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桂米朝コレクション 上方落語 5 怪異霊験(ちくま文庫)

  • 出版社:筑摩書房
  • レーベル:ちくま文庫
  • サイズ:15cm/302p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-480-03823-X

桂米朝コレクション 上方落語 5 怪異霊験 (ちくま文庫)

桂 米朝 (著)

  • 全体の評価 31件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:92426pt
  • 発行年月:2003.4
  • 発送可能日:1~3日
  • 文庫

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猫の忠信 7-38
仔猫 39-62
狸の化寺 63-86

ユーザーレビュー- 「桂米朝コレクション 上方落語 5 怪異霊験」

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/05/05 18:51

「籠釣瓶」エピソード1

投稿者:松井高志(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 芝居で知られる「籠釣瓶」(佐野次郎左衛門の「吉原百人斬り」)は、現在、もっぱら元の話の一部だけが舞台で演じられている。醜い顔だが実直な野州のお大尽・次郎左衛門が、江戸の花魁に一目で惚れて財産をつぎ込み、さんざんうちこんだあげく、人前で愛想づかしをされてとうとうキレ、花魁を妖刀・村正(の名が「籠釣瓶」である。「水も溜まらぬ」という洒落である)で殺害し、更に吉原で多くの人を殺傷するというものだが、芝居では、そこまでのいきさつが分からない。次郎左衛門がなぜそのような醜い容貌に生まれついたのか、なぜ村正などを所持しているのか、謎のまま観客は無理心中劇のようなものを観ることになる。
 花魁道中と、胡弓を伴奏にした愛想づかしがこの芝居の見せ場ではあるが、それではどうも物足りない、という欲張りな私のような客は、一体この話の前半はどうなっているんだ、と、台本や原作を探して古本屋をさまようはめになる。河竹新七による全編の台本は「日本戯曲全集」にあり、また、ベースになった実録は「近世実録全書」の6巻目に収められている。これで概ねこの事件のあらましは分かる。だが一方、講談ではこの話がもっと複雑なプロットで読まれており、これはなかなか活字で読むことが難しい。
 講談版のこの話の前半のハイライトシーンとされるのが、「お紺殺し」と呼ばれる場面で、これは時々抜き読みされている。これを地噺として落語の怪談に持ち込み、舞台を上方に移し替えたのが「怪談市川堤」であり、それならばこの米朝師の文庫本で手軽に堪能できる。
 根が放蕩無頼な若者・次郎吉の博打と女遍歴、その末に殺した女の幽霊に祟られて死ぬのだが、彼の悪事がやがて子に報いるであろうことがなんとなく暗示されて終わる。その子次郎作が、「籠釣瓶」でいうと次郎左衛門なのである。筋だけを追って淡々と読んではなんにもならない。米朝師の声を創造しながらゆっくり、じっくり味わうべき一編であろう。

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