パロマー (岩波文庫)
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- 税込価格:525円(15pt)
- 発行年月:2001.11
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商品説明- 「パロマー」
中年男性、職業不詳、家族は妻と娘一人、パリとローマにアパートを所有—これがパロマー氏だ。彼は世界にじっと目を疑らす。浜辺で、テラスで、沈黙のなかで—。「ひとりの男が一歩一歩、知恵に到達しようと歩みはじめる。まだたどりついてはいない。」三種の主題領域が交錯し重層して響きあう、不連続な連作小説27篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーザーレビュー- 「パロマー」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/04/27 23:23
ここから遠くを見つめるまなざし
投稿者:ユー・リーダーズ・アット・ホーム!(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
結局のところ、いろんな意味でちがうのですが、読み始めるまえからパロマー氏について、ジャック・タチの映画、ぼくのおじさんシリーズの主人公ユロ氏に似た印象を持っていました。どういったわけかというと、この本の最初に海にまつわる文章があるのですが、本を手にとってぱらぱらめくっていたときに、そこでなんとなく海辺のユロ氏と重ねたせいかもしれません。更にいうなら、その海に関する項目には「パロマー氏の休暇」というタイトルがつけられている、これもさらに影響を与えている気がします。それに、パロマー氏もユロ氏も、なんだか寡黙です(わりとそうでもない可能性も垣間見えますが)。
この本では、なにか哲学が結果ありきの結論にむかって確信的に語られていくというのではなく、ごく素朴で日常的な場面をきっかけとした物思いが、読者の目の前で繰り広げられていく、といった感じです。だから、語られる思いはいろいろな可能性を探ってゆらぎますが、そこに、物を考えるということに関する強い共感が生まれる気がします。完成されただれかの意見を聴くのとはちがい、だれかが、なにかあるはずだと信じているほうへ今まさに向かっている、その過程そのものに耳を傾けている、見つめているという感じです。きっかけはいつも身近な自然や物、現象やできごとでありながら、パロマー氏の物思いはミクロからマクロへ通じる普遍的なこたえを目指します。ときには徒労にも似た思索が展開し、ときには諦めのようなものが現れながら、それでも考えようとする向こうにあるなにか、本当にたどりつくべき場所があるのかどうか、それすらわからないまま、けれどパロマー氏が常に考えつづけている、そのひと足ずつが証明するなにかがあるように思います。
不定期に長い時間をかけて、しかも掲載紙面を移しながらも、新聞紙上などにゆっくりと書き継がれた文章をまとめた短編集です。こんな文章の載っている新聞というのが、うらやましい。「はてしない草原」という一片がとくに美しく、パロマー氏の基本的なまなざしが描かれているように感じました。
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2002/03/05 03:04
笑って許して
投稿者:mau(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
クスクス笑いながら読んでしまいましたが、そういう読み方は不謹慎なのかしらん。
あらゆる現象を言語化したいという欲望、世界をあたかも一冊の本のように掌握したいという望みを抱いた事のある身としては、パロマー氏の認識や思索の在り方って、特にやや頭でっかちなところが、妙に共感できて楽しくなってしまった。パロマー氏を「鬱屈した狂気の世界を活きる神経質な男」と紹介する事も出来なくはないが、そうやってウツウツと読む本だとはとても思えないのだけど。
思索する人は、動物園でもチーズ屋でも思索するものだ。時として「下手な考え休むに似たり」に陥ったとしても、それはもうその人の癖というか傾向なのだから、どうか笑って許してやって欲しい。そんな話じゃないかな。
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2001/12/10 22:17
2001/12/02朝刊
投稿者:日本経済新聞(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリア人作家が年月を注いで書きついだ連作短編集。「鬱屈した狂気の世界を活きる神経質な男」パロマー氏は、何とか自分と外の世界との関係を縮めようと、海の波の一つ一つを、昼下がりの月を、女性のあらわな胸を、竜安寺の石庭を、解剖学者のような目でひたすら観察し、語る。職業不詳、妻と娘が一人いるらしいが、何をしているかさっぱりわからない謎の男の探究が読者を引き込み、不思議な世界へいざなってくれる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001







