- 出版社:新潮社
- サイズ:16cm/475p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-220214-5
いい人になる方法 (新潮文庫)
- 全体の評価
(1件のユーザーレビュー)
- あなたの評価
この商品を評価して本棚に反映
評価しました! ×
- 税込価格:780円(22pt)
- 発行年月:2003.6
- 発送可能日:購入できません
- 本 文庫
- 今なら本も電子書籍も全て【ポイント3倍】!!
- hontoポイントスタート記念!文庫もコミックも電子書籍もCDもDVDも全てhontoポイントが3倍!
ユーザーレビュー- 「いい人になる方法」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2003/07/16 21:21
ドタバタやるしかないんです
投稿者:深爪(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニック・ホーンビー、待望の小説第3作。相変わらずハードカバーじゃなくて文庫で出てます。ま、その方がありがたいんですけど。
あまたの書評によれば、どうやら女性を主人公にしている点で作風に変化が見られるような評判なので、ちょっと心配しながら読んだんですが、読了してみると、なんだ相変わらずのホーンビー節じゃん、って感じでした。
確かにシリアスな話です。ストーリーは、離婚の危機を迎えた夫婦がどうにか持ちこたえようとしている最中、夫がひょんなことから善行に目覚め人が変わり、振り回されてドタバタしているうちに家庭崩壊寸前…ってところで、読んでいてぱあっと明るい気持ちになることはあまりないし、笑える部分もいつもより少ないです。おまけにちょっと長いし、前半部、夫が善行に目覚めるまでは重たい感じがするんですけど、最後は(カタルシスは薄いですが)どうにか納得できる結び方です。
「いい人」「罪悪感」あたりをキーワードに、要するに人はどう生きるべきかっていう話です。当然ながら答えなんて見つかりませんけどね。
私はまだ結婚20年にはほど遠いんですが、でも同じく家庭を持つ立場として、この夫婦の迎えた危機については身につまされる思いがします。家庭を持つということは、なんだかんだでいろんな債務が増えつづけ(現実の借金はしてないですけど)、それの返済で手一杯って感じです。夫婦ってのは知らずしらずのうちに危機を迎えていても何も不思議でない、そういう雰囲気は常に孕んだものだいう実感もあります。この話のようにドタバタやりながら、どうにかこうにか道を探していくしかないんですよね。でもその道もポール・マッカートニーがかつて歌ったように、ホントに「長くて曲がりくねった道」なんですよね。
ホーンビーの上手いところは、等身大の登場人物により、ちょっとクレイジーだけどでも誰にでも起こりうる出来事を描き、もしこういうことになったらこう考えるだろうな、こうするだろうなという部分を、実に無理なく、そしてフェアに、ゆえに共感できる描き方をするところでしょう。
ポップカルチャーの固有名詞をふんだんに登場させることについては、こういう時代にこういう文化に影響されて暮らしているがゆえに、こういう考え方、振る舞いをして然るべき、というメッセージ性の潜在を強く感じます。そのあたりが本国で絶大な支持を受けている所以ではないでしょうか。
「いいこと」「正しいこと」ってのは、全否定できないんですよね。そのへんを巧みに織り込んだストーリー展開、流石と思わせます。
ああでもないこうでもないとドタバタやっているうちに、いやでも理想と現実の距離は縮められていきます。泣く泣く縮めつつ、現実に限りなく近いどこかでどうにかこうにか妥協して居場所を見つけようとすること、それがいわゆる「生き方」ってことなんでしょう。
でもこれを読んだら少なくとも、妥協がどんな形の妥協だったにせよ、それを恥じる必要はない。そういう気分にさせられます。
というわけで独身の方にはあまりお勧めしたくない本です。読むならそれなりの覚悟をして読みましょう。







