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紙の本
カラスの早起き、スズメの寝坊 文化鳥類学のおもしろさ (新潮選書)
著者 柴田 敏隆 (著)
様々な環境に適応して高度に進化した鳥たちは、苛酷な状況を生き抜くために見事な知恵を発揮する。感情表現豊かなその生態は、知れば知るほど人間の姿を連想させる。鳥たちの社会を生...
カラスの早起き、スズメの寝坊 文化鳥類学のおもしろさ (新潮選書)
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商品説明
様々な環境に適応して高度に進化した鳥たちは、苛酷な状況を生き抜くために見事な知恵を発揮する。感情表現豊かなその生態は、知れば知るほど人間の姿を連想させる。鳥たちの社会を生き生きと描くネイチャー・エッセイ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
柴田 敏隆
- 略歴
- 〈柴田敏隆〉1929年横須賀生まれ。コンサーベイショニスト(自然保護に、話のわかるプロとして携わる人、の意)。日本自然保護協会理事。著書に「かながわの鳥」「私の愛鳥講座」など。
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紙の本
話の種本
2003/02/26 16:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっぴり学術的知識を得られて、それでいてそれほど小難しくない、話の種になること請け合いの本である。例えば、フクロウの足指は前に2本、後ろに2本が普通だが、長野五輪のマスコットの「スノーレッツ」は、フクロウがモチーフにもかかわらず、普通の鳥のように前に3本、後ろに1本だったとか。他にも細かい相違点があって、「鳥学を少しでも齧った学識では、こういう図柄では既にフクロウではない」そうだ。それで長野オリンピック冬季競技大会組織委員会事務局宛に、手紙と図鑑のコピーを送ったところ、見事に黙殺された。そのような話が満載だが、著者の言によれば「文化鳥類学」の本なのだそうだ。だから、鳥学“事典”であれば必須のはずの索引はない。
童謡「七つの子」はカラスを唄った名作だが、鳥学的にはおかしいところがあるという。なぜなら、カラスの1回の産卵数は多くとも5、ないし6個であって、同時に育てるべき7羽の仔ガラスがいる親というのは、きわめて異例だそうだ。では「七つ」が年齢だとすると、人間に換算すると中年、あるいは初老だから、それは「子」にはふさわしくない。したがって、「五つの子」のほうがよかった−こういう、こだわった話が、私は好きである。ちなみに、昨秋(2002年)放送されたフジテレビ系の連続ドラマ「天才柳沢教授の生活」(主演・松本幸四郎)で、「七つの子」のナゾ(「七つ」は7羽か7歳か)が主要なサイドストーリーの回があった。
石原都知事はカラスを「大嫌い」だそうだが、その捕獲用に作ったわなが、オーストラリアン・トラップという名称だというのも、私は本書で知った。もっとも、そこはカラスの頭の良さについて触れられた章で、成鳥にはほとんどわなの効果がないと書いてあるのだけれども。
カラスばかりが書かれているわけではない。冒頭の例に挙げたフクロウもあるし、題名のもう一方の当事者スズメもある。全4章60項目、実際には、他の鳥についてのエッセイの比重が圧倒的に多かった。
紙の本
雑学の冥利
2021/12/05 15:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は数多の鳥類に関する習性や生態、特徴などについて紹介された一書です。タイトルにある内容は本書の最後に登場します。
普段朝の通勤時に駅へ向かう際カラスとスズメを目にしているので、どちらも早起きだと思っていましたが、本書を読み、少しばかりカラスの方が早起きだという事が解りました。
もう一つ興味深かった内容は、外洋性の海鳥は海水を飲んで塩分以上に生活に必須の水分を補給しても、人間とは違い腎臓を侵されて死ぬ事はない、という事です。彼らは塩腺という器官を使って不要・過剰な塩分を濾過して体外に排出できるという事で、大変驚きました。
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鳥に宿る進化の謎
2017/06/09 17:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kemtarou - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽妙な語り口の文体で、鳥類の行動を人の習性と対比しながら解説していく。生態学的な驚くべき能力と人間と似通った行動について、数多くの種類の鳥を取り上げ、面白おかしく紹介している。著者の豊富な知見や鳥類への愛情を感じつつ、進化の過程に思いを馳せる。バードウォッチングへと誘われる。
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「人間味」あふれる鳥たちの姿を描いた“文化鳥類学”
2002/08/30 12:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:彦坂暁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学の世界では一般に生物の擬人化は慎むべきだとされているけれど、日常生活の中で動物の行動を見ていると、どう見ても人間のような感情や知性を持っているとしか思えないことがある。哺乳類はもちろんだが、鳥にもそういうところが多分にあって、それが世に鳥類愛好家が多い一つの理由なのではないだろうか。
本書はそんな鳥たちの「人間的な」姿をいきいきと描いたエッセイ集である。たとえばモズの「夫婦」をとりあげた最初のエッセイ。モズは春には子育てのためにつがいが協力してなわばりを確保するが、秋になるとオスとメスは互いに自分だけのなわばりを維持するため、対立関係にはいる。やがて春が来て、さて昨日まで対立していたオスとメスが和解して再びつがいを作らなければならない。その時、かれらはどのような行動をとるのか、という話なのだが、その行動がいかにも「人間的」で面白い。
評者は生物学を専門にしている者なので、その立場からいえば眉をひそめたくなるような記述も随所にあったのだが、では本書が面白くなかったのかと問われれば、面白かったと答えざるを得ない。バード・ウォッチャーでも鳥マニアでもないが、子供の頃には鳥を飼い、毎日の自転車通勤の途中には必ず鳥の姿を目で追うという程度には鳥が好きなので、文化人類学ならぬ「文化鳥類学」を標榜する著者が描く「人間味」あふれる鳥たちの姿は、鳥たちと接していて感じる自分の実感ともマッチしていて、とても愛すべきものに思えた。
考えてみれば、鳥はつがいで子育てをするものが多いし、群れを作って生活するものも多い。その点ではヒトと似たような生活を送っているともいえる。鳥が人間にとって感情移入しやすい生き物であることには、そんなことにも理由があるのかもしれない。本書を読んで、改めてそう思った。
(彦坂暁/広島大学 総合科学部 http://hiko475.ias.hiroshima-u.ac.jp/index-j.html)
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