聖ペテロ祭殺人事件 (光文社文庫 修道士カドフェル)
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- 税込価格:620円(17pt)
- 発行年月:2003.7
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ユーザーレビュー- 「聖ペテロ祭殺人事件」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/04/06 22:22
男性陣もしっかり!
投稿者:栗太郎(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のエリス・ピーターズさんが、カドフェルシリーズを世に送り出したのは、60歳を過ぎてからでした。「聖ペテロ祭殺人事件」は68歳頃の作品です。知的でキュートな、愛すべきおばあちゃまだったのでしょう。そんなおばあちゃまだからこそ書けた作品なのだと、カドフェルシリーズを読むたび思います。
このシリーズ、まず老人が強い! 主人公の修道士カドフェルの知力、体力、気力とも、現代日本のへなちょこ成人男子をはるかに凌駕しています。そして女性が格好良い! これも現代日本の(以下省略)。
各話に登場する女性たちは、みな自分の頭で考え、行動し、人生を選びます。物語の舞台が十二世紀半ばのイングランドであることを考えると、凄いことです。家長が絶対的な権力を持ち、女性は結婚相手さえ自らの意思で選ぶことは難しかった時代です。家庭の主婦として鍵を預かることが精一杯の独立で、それだけに、婚期を逃した老嬢や、寡婦、年老いて嫁に主婦の座を明け渡した姑などの立場は非常に不安定で、心もとないものでした。
「女、三界に家なし」ではないですが、まさに父や夫、息子という男たちに生き方を定められてしまう存在。それでも、カドフェルシリーズに登場する女性たちは輝いています。
中でも、本書のヒロイン、エンマはシリーズで三本の指に入るほど、私のお気に入りです。彼女は、裕福な商人トマスの姪ですが、物語の最初の方でトマスは何者かに殺害されてしまいます。彼が隠し持っていた「手紙」の行方を巡って、第二の殺人が起こり、エンマの身にも危険が……。わずか三日間の祭を舞台に、陰謀が駆け巡る、シリーズの中でもスリリングな展開の一作です。
物語のクライマックスでエンマが取った行動。彼女の強い意志の力と決断力、勇気には、目を見張ります。自分が係ることになった陰謀とその結末について、エンマは恋人にすら真実を隠し通します。ただ一人、カドフェルだけに想いを打ち明けて。
老人が元気で、女性が賢明。
それは、エリス・ピーターズの願いであり、期待だったのでしょう。体が思いどおりに動かなくなっても、環境が自由を阻んでも、自分の行動や生き方は自分で決める。私も見習わねば、と思います。
その他おおぜいの男たちが今一つの中、ラストで粋な計らいをみせたラドルファス院長にも一票! な一作でした。







