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さみしさの周波数(角川スニーカー文庫)

さみしさの周波数 (角川文庫 角川スニーカー文庫)

乙一 (著)

  • 全体の評価 53件のユーザーレビュー
  • あなたの評価 この商品を評価して本棚に反映 評価しました! ×
  • 税込価格:48013pt
  • 発行年月:2003.1
  • 発送可能日:1~3日
  • 文庫

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収録作品一覧- 「さみしさの周波数」

未来予報 5-62
手を握る泥棒の物語 63-116
フィルムの中の少女 117-168

ユーザーレビュー- 「さみしさの周波数」

全体の評価
5.0
評価内訳 全て(3件)
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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2004/08/28 22:46

なんだか、芥川龍之介の短篇か古典、今昔物語かなにかを読んでいるような気になってしまう。切ないおはなし?とんでもありません、極上の恋愛ロマンです

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。それきり僕は彼女と目を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…〈未来予報〉。ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを?んでしまう〈手を握る泥棒の物語〉。他2編を収録した、短編の名手・乙一の傑作集!」

以上がカバー裏の紹介。残りの2編というのが喫茶店で待ち合わせた大学生と、小説家の会話が意外な方向に展開していく〈フィルムの中の少女〉。結婚して子供も生まれ、順風満帆だった自分の人生が、交通事故で大きく捩れて〈失われた物語〉。この中では〈手を握る泥棒の物語〉と〈失われた物語〉が、自選集とでもいうハードカバーの『失われた物語』に再録されている。

カバーイラスト/羽住都、カバーデザイン/中デザイン事務所。勿論、本文中のイラストも羽住である。でだ、羽住の絵を、いかにも少女漫画チックなというか、MOE風の乙女チックな画風だなと決めつけていた私は、〈手を握る泥棒の物語〉を再読していて、89頁のイラストを見たときにその力強さに、凄い、と思ってしまったもである。

でだ、またまた調べもせずに発言してしまって恐縮なのだけれど、〈手を握る泥棒の物語〉って、今昔物語だよな、芥川龍之介だよな、と思うのである。〈泥棒の物語〉っていうところからだけの連想だ、というのは簡単である。しかし、この二人の夜の壁越しの囁きが、衆人環視の中での絡みつく視線がエロティックなまでの話は、現代的というよりは実に古典的な佇まいなのだ。

それは『平面いぬ。』の「石ノ目」にもいえることで、乙自身がそれをどれほど意識しているかは別にして、私などは乙のセンスに芥川を思ってしまうのである。うーむ、なんと言う短絡かと我ながら感心。そういう、誰かを思わせるところは〈フィルムの中の少女〉にも言えて、私はこれが黒澤明の手で映画化されたら、結構面白いものになるだろうなあ、などとも思うのである。

天才乙一の、期待を裏切らないレベルの作品集。

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2003/05/23 10:05

せつない物語がつまってます。

投稿者:和音(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

4つの短編が収められています。

未来予報…友人の古寺は、時々、未来が見えるらしい。でも必ず当たるわけではない。という事で、未来予報とはぴったりのネーミングだと思った。その古寺に「おまえ達二人どちらかが死ななければいつか結婚するぜ」なんて言われたら、誰でもその相手を意識してしまうだろう。思春期の微妙な心の揺れ。
主人公の彼はなんとなく大人になってしまいそうで未来に不安を感じる。私も未来や将来について考えた時、先が見えなかったりすると、いいようのない不安にとらわれたり、ぞっとする思いをした事があります。主人公の不安感は私と比べようにならないほど大きなものなのではないでしょうか? 最後のちょっとした勇気が彼を大きく変えさせたのならば、もう少しその勇気を早く持つ事ができたら… また主人公の未来は変わっていたのでしょうか?

「手を握る泥棒の物語」では壁越しに手を握り合っている時の緊張感がすごく伝わってきたし、「フィルムの中の少女」では、乙一さん お得意のちょっぴりホラーでせつない物語。

様々なシチュエーションや状況設定。独特の世界を生み出してゆき、少年少女の心理描写のうまい乙一さんはすごいと思う。

収録作品…「未来予報」・「手を握る泥棒の物語」・「フィルムの中の少女」・「失はれた物語」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/06/08 13:17

凄まじく、せつない。

投稿者:ひろし(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

せつねえっ!これが読み終わった直後の感想である。著者あとがきを読んだら「せつない物語を書いた」と言っているので当たり前・・・ではない。せつなさ度合いがあまりに凄まじい。
200P程の薄い本に、4つの短編が詰まっている。そのどれもがせつなく、物悲しい。なんと言う物語を作るのだ・・・。
「未来予報 あした、晴れればいい。」では、読み初めこそ小学校の頃の淡い初恋の思い出にひたれるが、主人公の少年が最後に知る真実。それを知ると、あまりに胸が痛い。
「手を握る泥棒の物語」はこの短編集にあって、唯一清涼剤的に滑稽な部分が含まれている。でも、壁の向こうとこっちで顔は見えずに掴み合う、という設定が大変面白い。
「フィルムの中の少女」は結構なホラーだ。何せ写っているはずの無い少女が8mmフィルム映画に現れる。この作品で面白かったのは、作者自身(多分)が、登場している事。そして、乙一特有の特異さをうまく使っている事だ。いや難しい事じゃない、誰でも知ってるこの作者の、特異さである。そして短いながらもミスディレクション等を含め、読む側は思い切り翻弄される。そして読了時の脳みそは、一瞬の真空状態に置かれるのである。
「失われた物語」...せつない。口論の絶えなかった若い夫婦。夫の方が事故で右腕の触覚以外全ての感覚を失う。視覚聴覚味覚嗅覚・・・全てである。そんな時に取った、妻の驚くべきコミュニケーション方法とは。そして自殺する事すら許されない夫が、妻を愛するが故に取った、あまりにせつない方法とは。
乙一を連読して追いかけてきた。しかし未だに一冊づつ驚きを覚える。何ともすごい作家だ。

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