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半落ち

  • 出版社:講談社
  • サイズ:20cm/297p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-211439-9

半落ち

横山 秀夫 (著)

  • 全体の評価 420件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,78551pt
  • 発行年月:2002.9
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「半落ち」

請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。全面的に容疑を認めているが、犯行後2日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。男が命より大切に守ろうとするものとは何なのか。感涙の犯罪ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「半落ち」

横山 秀夫

略歴
〈横山秀夫〉昭和32年東京生まれ。国際商科大学卒業。上毛新聞社に勤務後、フリーライターとなる。「陰の季節」で第5回松本清張賞、「動機」で第53回日本推理作家協会賞短篇部門賞を受賞。

ユーザーレビュー- 「半落ち」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(20件)
★★★★★(9件)
★★★★☆(4件)
★★★☆☆(4件)
★★☆☆☆(1件)
★☆☆☆☆(1件)

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2004/07/04 20:16

誰もが持っている「半落ち」

投稿者:luke(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「半落ち」横山秀夫。警察用語で逮捕後の取り調べで全てを供述する事を「落ちる」と言い、全てを語らない供述を「半落ち」と言います。

 W県警中央署の本部教養課次席の梶警部はアルツハイマー症の妻を殺害する。妻に懇願されての嘱託殺人であった。W県警本部捜査第一課強行犯指導官 志木警視は梶の取り調べを命ぜられる。全てをありのまま話す梶ではあったが、殺害してから自首するまでの空白の2日間については沈黙を守るのであった。空白の2日間は警察と新聞社、警察と検察、検察と裁判官、と様々な確執を生みつつ偽りの自供として裁判を通過してしまう。空白の2日間に何があったのか? 物語は感動のラストへ怒濤のように雪崩れ込むのだ。

 「陰の季節」で警察内部の一般社会とは違った職場関係や人間関係に新鮮な驚きを持って触れましたが、「半落ち」ではそれに加えてマスコミ、検察、弁護士、裁判所と司法界の全てが事件を軸に語られ、絶妙な緊迫感を常に維持しながら2日間の謎に様々な角度から解明の手が差し伸べられました。その一つ一つの章が見事に完結し次の章へバトンを渡していく展開は見事と言うしかないでしょう。人は何の為に生きるのか、生きて行かれるのか、大きな命題が示されます。関わり合う人々の生活の中に大きな伏線があり、それらがラストの感動へ導いてくれます。誰もが向き合わなくてはならない現実がそこにあり、どのように向き合って行けばいいのか複数の答えが明示されますが、正解は示されません。いや、正解なんてないのでしょう。

 話から外れますが、ボクは3年前から臓器提供意思表示カードを所持しています。崇高な想いがあるわけじゃありませんし、子供が心臓病を患っているからでもありません。簡単に言えばリサイクルが好きなんです。医学の進歩とか、医学と倫理とか、人間の尊厳とか、いろいろ考えない訳じゃないのですが使えるのなら使った方が良いのだろうと思うのです。一番良いのは、カードを持った事で「死」に一時でも真面目に向き合えると言う事です。常にそればかり考えている訳じゃありませんが、自分のやりたい事、やらなければいけない事が、心の声で聞けるのです。

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2004/03/09 11:27

今更でも読んで正解

投稿者:楓 (女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

今更ながら読みました。いい!
できたら寺尾聡の顔を思い浮かべずに読みたかった。
直木賞選考時の「論争」も読みましたが、
筋違いとしか思えないなぁ…

読んでない人には説明しにくいですねぇ。
作者サイドも反論しにくかったでしょうね。
あそこを説明しちゃうとオチが…

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2004/02/01 11:57

傑出した構成

投稿者:apotosis(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

謎解きを期待して読む推理小説ではない。なんと云っても、刑事や検事、判事それぞれの視点で語られる事件(その印象)、場面の切り替えが見事、まるで良質の映画やTVドラマを見ているようだ(映画化されたが、原作を超えられるか?)。やがて、結末に収束し、半落ちでななく読後感は「全落ち」。傑出した構成だ。

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2003/07/25 13:53

「週刊横山秀夫」を期待して…。

投稿者:はらこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

推理小説なんて…という気持ちがあったのか、なかったのか、これまでなぜか敬遠していたが、「『週刊 横山秀夫』を作ったらバカ売れ間違いなし」と、どっかの編集者が言っていたのを聞き、ミーハー心に火がついて、早速読んでみた。

読める読める…するする読める。
最後のオチもピタリと決まり、これが推理小説かぁ…。
いいんじゃない。
よかよか。
余暇を過ごすにぴったりなどと文字ってみたりするほどすっきり。

確かに、「週刊 横山秀夫」が出れば気になる雑誌になるに間違いない。でも、この社会派オチが続くようではすぐにマンネリになることも間違いない。とにもかくにも、私が横山秀夫のこれまでの本を読みつくしたい気持ちになった事も間違いないのです。おすすめです。

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2003/02/07 00:37

もう一歩で触れられそうで誰も触ることができない絶妙なストーリー展開にページをめくる手を緩めることは不可能だ。

投稿者:諏訪旭(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

昔はミステリと言えば推理小説のことを指していた。巧妙な技を使った密室殺人が一時代を築いたと言っても良いだろう。読者はあっと驚くトリックに魅了され、虜になった。新刊を購入しては新しい驚きを求めた。時代は移り、現在のミステリに非現実的なトリックはあまり使われなくなった。そこに描かれているのは、人の「心」である。現代ミステリで解明しようと試みるのは、巧みなトリックではなく、それ以上に複雑で神秘的な、心の動きなのである。
 「半落ち」は絶大な支持を得ておおくの読者に受け入れられた。03年の「このミス」、「週刊文春」両誌でベスト1に輝いた。この作品は現代ミステリの完成作と言ってよいだろう。すべてがまさにあるべき場所にしっかりと収まっており、まったく無駄がない。登場事物一人一人の心の動きが紙面から飛び出し自らの鼓動と肉薄する。そこにはミステリの醍醐味である謎解きの要素の圧倒的な存在がある。決して触れてはいけない心の陰。もう一歩で触れられそうで誰も触ることができない絶妙なストーリー展開にページをめくる手を緩めることは不可能だ。最後にあきらかにされるすべての謎。人間として生きていくことの偉大さ、責任を深く感じ、大粒の涙をこぼした。名作に出会った喜びが読書への飽くなき渇望を増長させた。
 病気で苦しむ妻を自らの手で殺した警察官は、全面的に容疑を認め自首した。しかし、犯行後の2日間に関しては決して口を割らない。完全にすべてを自供するのではない「半落ち」状態を執拗に続けた。男は妻を殺した時に死を覚悟していた。ならば男が自らの命以上に大切に守ろうとする物とは何なのか? 隠された2日間と一人の男の人生の意味。
 感涙のヒューマンドラマにどっぷり浸かってみるのはいかがだろうか? ミステリもここまで来たかと感心するとともに、読書のもつ不思議な魔力に心を奪われること間違いなしだ。

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2003/01/20 01:06

久しぶりに心が震えました。

投稿者:1003(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

請われて妻を殺した警察官梶総一郎が、その嘱託殺人については全て供述するが、出頭までの空白の2日間については黙秘を貫く。その2日間に主人公が何をしていたかを解明することが物語りの中心になっているわけだが、その構成がまず面白い。忠臣蔵の手法というか、登場人物のそれぞれの視点から事件を考察し、その一人一人の考察が一つの章になっている。登場人物それぞれの心の葛藤を通して、梶の実直な人間性を表現し、最後の最後に感動のクライマックスを迎える。ミステリーに分類されているが、人の生き方について深く考えさせられぐっとくる一冊だと思う。

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2002/12/22 02:17

イヌの生態をみごとに描いた傑作

投稿者:山本 新衛(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いきなり個人的な話で申し訳ないが、小学生の息子が臨海学校の実行委員長に選ばれたと、大いばりで帰ってきた日の夕食。「それで委員長ってなにをやるんだい」。「たいへんだよ。朝は皆を起こさなければいけないでしょ。点呼をしなくちゃならないでしょ。なにかあったら先生に報告に走らなきゃいけないんだ」。「ふーん。官憲の手先ってやつか」。「それってなぁに?」 「ふむ、いわばイヌだな」とやってしまい、女房殿に大目玉を食らったことがある。子供相手になにをばかなことを、というわけである。この時ばかりは深く反省した。▼「官憲の手先」などという言い方は、死語に類するであろうが、(お叱りを覚悟の上で言わせていただければ)他人の秘密を嗅ぎ回るイヌの生態は、いつの時代でも気持ちのいいものではない。▼こうしたイヌの生態を、みごとに、人間味あふれる、愛すべき身近な存在として、まるごと差し出してくれる貴重な作品が、本作『半落ち』である。▼刑事、検察官、新聞記者、弁護士、裁判官、看守。これらは人が罪を犯すとお世話になる一連のおイヌさんたちである。そして犯罪者が現職の警察官とくれば完璧というほかない。▼W県警本部教養課次席、梶聡一郎警部が、「妻を殺した」と自首してきた。アルツハイマー病に苦しんでいた妻に乞われ、その手で妻を扼殺したという。嘱託殺人。しかも現職の警察官が。組織にとって身内の恥ほど身のすくむものはない。しかも、取り調べが進むうちに、彼には、妻の死後から自首までに空白の二日が判明した。新宿歌舞伎町へ足を運んだ形跡があるというのみで、どこで何をしていたか、彼は黙して語らなかった。彼の自供は「完落ち」ではなく「半落ち」だったというのだ。▼この「空白の二日」をめぐって、物語はオムニバス風に展開し、上記の専門家がそれぞれの立場から犯罪者に向かい合う。▼「空白の二日」の究明を基軸にすえながら、作者は、それぞれの立場で違うイヌの内面をすくい取ろうと意図する。つまり私達にも共通する「空白」=秘密を引っぱり出してやろうというのである。果たしてそれは見事に成功し、事件がすべて解明された後も、それぞれの「半落ち」状態は続くのである。▼2003年の幕開けは、本作の直木賞受賞で始まると確信できる傑作である。

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2002/12/22 00:09

組織と人間の関係

投稿者:ゲレゲレ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 警察の取り調べで、犯人が完全に自白した状態を「完落ち」、すべてを自白していない状態を「半落ち」というそうだ。49歳で妻を殺害したこの警察官は、殺人は認めても、殺人後に出頭するまでの2日間については、決して語ろうとしない。敏腕の刑事、検察官、新聞記者、弁護士らが、その謎に挑む。

 小説では警察組織の内情がリアルに描かれる。検察は警察の上位機関としての位置づけられるが、組織対組織、狭い地域の中での「つきあい」の図式の中では、上位機関としての機能が有効に働かない。長年、同じ組織の中で勤務し続けていく人達が、恐れ、大切にするものは、犯行の真相を究明とはまったく異なる。組織維持、保身なのだ。

 「人間はひとりでは生きていけない」。こんなことばを聴いたら、ふだんの私なら「言い古されたフレーズだな」程度にしか考えない。だが、この小説を読み終えた時、自分の浅はかさが恥ずかしくなるほどに、深いモノを受け取った気がした。

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2002/09/23 18:21

自首して証拠も十分な被疑者が何かを隠している。捜査官,検察官,裁判官たちがその謎に迫っていく

投稿者:格 (男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 事件の大半を自供した状態でも少しでも隠していることがあるような状態を『半落ち』というらしい。この事件の場合は,犯人は現役の警部。妻を殺したと自首してできた。妻はアルツハイマー病で,正気に戻ったとき,殺してくれと頼まれて思わず殺してしまった。しかしながら,殺した日時と自首してきた日時との間に2日の空白が。この間に何があったのかについては決して説明しようとしない。一方で歌舞伎町に行ったのではないか,という疑い。調べにあたったエース捜査官の猛反発を受けながらも,警察のメンツにかけて,その部分は隠し,死に場所を探し彷徨っていたことにする。犯人もまた警察の事情を考慮し,すすんでその説明をする。捜査官の視点で書かれたここまでが第1章である。

 以後,検察官,新聞記者,弁護士,裁判官,刑務官のそれぞれの立場で1章ずつ描くというユニークなスタイル。短編小説が得意な著者が編み出した独特のスタイルとも言える。

 各章の主人公が,それぞれに疑問を抱き,追求しようと組織と闘いながらも,決定打を欠き,そのまま進んでいく。だからこそ,それぞれの主人公がかかわることになるのだが。それぞれの視点からの事件への関わり方が面白い。自分の思いとは異なる方向へ進む苦悩が描かれている。皆,犯人の澄んだ眼に,隠したいことを守ってやろうと決意して,次へ進むのだ。

 最後には,初めの捜査官の努力が報われる。それぞれ関わった男たちのその後を知りたい気分になるが,それは,自分で想像すればいいということか。

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2004/03/02 17:43

現代の病巣、テンコモリ、ミステリー仕立て

投稿者:はけの道(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

目次からして、変わっている。誰々の章…などと警察官、検事、新聞記者あり、弁護士、刑務官等の名前で成り立っている。一人の温厚な警察学校の教諭が犯した、依託殺人をめぐって話は進められ、最後にぐーっと読者を泣かせてしまう。何しろ小説に登場する事柄にもアルツハイマー病、敗血病の骨髄移植、警察内部での犯罪、警察と検察庁との確執。或いは福祉保険の問題…。どれをとっても現在の我々が真剣に考えて行かなければ為らない重要案件ばかりである。
それらを上手く、面白くしたのがこの「半落ち」であろう。映画にもなったそうだが、そりゃぁ、面白いだろう。

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