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日本経済「暗黙」の共謀者

  • 出版社:講談社
  • サイズ:18cm/233p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-272101-5

日本経済「暗黙」の共謀者 (講談社+α新書)

森永 卓郎 (著)

  • 全体の評価 4.53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:81923pt
  • 発行年月:2001.12
  • 発送可能日:購入できません
  • 新書

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ユーザーレビュー- 「日本経済「暗黙」の共謀者」

全体の評価
4.5
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3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2012/01/21 04:24

一部の人達のたくらみを許すな

投稿者:良泉(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2001年に発刊された本書であるが、その内容は十分新しい。むしろ、それ以降の日本経済(正確に言えば労働者を無視した大企業群)の一時的景気回復や、サブプライム問題、リーマンショック、そして東日本大震災などの雑念の無い理論であるだけ、今、素直に受け入れられる。
 著者の経済認識の正確さと読みの深さに驚かされる。
 異常に長期に続く日本のデフレ経済であるが、著者は、これには“犯人”がいると言う。それも単独犯ではなく、デフレによって自身を利することができる人たちが“共謀者”となって“犯行”に及んでいるという。
 そして、本書のタイトルに示すように、その共謀者達は、決して本当の意味で“共謀して”、つまり話を合わせて共謀しているわけではない。“悪巧み”をする者たちが自分達の利益を損ねないようにそれぞれが行動することで、結果として無意識の、“暗黙”の共謀となっているという。
『特定の誰かがわざとやっているというのではなく、さまざまな事情で日本経済の不況を望む人たちが、暗黙の協調行動をとってきた。彼らの間に成立した暗黙の共謀によって、この10年間の不況はつくられたのだと私は考えている。』
 デフレや不況を望む人たちが、決して“普通の”人たちではないことは十分に想像のつくところである。
 この国の経済は、一部の特権階級の人たちによって、彼らの利益のためだけに、長い間、とっても悪い状態におかれてきたのだ。
 長期デフレによる一般労働者のリストラや給料削減、新卒学生の就職難、すべて、彼ら“共謀者”たちが、わざと仕組んできた結果だったのだ。
 その犯人群の中には、当然、日本銀行がいる。本書でも著者は日銀理論の嘘を指摘する。
『彼らの主張とは、「景気回復に必要なことは構造改革の断行であり、金融政策はその支援をするのが精一杯で、景気回復の重責を金融政策にかけることは誤りである。」というものと、「もしインフレターゲットなど設定したら、物価のコントロールがきかなくなり、ハイパーインフレになってしまう」という二つである。』
 これらが、いかにまやかしであるか。彼らがまやかしをしようとする、その意図までを、著者は論破する。
 本書末尾で著者は言う。
『これまで述べてきた暗黙の共謀に対して、私は、この流れを何とか食い止めようと闘ってきたし、これからも最後まで闘い続けるつもりだ。』
 デフレ不況で泣かされ続けてきた一般国民は、代表して権力に立ち向かってくれている著者に拍手である。
 そして、そんな中、われわれ自身は何をしていけばよいか。これも著者が教えてくれる。
『一番やってはいけないことは、自分だけは勝ち組に残るのだと考えて、無駄な努力をすることである。とりあえず、自分は負け組なんだと思ってみることが、おそらく一番正しい行動であろう。この本を読んでいる方々に、「あなたは負け組だ」と私が宣言しても、90%の確率で間違いではないはずだ。なぜなら、9割の人が負け組になるのだから。』
 ひとを蹴落としてでも、自分は勝ち組に残ろうとする、そんな姿勢を一人一人が捨てること。これが共生する社会を末代まで残していくための心がけである。

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2002/05/15 06:55

証明できないシナリオ

投稿者:よんひゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

相変わらず、わかりやすくおもしろいが、今回は著者の主張するシナリオが、若干弱い気がする。そもそも現実にある事象から、こういう動機に違いない、と推測している話で、探偵が謎解きすると犯人が「参りました」とばかりにぺらぺらと裏づけになる自白をしちゃうのと違って、証明のしようがないからである。

だが、構造改革の分析、日本経済がどちらの方向に行こうとしているのか、という分析は、十分説得力がある。経済には疎いので、インフレターゲット論で、それほど簡単にデフレ退治ができるかはわからないのだが、能力主義、あるいは成果主義は、名前だけのもので、ほんとうは権力者のためにある、とか、結局はアメリカが一人勝ち、とか。

最後に「幸せな負け組になろう」と締めくくられているが、それを社会全体で実現したのが、オランダなどで成功したワークシェアリングなのであろう。

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2002/03/01 23:39

構造改革が実現した社会とは

投稿者:ダブルディ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小泉内閣を支持する人は、構造改革が実現すればどのような社会になると考えているのだろうか。
 著者は、今以上の(アメリカ型)弱肉強食社会になると警鐘を鳴らしている。それでも、小泉内閣を支持する人は、努力した人や能力の高い人が報われるのは当然だと言うだろう。しかし、著者はそうではなく、今までと同じようにいや今まで以上に、努力や能力とは関係ない人間が高い地位に登りつめていくと指摘する。
 日本ではよく欧米化ということばが使われるが、ヨーロッパとアメリカでは当然文化が違うし、ヨーロッパの国のなかでもそれぞれ文化が異なる。そのようなかで、本書ではこれからの日本の経済や社会のモデルは、アメリカだけではないと強調している。
 私は、本書の内容がすべて正しいかどうか分からないし、その答えもまだ出ていない。しかし、本書は、日本経済の現状を把握するために有効であるだけでなく、人間にとっての幸せとは何かということも教えてくれるものである。

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