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沈まぬ太陽 1 アフリカ篇 上

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:16cm/409p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-110426-3

沈まぬ太陽 1 アフリカ篇 上 (新潮文庫)

山崎 豊子 (著)

  • 全体の評価 44件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:66218pt
  • 発行年月:2001.12
  • 発送可能日:24時間

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ユーザーレビュー- 「沈まぬ太陽 1 アフリカ篇 上」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(4件)
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★★★★☆(2件)
★★★☆☆(1件)
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2004/02/11 23:43

強いて欠点を挙げるとすれば…

投稿者:拾得(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 筋を通そうとした一人の苦難の人生の記録を読んで、「面白かった」という感想も失礼な気がするが、とにかく間違いなく面白かった。実在の人物と日航という企業をモデルにとりつつも、一個人一企業を超えた「時代」を切り取ってみせてくれる。組合活動に熱心に関わったがために、海外に十年余も流される前半部に、サラリーマン人生の悲哀と組織の不条理さを感じた読者も少なくないだろう。しかし、この組合活動からは、もはやリアリティが薄れかけている戦後日本の組合活動の出発点の一つ、職員と工員との提携というテーマも浮かび上がってくる。
 史上最大の航空機事故「御巣鷹山事故」の詳細な叙述(3巻)からは、この大事故に関わった人間たち(遺族、遺体調査、企業…)の向き合った現実を改めて知らしめてくれた。大方の人間にとって「記録」となりかねない今、改めて知っておくべき現実ではなかろうか。、そして「会長室編」と題された4、5巻は、80年代の日本企業の現実を、政界やマスコミ、第二組合、海外企業とのやりとり・裏交渉をからめながら、スリルある〈企業小説〉が描かれる。

 屈せずに筋を通そうとした一個の人間を主人公に据えつつも、単純な勧善懲悪ものでも、ただの悲劇の物語になっているわけでもない。登場人物それぞれに凡庸ではあっても人間臭い物語を演じさせているのも本書の魅力なのである。それゆえに、どうしようもない現実の慣れ合いに憤慨しつつも、読者の関心を高めて一気に読ませてくれるのだ。
 そんな第一級の小説に私が論評で加えるべきものは何もないのだけれど、強いて欠点を挙げるとすれば「家族の物語」に若干、物足りなさ残るくらいである。自らの節を通すために海外駐在を続ける父に対し、中学生の娘は「身勝手なお父さんへ」と結んだ手紙を送った(第2巻)。ここからどういう家族の葛藤の物語が展開するのか、と予感させたものの、その後の展開には物足りなさが残った。強いて欠点を挙げるとすればそれくらいだ。

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5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/02/10 21:54

事故と労務に揺れる企業の実態を描いた力作

投稿者:ドン・キホーテ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 山崎豊子が自ら巻末のあとがきで書いているとおり、現実に起こったことをモデルとして小説を書くという山崎自身としては新しい技法でまとめた長編小説である。
 出版後には新聞、週刊誌を初めとして相当な議論が巻き起こったようだ。それもそのはず、モデルは実在する航空会社、登場人物も実在し、ストーリーも実際にあったように描かれているからである。
 誰しもそれは分かって読んでいるので、悪役として描かれている企業や人物が反発するのは当然である。本書では主役と悪役がはっきりと描き分けられている。主役に敵対する人々はすべて悪役である。名誉を毀損されたと訴える人がいても、不思議ではないという実感だ。文庫本5冊という超長編ではあるが、大きくはアフリカ編、御巣鷹山編、会長室編の3部に分けられている。
 ストーリー展開だけを追うのであれば、これほど長編にはならなかったはずであるが、実際に起こった事実に基づいているという点を強調したかったのか、その都度出された新聞記事や社内文書などを丁寧に紹介しているので、このような長編になったと思われる。
 一気に5巻を読み進んでしまったが、冗長感は免れない。途中で息が切れてしまった。しかし、これだけ読み手を引き付ける力はさすがだと思う。
 インターネットのブログやホームページでこの『沈まぬ太陽』に関する批判や賞賛が縷々述べられているが、それほど大きな影響を社会に与えたといえよう。どこかのライターがその逐一を事実と突合せ、批判をしていたが、これは小説なので、突き合わせても意味がないことに気がついていないようだ。事実と異なっていても当然である。類似していても、それは偶然であると言われれば、それまでなのだ。事実と一致させれば、それは小説ではなく、ドキュメントになってしまう。
 冗長ではあったが、企業小説を堪能した気分になった。小説での描写の真偽はともかく、現実には合併後も財務上の苦難を抱えつつ、さらに労務上の問題、安全上の問題と、どれ一つとして明確に解決できていない現状であることは、今後もいばらの道が続きそうである。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/05/19 00:07

組織の怖さ

投稿者:ごまた(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

組織の中で生きる事の難しさ、組織という壁を強く感じた。
組織の中で自分が信じる道を貫き通す事は難しい。
けれども、それを行ったものに対する会社と言う組織の仕打ち
が本当にひどく、これが事実なのか信じられない。
ほんの数十年前の出来事とは到底思えない。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/03/16 23:56

確かに力作なのだが

投稿者:よっちゃん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 彼女の作品を読んだのは最初、「女の勲章」であったと記憶している。今でこそ「方言」がマスメディア、小説に広く使われ特段違和感はないのだが、当時は東京弁をいわゆる標準語としてその他の言葉は主役の座にはなかったと感じている。「暖簾」「ぼんち」「女系家族」と全編を大阪弁で表現。大阪弁と言えば「落語、漫才の世界でのんびりした、柔らかい、あるいは間の抜けた」との印象を持っていた私は 彼女の小説を読んでその登場人物の使う大阪弁の「したたかさ、陰湿さ、押しつけがましさ。特に脅迫性の凄み」に圧倒されことを今でもおぼえている。だから、私が大阪弁を使う人に威圧感を抱かざるを得ないところがあるとすれば、それはすべて山崎豊子のせいである。
 彼女は次に骨太の「業界内幕もの」へ転ずる。「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」である。「華麗なる一族」の舞台は週間新潮に連載され、これは読んでおかないと、会社へ出勤した時に話題についていけずに居心地が悪い思いをするという具合のリアルな出来映えであった。また今でこそ男世界を書いて男性読者をうならせる女流作家が多数登場しているが 彼女はその先駆けとして評価されていい。
 次に新しいジャンルに挑戦し成功したと思う。それは「二つの祖国」であり「大地の子」である。一貫したテーマは「愛国心」(誤解なきよう、日の丸、君が代的愛国ではありません)。私は此の作品が彼女の最高傑作だと思う。
 そして今回の「沈まぬ太陽」なのですが。これは戻っちゃうんですよ、「業界内幕もの」に。主人公は巨大航空会社のサラリーマン一人、経営者一人で、これが旧弊な会社機構、官僚、政治家等と悲壮な闘いをするのです。ある意味で古いタイプの理念的なサラリーマン像、経営者像が描かれ、悲劇のヒーローは努力しても努力してもあるいは誠実さゆえに、その夢が実現されずにドロップアウトしていく。われわれは目下共感する現実に生きているから、この二人の絶叫する「正義」に素直に心を揺さぶられ、彼らの旧弊な勢力に対する不屈の戦いには感動するところが多いのです。ただ、今ひとつぴったりこないところがある。現実社会はさらに変化している。彼らの行動パターンでは到底、今の社会を動かすことができないのではないかとこれはリアルに考えてしまうのです。

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