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アルゼンチンババア

  • 出版社:ロッキング・オン
  • サイズ:19cm/153p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-86052-012-2

アルゼンチンババア

よしもと ばなな (著), 奈良 美智 (装画・写真), 沢 文也 (訳)

  • 全体の評価 4.54件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:2,62575pt
  • 発行年月:2002.12
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「アルゼンチンババア」

よしもとばななの最新書き下ろし小説に加え、世界的アーティスト奈良美智の描き下ろし絵画16点・撮り下ろし写真40点を収録。日本人アーティストによるコラボレーション作品。英文併記。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「アルゼンチンババア」

よしもと ばなな

略歴
〈よしもと〉1964年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸科卒業。「キッチン」で海燕新人文学賞を受賞。
〈奈良〉1959年青森県生まれ。ドローイング手法の作品を手がける。

ユーザーレビュー- 「アルゼンチンババア」

全体の評価
4.5
評価内訳 全て(4件)
★★★★★(2件)
★★★★☆(1件)
★★★☆☆(1件)
★★☆☆☆(0件)
★☆☆☆☆(0件)

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/08/29 11:25

悪くはない人生

投稿者:佐々木 なおこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

きらきら光る銀色の表紙だった。
ページをめくると、日本語と英語が仲良く並んでいた。
そして紫色や黄緑色のページがところどころにあった。
緑色の文字もあった。
奈良美智さんのイラストや写真がふんだんにあった。
あとから挟み込んだようなイラストのページもあった。
こんな本は、初めてだ。
主人公は18歳の時に母を亡くしてから
平凡だった世界が消えてしまったみつこ。
一人っ子のみつこはすでにそのとき、
家を離れて学校に通っていたが、
妻に先立たれたみつこの父は、それからほどなく
地元ではかわりもので評判の女性の家に転がり込んでいた。
アルゼンチンババア、女性はそう呼ばれていた。
ものすごい厚化粧と派手な服装で注目を集め、
かつてアルゼンチンタンゴとスペイン語を教えていたらしい。
「言わせとけ。
俺が、幸せなら、なんでもいいんだよ」
今はアルゼンチンババアと暮らす父がみつこに言う。
幸せそうに暮らす父を見ながら、これでいいのかな?と思う。
墓石や庭石を彫る職人をしていた父が、母のためにイルカの墓石を彫る、そしていつか人に見せるものを作りたいと言う。
「石に宿っている神が俺にそう言うんだ、
石を彫れってね、しきりに」。
いやいやながら、それでも気になって父の様子を見にアルゼンチンババアの家に
通っていたみつこは、いつしか
アルゼンチンババアを受け入れている自分に気づく。
そして、父やアルゼンチンババアやこの二人の間に産まれた
腹違いの弟の暮らしを目の当たりにしながら、
「私はこの人生で私のための遺跡を
自分で作っていかなくてはならない」と思うようになる。
「ここでの暮らしは
お父さんの理想の暮らしだったの?」
みつこがたずねると、父は
「う〜ん、そんなのわかんねぇな。
今は今だよ。
悪くはないな」と言った。
悪くはない人生、
みつこの父の生き方に
痛いくらいの幸福感を感じた。
そしてみつこにもこれから訪れるであろう
同じような幸福感をふつふつと感じた。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/06/17 14:44

どうして人は遺跡を作るのか?

投稿者:yaeba(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

18歳の女子高生・みつこの母の死から物語は始まる。
母の死後、墓石職人の父が「アルゼンチンババア」と呼ばれる、街でも有名な風変わりな女性の住むビルに出入りしていると知り、みつこはそのビルを訪ねる。
みつこと父、そしてアルゼンチンババアと猫たち。
通称「アルゼンチンビル」で繰り広げられる、風変わりで優しい関係。
母を亡くした後、父が「曼荼羅」について、みつこに話す場面がある。
「宇宙は、平面じゃなくて、時間もないんだ。それで、何層にもなっているんだよ。
その何層にもっていうのが、からくり箱みたいに時間も何もかもひっくるめて全部つながっていて、
理屈じゃないし、絵にもできないんだ。どの部分も全ての部分に通じているわけだよ。
奥の深い空間が、ずっとずっと果てしなく重なっているんだ。
それで、それをなんとかして表そうとしたのが、あれなんじゃねえかな」
そして父はその抽象的な概念を、曼荼羅をつくるという行為で具体化していく。
母の死で始まった物語は、父とアルゼンチンババアの恋、二人の子どもの誕生につながり、そして・・・。
私たちは、この途方もなく広がる宇宙の中、そして無限の年月の中、生まれた。この永遠に対し、ささやかな抵抗の試みを行っていく、それが生きるということなのかもしれない。
出産を控えての執筆というよしもとばななの背景を考えると、新しい命を生み出すということはある意味では自分の遺跡をつくるということにつながるようにも思える。
前頁に対訳があり、奈良美智の写真と絵が、この小説世界としっくりとなじんでいる。
もしも外国人の友人がいたならば、誇りを持ってプレゼントしたい、アーティスティックな一冊である。
文庫版もあるが十分なアートワークを望むなら、
ハードカバー版を購入することをオススメしたい。
さらりとしていて手に取りやすいのに、内容は深く、胸に残る。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003/01/02 15:44

ユニークなタイトルとアーティスティックな1冊。

投稿者:真愛(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 初めタイトルを見た時、!?と思い何度か読み直しました。そして、「ひな菊の人生」以来の奈良さんとのコラボ。やはり書店でも新刊台で目を引くものとなっていました。今回は書き下ろしで、その上、対訳となっています。奈良さんの絵・写真はもちろん、文章の方もアートっぽい並びのもの、色と小説というより、全体的に「アート」と思わせるものになっています。目で見てもかなり楽しめます。
 物語はばななさん特有の着目点での「家族愛」です。主人公のみつこは母を亡くした事で大きな言葉では言えない、目でも見えない、感じる「何か」を得る。そして、墓石彫り職人の父がその臨終を「逃げた」事に不満を感じていた。そして、父はある所へ住んでしまう。それは、タイトルにもなっている「アルゼンチンババア」の所へ。みつこはそんな父の所へ行こうと思う。しかし、其処は町で有名なアルゼンチンババア。初めて会ったみつこのアルゼンチンババアへの心象表現はまさにばななさん特有の微妙な所まで映像かさせてくれるものとなっています。
 みつこは初めいやいやと通っていたアルゼンチンビルへ、いつの間にか安心感を得る様な感じで通うようになる。そして、母の臨終を「逃げた」父の気持ちも何故か理解し、許せるようになる。父はその屋上に曼陀羅を造り、そして母のために母の好きなものをモチーフにした墓石を造る。曼陀羅の中心はまだまだ完成しておらず、何を入れるのかも言わないままだった。
 後に、アルゼンチンババアに子供が出来る。それは、みつこの腹違いの弟になる。しかし、子供を産んだその後、アルゼンチンババアは亡くなってしまう。父はその子を育てながら、そのビルに住んだままでいる。みつこはいずれ自分と叔母でこの子の面倒を見るんだなと思う。父は曼陀羅の中心部を完成させていた。その中心には…。
 ラストはかなりすっきりとしたものになっています。ばななさんにはいつも「こんな家族愛もあるんだな」と教えられます。この作品もそうです。家族というのは例えばらばらに生きても、繋がっているんだな、と感じました。
 この物語の中にちりばめられた奈良さんの絵や写真は絶妙に、絡まる様に折り込まれています。私個人は、みつこがアルゼンチンババアと階段を登る絵が好きです。そのアルゼンチンババアが「うわー思っていたのと同じ!!」と感動してしまいました。
 また、此処ではあえて「アルゼンチンババア」の事は避けます。かなりのキーマンですが、読んだ人にとって「あぁ〜」と思ってもらいたいからです。「アルゼンチンババア」に興味がある方は是非読んでみて下さい。必ず、ステキな何かを残してくれます。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003/09/07 22:18

不思議な家族のかたち

投稿者:nory(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

すごい題名なのだけど、これは主人公の町にある「アルゼンチンビル」と呼ばれている古い建物に住む変わったおばさんの呼び名である。そのアルゼンチンババアの家に妻を亡くした父親が転がり込んでしまうという話だ。そしていつしか不思議な家族のかたちができていく。

これを読んでいて思い当たることがあった。それはここのところのばななのほとんどの小説は、ちょっと異質な人間が自分の居場所を見つける、もしくは作り上げるということがテーマになっているということだ。

これはばなな自身が下町で生まれ育ったということが影響しているのかもしれない。外の世界で違和感を感じてしまったときにも、安心して身をゆだねられる場所の必要性。

子供を産んで家庭という居場所を確固たるものとしたばなな。その劇的な環境の変化が、これからどういうふうに小説の中に表れてくるのだろう。じっくり観察していきたい。


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