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紙の本
諧謔VS辛辣・正論VS異論・されど百鬼園先生は意に介さず
2003/09/23 23:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とはいえ、南は九州北は北海道まで縦横無尽に走りまくる阿房列車の
ごとく百鬼園先生の洞察はとどまる事を知らない。本書に収録されて
いる一読軽妙な随筆群がそれを証明している。
随筆? たしかに随筆というほかないような気もするしどうも違うような
気もするし面白さに引き込まれつつどうにも困った事態になってくる
のが先生の書かれた文章の特徴でもあるわけでけれどもどうにも読み出
したら面白すぎてそわそわしてくるのを押え切れないのも困った事態
ではある。
立腹や高利貸や入道雲や旅行や億劫などについての哲学的考察のあとに
突然、幻想と現実の境界線がぼやけるような東京日記が飛び出してくる
あたり、編者の腕も冴えている。とはいえ哲学的考察などという大上段
に構えた言い方をせずとも柔らかい話としても充分読めてしまうし読む
ほどに混乱してくるのはひとえに小生の至らなさであって先生の責任で
はないのは重々承知しているつもりではある。
だが東京日記は何度読んでもすごい! すごい、なる月並みな物言いも
小生の貧困な使用方法では即座に先生にお叱りを受けること必至では
あるが、その理由は先生の文章の中での非凡極まる使用方法を探して
もらって感嘆して頂くほかない。日記の末尾がすべて尋常ならざる
予感に満ち満ちた終り方をするのは空前絶後かもしれない。
さて百鬼園先生の随筆(便宜上こう呼ぶしかないが)は各社刊行のそれ
の中でなんと重複しているのであろう。これも編者の責任では断じて
ない。好みによって選択すればおのずとこうなることは必然なのである。
いっそのこと、「百鬼園随筆全一巻」なる電話帳も驚く大きさの一冊
にまとめてもよいかとも思うがそのような不粋なものを編纂したら先生
は、住まいのなかで邪魔になるばかりとさぞや立腹されるにちがいない。
結論:全部買って全部読むこと。重複なんぞなんのその。楽しみが倍増
すると思えばなんと安い買物であろう。少なくとも借金をしにタクシー
を使うことを思えば…。