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商品説明
出産間近の妻を搬送中の救急車が事故を起こしたことから、飯島誠の運命が大きく変わる。救急隊員と妻の姿が消え、「噂」となっていた怪物が市民を殺戮する。アイパッチをした男の名はゾアハンター。この事件もゾーンの仕業か?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大迫 純一
- 略歴
- 〈大迫純一〉漫画家を経て、「バビロン・ゲート」で小説家となる。キャラクター・デザインなど、職歴は多岐にわたり、アクション・タレントとしても活動。著書に「ゾアハンター」「ウリエルの娘」など。
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紙の本
著者コメント
2002/10/09 20:53
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投稿者:大迫 純一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
気がつけば、もう三年も『ゾアハンター』を書いている。
今回の『贖罪のカルネアデス/ゾアハンター』で、シリーズ五作目だ。
しかも物語は、まだまだ終焉の気配を見せないのである。
うひゃあ。
『ゾアハンター』は、私が初めて、出版社からの依頼も受けず、どこに売り込むあてもなく、それどころか誰に読ませるつもりもなく、ただ自分のためだけに書いた物語である。胸の奥底に溜まった、怒りにも似た感情を吐き出すために書いた物語である。
きっかけは、アクション俳優・渡洋史氏(『宇宙刑事シャリバン』など)との出会いだった。彼と「あるべきヒーローの姿」について語り合った時、ふいに、それまで胸の奥に詰まり、溜まりに溜まった何かが動いたのだ。
続く熱狂の二週間、私はひたすらキーボードをぶっ叩き続けた。
二十世紀、最後の年のことだ。
そして書き上げた物語を、角川春樹事務所の『小松左京賞』に、叩きつけるように応募したのである。
受賞は、逃した。
当然である。
「仕事」でも「趣味」でもなく、しかしその中間にあるわけでもない、どこか別のところから沸き出してきた物語だ。「情念の発露」などという言葉で呼ぶことさえ気恥ずかしいほどの、それはある意味、叫びの権化であったからだ。
だが、電話があった。
「うちで出版しましょう」
すでに書評などで指摘されているとおり、ゾアハンター・シリーズは、少なからず特撮ヒーローものの影響下にある物語だ。その点については、潔く認めよう。
しかし「それは素晴らしい」という拍手も、「子供騙しではないか」と断じるられるのも、しばしお待ちいただきたいのである。
一つ、伺いたい。
あなたは、特撮ヒーロー番組を「卒業」しておられるだろうか。
単に「観なくなった」のではなく、きちんと「卒業」しておられるだろうか。
例えば『人造人間キカイダー』の主人公が見せる寂しげな笑みの意味を、ちゃんと理解なさっただろうか。例えば『仮面ライダー』の挿入歌で「みんな助けた、友も元気だ」と謳いあげられるその真意を、ちゃんと汲み取れただろうか。そして、例えば『宇宙刑事シャリバン』で友を惨殺された若き宇宙刑事が、怒りの雄叫びとともに変身しながらも、対峙した敵に「宇宙刑事! シャリバン!!」と名乗りをあげるその胸の内を、ちゃんと判っておられただろうか。
「卒業」とは、学びを終えることを言う。
あなたは、彼らの勇姿と爽快な戦闘シーンの陰に隠された痛みを、ちゃんと感じ、そこから学び、その上で「観なくなった」のだろうか。
自信をもって頷くことの出来る方は、おそらくほとんどおられないだろう。
無論、私もそうだ。
彼らは私達に、何を伝えようとしていたのか。
彼らは私達に、何を教えようとしていたのか。
私がゾアハンター・シリーズを書き続けるのは、その答えを探すためでもある。そしてこの一点において、まさにゾアハンター・シリーズは、特撮ヒーローものの影響下にあるのだと私は理解している。
あなたが、まだ答えをお持ちでないなら、ぜひお読みいただきたい。
一方で、あなたがすでに答えをお持ちなら、なおさらお読みいただきたい。
少なくとも、ヒントの一端は、ここにあるはずだ。
戦いとは、拳を叩きつけることではない。
強さとは、負けないことではない。
勝利とは、敵を倒すことでない。
これは、そういう物語である。
繰り返して申し上げよう。
黒川丈は、ヒーローである。
そして、彼はまだ答えを持たないのだ。
最後に、一つだけお約束する。
失望はさせない。