も行うという彼の頭には、膨大な知識が詰め込まれていて、ひとたびトラブルが舞い込めば探偵役を頼まれることもある。
 そんな彼の元に、親類の死によって資産家となった教え子から依頼が届く。一見、自然死と思われるのだが、死者は事前に自分が自然死と偽れて殺されると手紙を残していたのだ。数多い容疑者たちを相手に、ベンは活動的な調査を開始する。
 
 
 本邦初訳の本作は、シリーズとしては三作目にあたる。そのためなのか、主人公に関する説明が乏しく、知識に富んだ魅力ある探偵というアピールが感じられない。
 主人公ベンは、学者肌であり、職業柄膨大な知己を有する人間である。本作も《知性派ミステリ》と評されているのだが、広く浅い知識との印象は否めず、彼のクールさも手伝ってか、物足りないと感じられてしまった。 
 だが、そのような感想を抱くのは物語の序盤まで。何気ない会話として書かれている鷹狩り、稀覯本とその時代背景についての深い記述など、《知性派》と表現した評価に納得の専門的な知識が、次から次へと登場する。
 
 本作は、2000年に書かれたミステリだが、舞台は1960年代のアメリカとなっている。1890年でも1920年でもない、比較的近い過去を舞台としているにはちゃんと訳がある。作者のライトは、大戦に偵察兵として従軍していた人物と出会い、彼のような経歴を持った人物を探偵として登場させるミステリを書けば、魅力的なものになると考え、必然的に1960年代を舞台とすることになったという。
 現在ではあまり登場しない年代だけに新鮮で、携帯電話などの情報機器が存在していないことも制約を受けないという点で、ミステリには適した時機だと言えるかもしれない。予断だが、スタートレックのような未来のように、あまりに科学が発達してしまっている状態で殺人事件が起こったとしたら、謎解きに探偵の論理性が求められる以前に、高度なセンサーなどであっさりと犯人が特定されてしまうという恐れがある。そのような時代に本格ミステリを書くためには、現代でも不自然だと感じられる孤島への漂流といった設定以上に、不自然な状況を必然として作りだす努力が求められるのだろうが……、ひとまず現代に生きる僕にとっては心配はいらないか。
 
 自然死に見せかけられて殺される、そしてそのことを被害者は知っていた。本作の謎は、シンプルでとても本格ミステリ的だ。本格ミステリ黄金期に書かれたバークリイの傑作『ピカデリーの殺人』や、コナン・ドイルのとあるホームズ譚によく似たエピソードも描かれている。
 本格ミステリ的……なのだが、残念なことに主人公の思考が描写される中に占める推理の割合が少なく、論理のアクロバットも存在しないことから、本格ミステリとは呼ぶことが出来ない。主人公は、膨大な知識を使用しつつも推理するより情報を確実に集めていくタイプの探偵で、物語が進行して情報が集まっていくにつれて、たんたんと謎が解かれてしまう。論理とアクロバットを期待してしまう本格ミステリファンとしては、この作品がやはり現代のミステリだった、ということを痛感させられてしまった。 
 

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2001/11/24 17:04

鑑定人としてはいま一歩の切れ味か?

投稿者:エンドルフィン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞最終候補作というふれこみのサリー・ライト著「難事件鑑定人」である。最終候補作ということは賞には選ばれなかったということなのだが、さてその評価はどうしたものか。
 大学で古代の骨董品を鑑定し、修理や管理をする仕事についているベン・リースのもとに、教え子であるエレン・ウィンターから依頼がまいこむ。エレンは、病気で急死した大学教授の叔母ジョージーナ・フレッチャーからその豪邸を遺産相続することになっていた。しかし、生前のジョージーナからエレンにあてた手紙が届く。そして手紙には「どのような原因でわたしが死のうと、それは誰かによって仕組まれたものだ」と書いてあった。はたしてジョージーナは本当に殺されたのか、そして犯人は誰か、ベンはエレンに協力しながら犯人を突き止めようとする。しかし、ジョージーナのまわりには彼女と利害関係のある人物がたくさんいた…。
 なんと言うか、古式豊かな(?)探偵小説ですね。探偵役のベン・リースが被害者と関係のあった人物ひとりひとりに話をききながら、手がかりを追う。しかし、「難事件鑑定人」というほどの推理の冴えは見うけられない。おまけに巻頭の登場人物の紹介に52名の名前が載っているのだが、誰がだれやら、読んでいる方はそれを追っかけるだけで苦労する。最後に作者サリー・ライトの主人公ベン・リースへのインタビュー記事をはさんだり趣向はこらしてはいるものの、肝心のミステリ部分が弱い。稀覯本などに関心のある人には面白いかもしれないが、まあ平凡な作品ですね。
 なお、海外ミステリに関心のある方は、小生のホームページThe day of wine and mysteryを一度のぞいてみてください。

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2002/03/11 08:44

史上最強の知性派探偵の登場?

投稿者:ドン・キホーテ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 題名からして面白そうなので手に取ってみた。文庫本の袴には「史上最強の知性派探偵登場」とある。ますます、読みたくなってきた。しかし、内容は一風変わっている。
 いきなり、殺人事件が発生して、殺された女性の大学教授ジョージーナ・フレッチャーと相続人エレン・ウィンター、そしてその探偵のベン・リースが登場する。後は探偵たるリースが活躍する。
 その捜査方法はぞろぞろと出てくる容疑者に対する聞き込み捜査が全編のほとんどを占めるという具合である。容疑者の数や容疑者間の関係を解きほぐすのに費やされる。これには読み手に相当の忍耐を要求する。
 探偵のリースは被害者と同じ大学の記録保管人を勤めているが、大学の記録保管人はわれわれには馴染みが全くない。しかし、心配は無用であった。作者のサリー・ライトがリースの口を借りて縷々説明してくれるからである。
 舞台は英国の大学の街オックスフォードである。ただし、被害者ジョージーナのケアンウェルもオックスフォードである。ただし、ジョージーナが教授である大学はスコットランドにある。
 英国の風土や広大なジョージーナの地所についての描写は、読み手の理解を助けてくれるし、癖のある容疑者たちも個性が丁寧に描かれているのだが、やや冗漫で途中幾度となく放棄寸前までいった。最後まで読み通したのだが、やはり読み始めた直後の期待はどこかに消えてしまっていた。

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