紙の本
高村薫という生き方
2004/10/20 15:30
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投稿者:チョビ - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直に言って、私は高村作品の正しい読者ではないと思う。延々と続く工場や機械の描写などは活字を目で追ってはいても頭に入ってこないし、そもそもごつごつした硬質な感じの文章を(決して嫌いなわけではないのだが)なかなかリズムに乗って読み進められないのだ。
にもかかわらず、私は彼女の小説を求める。それは何故かと考えてみるに、高村薫という個人の存在に強力に引きつけられるからだと気づいた。私にとって、聡明な人物といえばそれは高村薫のことであり、ミステリアスな女性といえば(ローレン・バコールや黒木瞳ではなく)高村薫であり、美しい人といえば(エリザベス・テイラーや松嶋菜々子ではなく)それもまた高村薫なのだ。
この本はエッセイ集である。通読してつくづくと感じるのは彼女の持つ感覚の真っ当さだ。凶悪事件や住宅事情などの昨今の時事ネタについて書かれた文章が新鮮に思われるのはしかし、高村さんのように冷静に考えることのできる人々の少なさを物語るのだろうか。明晰な思考力による聡明さ、どこからあのような骨太な物語を組み立てるのだろうかという謎に満ちた才能、厚化粧などで損なわれることのない心根の美しさ(付け加えるならば、見た目も好みです)…。思っていた通りのお人柄がにじみ出る文章であった。
高村ファンにはうれしいトリビアをひとつ。高村さんは「ポケットモンスター」をご覧になることがある!素敵だ…。
紙の本
大阪のようで大阪でないような…
2003/11/07 23:14
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投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の扉をめくった最初の「岸壁に立つ」というエッセイを読んで、高村 薫という作家の観察眼の鋭さに感心し、流石に作家になる人はよく物事を見ているなと思った。
この章では大阪の岸壁が発想の発端であるが、天保山からの大阪湾をめぐる遊覧船に乗れば延々と続く工場群に驚かされ、しまいには見飽きてしまうほどである。まさに海に向かって開かれている大阪を実感したものだったが、そんな風景を彷彿とさせるものだった。
各新聞社などのコラムに掲載されたエッセイをまとめたものであるが、折々の身近な話題をもとに書かれていて、著者の考え方や哲学さえ窺えるものであった。
著者が住んでいる大阪北部の千里山は幾つかの村が点在するだけの千里丘陵に開発された住宅地である。古くからの大阪の住民からは竹やぶ村とか筍村などと揶揄されたところである。
一応、大阪という地名の中に組み込まれてはいるものの、大阪とは異なる扱いを受けるところである。どちらかといえば、転勤族が好んで集まるところでもあり、そんな、大阪ではあっても古くからの大阪から一歩離れたところから語る著者の言葉は少々小高い千里丘陵からの俯瞰図である。
この中で小説の将来について語っているが、映画、テレビ、インターネットに押しやられている現状分析には鋭いものがあり、哀しい指摘であった。
転勤地であった大阪を離れて6年近くになるが、一つ丘を越せば著者の住む千里山というところに住んでいただけに、夏の暑さや春先の桜並木がありありと思い出された。
阪神タイガースの熱狂的な応援に多くの外部の方は腰がひけてしまうが、言葉ではうまく表現できないおもしろさ、歴史を感じさせるところである。そんな大阪在住の著者のエッセイは別の角度から見る日本であった。
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えっと…なんていうか…エッセイにしては難解な単語が並びすぎていて辞書をひくのがいっぱいいっぱいでした!タイトルからして判らんよ
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カテゴリとしてはエッセイに入るんだろうけれど、そんな軽い呼び方で呼べません・・・。随筆ですこれは。
高村さんの目線の鋭さ・・・感性の細やかさ・・・小説を書くべくして生まれてきた人なんだなぁって思いました。この人はきっと書かないとダメなんだと思う。
日々の何気ない処から物語を紡ぎだす能力、さらそれを文章へ昇華する表現力・・・それは高村さんの目線と物を思う力から生まれ出てきたモノなんでしょう。
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イマイチ、頷けない内容の文章ばかりだった。
著者唯一の雑文集とあったが、この著者の他の作品とクオリティがかけ離れている気がした。
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10月13日読了。高村薫が自らの視点で日常を綴ったエッセイ集。最初のうちは「作家のオバサンがこぼす日本への愚痴」が延々と繰り返されゲンナリする。物事に対する感じ方が相対的なものであるなら、自分の考えをさも価値のあるもののように人前に出したりするなよ!などとも思うのだが、この人はこの人なりに自分の考え方と、それを文章にして世に出す、という行為に対して誠実に向き合おうとしているのだな・・・とも思えてくる。最終章に収録された、小説で大阪の人間を描くことについての講演の内容は、大阪に生まれ育ち生活する作家ならではの視点・分析がこめられていて読み応えがある。
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高村薫さんのエッセイ。
著者の脳内をのぞくことができる興味深い一冊。
個人的には、やはり力いっぱい表現した作品群の文章がインパクトありすぎて、少々物足りなく感じてしまいました。
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高村薫さんの雑文集です。
いろんな事柄に関しての考察を文章にしてあるんですが、高村さんの小説を読んだときに感じる不自然さっていうのはこないだ書きましたけど、私が気づいてる部分はきちんと自分で分析して書かれてました。物書きさんなんだからそんなこと当然ていわれるかも知れませんけど、なかなか洞察力ある分析で感心しました。
正直な人ですねー。びっくりした。
予想に反してなかなかおもしろく読めました。
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エッセイ集だと知らないまま読み始めました。
うんうん、と肯けるところもあり、そうなのかーと思うところもあり。
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テレビで見かけた高村薫は、きりっと背筋が伸びていてちょっと怖いくらいの雰囲気を持っていた。で、この本の中にもそんな近寄りがたい高村薫がいました。今のところ、小説には手が伸びそうもない。
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実家で夜中に読むのに母の本棚から借用というか以前に貸したのを取り返し読む(苦笑) 気になった章を目次から抜き読みというところ。
本日は「終戦記念日に」をチョイス。
長編の推理小説家である女性作家の随筆。小説と同じく日本語への執着が強く、執拗な文体である。高村薫に短文を書かせること自体の好き嫌いは分かれるか。。。背骨にあるところの思想に共感が持っていたが、以前読んだ時より批判的な自分もおり・・・うむ、★4。昔より大人になったか、自分。。。 こうして人は大人になるのね。
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うーん・・・正直とっても読みづらい。柔らかいエッセイに慣れすぎている自分を痛感。時々面白く感じるところもあるんですが。
新聞や雑誌への寄稿文が多いから、すごく話題が偏ってしまってるんですよね。エッセイ集用に書いてればきっともっと話題を散らしたんでしょうけど。
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新聞、その他諸々に掲載されたエッセイといってよいようなもの。
第三部の「仕事の風景」は、色々な職業の方の一日を切り取ったものだったけど、高村薫ワールドになってました。
第五部の住宅、それに付随するものは高村先生自身の考え方の根底を覗き見た感じがしました。
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小説家の著者が、現代の日本社会に見られるさまざまな問題について語ったエッセイ集です。
どのようなテーマを論じる場合にも、いつも現実と著者自身が語りうる言葉との距離を測定しながら語っているような印象を受けます。小説家の言葉というのは、こうした状況との絶え間ない対話の中から紡ぎだされていくのかなあ、と感じました。
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その時代に即したエッセイもあるので、現在では、かなり意見が変わっているだろう部分もあるが、作者の小説を読む時の一助になるエッセイ集。