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中世の天皇観

  • 出版社:山川出版社
  • サイズ:21cm/102p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-634-54220-X

中世の天皇観 (日本史リブレット)

河内 祥輔 (著)

  • 全体の評価 51件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:84024pt
  • 発行年月:2003.1
  • 発送可能日:1~3日

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/09/16 21:09

日本の中世から近世の政治体制を制約した「正統」概念

投稿者:FAT(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書では、中世以前の「天皇」なる地位の基盤、つまりある個人を天皇として周囲の人(基本的には、朝廷及び武家政権の権力者達)が認める論拠となっているのは、「正統(しょうとう)」という概念だとする。まさに、天皇の正統(せいとう)性は、正統(しょうとう)によって基礎づけられる。
この「正統」とは、ごく最近に皇位を継いだ天皇の父系血統であるが、今上から上代にさかのぼる形で認識されるものだが、神武天皇から下る系図の「幹」という形で構想されるもので、本書の31ページ以下で視覚化されている。
 この「正統(しょうとう)」を周囲から認められることが、皇位承継の条件であったというのが、本書の主張であり、この点から、平将門の新皇称号や足利義満の皇位簒奪意思を否定している。
 この「正統(しょうとう)」概念、非常に興味深く、日本の13世紀から16世紀の歴史を見る時に、常に気になる「その当時の天皇の有り様」について、新しい視野を広げてくれる。

 ちなみに、この「正統(しょうとう)」概念は、徳川将軍家内の征夷大将軍位の継承においても、同様な感覚があったのではないだろうか。例えば、別書「幕末の将軍」の中で、第15代将軍・慶喜の、徳川将軍というか、吉宗以降の将軍位継承者との血統上の特異性が論じられている。一橋派の慶喜が、家格としては御三卿として形式的には将軍家に近い人物ではあるが、血統としては、水戸徳川家の流れであり、吉宗の血統は引いていない。一方、14代将軍・家茂は、家格としては御三卿よりは将軍家より遠い御三家の流れでありながら、大御所11代・家斉の孫という吉宗の血統の濃い人物であった。この点こそが南紀派の「正統」の論拠だった。
 とすると、この南紀派と一橋派の対立は、吉宗を「祖」とする「正統(しょうとう)」概念によって、(とりあえずの)決着をつけたということなのかもしれない。
 
本書で展開される「正統(しょうとう)」概念は、結構長く日本の政治を拘束したものなかもしれないという意味で、そこを一点突破で指摘・解説する本書は、とても興味深い一書だと思う。

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