紙の本
将来に向けた可能性
2003/06/29 09:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:豆鉄砲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公である大江朔は、10歳の誕生日を迎えたその日、川原砂緒というクラスメートの少女と「はじめてのデート」をする。デートを堪能した帰り道、公園のベンチで二人は将来について考え、未来に向けた<ある約束>を誓う。
彼女と別れ、朔は今日の出来事を夢うつろに考えるまま、家で待っている母親の手料理、彼女が見せた笑顔、そんな何気ないことを思い、頭の中から響いてくる<眠りをささやく声>に耳を傾け、闇の眠りへと落ちていく。
眠りから覚めた朔に待っていた現実は、七年の時を超えた未来だった。
10歳の体のまま7年後の世界に降り立った朔。その世界に存在する人たちはみな、七年もの成長を遂げていた。いくばくかの時間を超えた少年が経験する苦悩、彼女との約束の結末、たどり着いた世界の「答え」とはいったい何だったのだろうか。
やさしさに満ちた文章が心に響く。作中に登場する弟、医者、そして彼女etc……、どの人物たちも「大江朔という人間の将来性」を見捨てようとはしない。だからこそ、思い悩む者の心の葛藤が胸を打つ。
作者が見せようとする世界は、丹念に描いた青春の輝きを文章に込め、爽快な気分かもし出し、躍動させ、沈んだ心を活気づける。
最終章「きみを守るためにぼくは夢をみる」の中でみせる少年少女の決断は、ひとつの形でしかない。大人に近づこうとする一歩を踏みこんだ成長のプレリュード。作者が伝えようとした「勇気」を受け止めてほしい。
小説は、読んでみたい! と思うことが前提にあって、始めて成立するものだと思う。そういった意味で、本書「きみのため……」はイラストのやさしさが胸を打ち、この一冊を書店で手に取ることに成功している。もちろん「児童書にありがちな「<楽しさ>を堪能する」という文体が大きなネックなっていることも。
家族全員で楽しめる作品としてオススメ。
社会性などの小難しいことを考えないで、ただ文中に広がっている恋愛だけを楽しめばいい。それ以上のことは何もいらないから。
紙の本
著者コメント
2003/04/24 11:28
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投稿者:白倉由美 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『君を守るためにぼくは夢をみる』について
この物語は、私が初めて書いた児童文学です。
こどもの頃から、本が大好きでした。学校から帰ると、すぐ児童館にいって、いろんな本を読みました。小学校の一年生から、六年生までの長い長い間です。いろんな色が踊ってる絵本や、ファンタジー、童話など、毎日、胸をわくわくさせて、本を開いていました。
そんな気持ちを、この本を読んでくれるあなたが持ってくれたらいいな、というのが、今の正直な気持ちです。
この本を出版するうえで、いろいろとお手数をかけてしまった講談社の阿部薫さま、それにすてきな、夏の匂いのいっぱいするイラストをかいてくださった、新海誠さまにとても感謝しています。
ありがとうございました。
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高校の図書館司書の先生に薦めていただいて読んだ本。
あたしが活字嫌いなの知ってたのかなぁ…とても読みやすかったです。
朔はある日突然消えてしまう。そして戻ってきたと思ったらそこは…7年後の世界。しかし朔は10歳のままで…。
初恋の少女は17歳。
朔の落っことしてしまった時間はどこへ?
そして不思議な恋の始まり。
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『ほしのこえ』の新海誠氏つながりで、気になる一冊。
著者の白倉由美氏は『グレーテルの記憶』『おおきくなりません』の著者でもある。これも関連で気になる。
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図書館で借りて、あまりの好きさに買いに走った1冊です。イラストに惹かれただけだったけど、それだけじゃない、美しい文章で綴られる物語。
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小学5年生の姿のまま7年の時が過ぎてしまった朔。大好き彼女は自分よりも背が高く、ずっと大人だ…。とてもとてもピュアなラブ・ストーリーです。「世界の中心で…」に通じるところがあるかな、主人公の名前も朔だし。
きっと、10代始めの頃に読めばもっと感動が大きかったんだろうと思う本でした。
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この表紙を見た瞬間【読もう!】という威力が沸いてきました。思っていた通り、キャラクターや話のすべてが好きです。とくに主人公の朔くんの外見とか、私の理想そのままで最高の一冊だと思います。是非映画化してほしいです。オススメ度は高い!
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恋愛ファンタジー小説。文字が詰まってる割にはテンポ良く読めるので
個人的には、携帯小説よりもこちらを推奨したいです。途中に挿絵はありませんが・・・。
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本当にこれは児童書とよべるのか??っとうたがう作品だった。
そして、主人公が10歳という設定だが、10歳というリアル感が無い。
10歳でこんなことが話せたり、考えたりできるのだろうかとうたがってしまった。
また、ストーリーの終わりが、なんとなく物足りないというか
曖昧な感じで、後味があまりよろしくない感じがしました。
全体的には、キレイにまとまっているし、読み易いんですけどね。
それに、可愛らしいラブストーリーって感じがしました。
この作品は、表紙の新海誠さんの絵に引かれて読んでみました。
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第1章を読んだときは、10歳のナイトみたいな少年のデート(しかも相手が、あの川原 砂緒ですよ!!)ということで、若干、
けっ!
とか思いました。
でも、2章からが、せつない。自分だけが7年間という時間をなくしてしまうのです。理屈は、一切なし(笑)
今までの白倉作品、大塚作品とも、リンクしいて−−というか、名前が同じだけで生い立ちとかは全然違うわけですが−−そうか、最近は、貴生とはつきあってないのか、あんまりしあわせそうじゃなかったもんな……とか、公彦、やっぱり大きくなったら、狂気を抱えてしまうのかとか、思ってしまいます。
まあ、そういう読み方じゃなくて、そういう名前の俳優さんが、その役をやっているという、手塚 治虫や、獸木 野生のスターシステムみたいなものだと思ってみるのが正しいんだと思います。
というか、もっと1つずつみるのが、もっと正しい読み方で、こういう読み方は、まんまと罠にはまっているのかも……。
砂緒ちゃんがねぇ、主人公の朔の一人称なのでよけいにということもありますが、砂緒ちゃんの気持ちが、見えてこないんですよ。
めちゃくちゃ純粋なまま7年間を過ごしたんだと思うけれど、公彦と一緒にいることで、何か感じるところはなかったのかとか……。
ある意味、本当に永遠の少女です。
一貫して、白倉 由美のテーマは、「大人になる」ということだった気がするので、児童文学という選択肢はありかなぁと思います。
ただ、他の児童文学と同じく、本当にその言葉が、子どもに届くかというと……難しいかも。
あぁでも、1人でも届けば、それはそれで意味のあることなのかも。
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読んでいて児童文学だということを忘れてしまいました。
これ、児童文学じゃなくてもいけると思います。
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<内容>一夜にして7年の歳月が流れ、少女は美しい17歳に、しかし、少年は10歳のままで…それは、不思議な恋のはじまり。児童書に初挑戦の白倉由美と、アニメ界の新星・新海誠の名コラボレーション。
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人生初めてのデートの日。
ふと目が覚めると、そこは7年後の世界だった。
設定がすごく好みで読んでみた。
文体は、小学生向けという感じで軽め。
結局ハッピーエンドでよかったけれども、結局眠り病の原因はなんだったのか。
声が聞こえて眠ったんだったが、声の主についてとか、全く触れられておらず、ちょっともやもや。
いい話ではあった。
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10歳の誕生日。初めてのデートをした帰り道、一夜で7年の歳月が流れ相手の少女は17歳に。でも自分は10歳のままで…あとがきを読んでビックリしたが、これ児童文学らしい。
砂緒ちゃんが7年も朔を待っていたのは、大人になりたくなかったからなんだろう。でも10歳の朔と17歳の砂緒はいっしょに大人になることを決意する。
7年の歳月を飛び越えてしまった原因は明かされなかったけど面白い。最後の背伸びのキスが素敵だった。切なくて、ちょっと甘い話。
ただ2人の会話が10歳と思えないのと、同級生だった男子が10歳に絡むのはいくらなんでも…微妙。
でも三木・モトユキ・エリクソン先生が登場したのでいいかw
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新海誠と聞いて読んだのですが、著者ではなく絵の方だったんですね。
勘違いで読んだ割には内容もとてもよかったです。
楽しかったとかそういうわけではなくただひたすらに切なかった。
あまりの切なさに結末まで読まないともやもやしてしまい、ずっと最後まで読みふけっていました。
結末をしっかり最後まで書かない作風が少し新海誠さんとにているようなきがしました。