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紙の本
思い出のマーニー 新版 上 (岩波少年文庫)
養い親のもとを離れ、海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニ...
思い出のマーニー 新版 上 (岩波少年文庫)
思い出のマーニー 上
紙の本 |
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宮崎駿監督が選ぶ少年文庫セット (岩波少年文庫) 56巻セット
- 税込価格:46,706円(424pt)
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商品説明
養い親のもとを離れ、海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。新版。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 1 アンナ
- 2 ペグおじさんとペグおばさん
- 3 舟つき場
- 4 古いやしき
- 5 きままなくらし
著者紹介
ジョーン・ロビンソン
- 略歴
- 〈ジョーン・ロビンソン〉1910〜88年。イギリス生まれ。チェルシー・イラストレーター・スタジオで学び、やがて子どものためのお話を書きはじめた。著書に「くまのテディ・ロビンソン」など。
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紙の本
10代、20代、30代で、三度読み返した一冊
2008/11/30 22:23
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女時代に私の本好きを決定づけた本が3冊ある。
いずれも人生においてはじめてできた親友が薦めてくれたものだった。
『モモ』、『はてしない物語』そして、この『思い出のマーニー』である。
なんと言われて貸してもらったんだったか正確なところは記憶していない。
たしか、きっとはまると思う・・・だったような気がする。
あるいは、主人公が私に似ているとはっきり言われたのかもしれない。
そして、案の定、見事に、はまった。
この本を最初に読んだのが11歳の頃、
そして、大学の児童室で再読したのが22歳、
そして、やっと本を買ったのが先日。
10代、20代、30代と3回読んだことになる。
そして、今は、英語のブッククラブで借りてきた
原書"When Marnie was there"にも挑戦中である。
この本とはずいぶんと付き合いが長くなったものである。
主人公のアンナは、孤児である。
実の母親も祖母も亡くなってしまい、
プレンストン夫妻に育てられている。
アンナは「おばちゃん」が嫌いなわけではないが、
うまく愛情を表現できないタイプの女の子。
学校でも、できないわけではないのにやろうとさえしない
態度のことを注意されてばかりいる。
人とは距離をとっていたいがために、
「普通の顔」をしてやり過ごす。
心にある秘密は、「おばちゃん」が養育費をもらって
自分を育てていることをとっくに知っているのに、
それを自分に隠していることが許せないこと。
彼女を誘う友達は誰も居ない。
しばらくは学校を休み、転地のために訪れた海辺の村、ノーフォークで、
アンナはマーニーと出会う。
はじめての友達ができたアンナは、少しずつ変わっていくのだが・・・。
ある日マーニーは、無人のさびしい風車小屋にアンナを置き去りにして、
エドワードとともに先に去っていってしまう。
アンナはなかなかマーニーを許せなかった。
ところが、ある日、マーニーは屋敷から去ることになり、
ふたりはもう会えないことが分かる。
そのときアンナは風車小屋先に行ってしまったマーニーを
許してあげることができた。
そのあとアンナとマーニーは会うことができなかった。
だが、ここで許したということは非常に象徴的な
大きな出来事だったのである。
さて、ここでなぜこの許しが象徴的で大きな出来事だったのか
一気にオチまで持ち込みたいところなのだが、
答えを言えないがために、これ以上は語れない。
マーニーがアンナにとってどういう存在だったのかを知ったときは、
きっと私がここに書いた意味を分かってくださるだろうと思う。
時間は、その人がそのように認識しているときが「今」なのだ。
一期一会であるかもしれないから、
許しのタイミングは逃してはいけないのだとだけは言っておこう。
紙の本
少女同士の心の交流を描いた傑作。
2009/12/29 22:48
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:marekuro - この投稿者のレビュー一覧を見る
本好きの友人からのおすすめで読みました。
結論から述べると、非常に面白い作品でした。
この手の時間軸の揺らぎがある作品は大好きだと
いうのもありますが、児童文学の範囲内でそれを
思春期の少女の心と重ね合わせているのが魅力的でも
ありました。
本書は児童文学になりますが、本来読むべき年齢で
読めなかったのが残念でなりません。
少しだけ作品の周辺事情を調べたのですが
どうやら臨床心理学者の河合隼雄氏の著書
『子どもの本を読む』でも取り上げられています。
そして、長らく絶版で入手困難な状況が続いていた
ようで、復刊を希望する書き込みがネット上に残って
ました。
奥付を見ると、ようやく復刊したのが2003年だった
ようです。
上巻におけるストーリーは以下のようになります。
************************************************
両親・祖母を幼少期に亡くし里親の所で暮らすアンナ。
とても優しくしてくれている里親だったが、アンナは
感情面で難しいものを抱えています。
ある夏。ノーフォークという所に療養に出かけることに
なりました。
滞在先の土地で“しめっ地”と“しめっ地屋敷”
というお気に入りの場所を見つけたアンナ。
そこで、アンナがしめっ地屋敷と呼んでいる所に住んでい
るマーニーという女の子と知り合い、仲良くなります。
元々が感情面に若干の問題があり、人と接するのが
苦手なアンナでしたが、マーニーに対しては
一生のお友達だと言える間柄になります。
アンナもマーニーも育った家庭環境こそ違いますが
根本にある“寂しさ”を共有することで心を通じ合わせる
ことが出来ました。
お互いがお互いに与える影響から、少しずつ心を開き
はじめるアンナとマーニーですが‥
**************************************************
上巻のストーリーはこのような流れになっています。
下巻ではびっくりする展開が待っているのですが
上巻においては、淡々とアンナの心理描写やマーニーと
の交流が描かれています。
印象的だったのは以下の場面。
アンナがサンドラという女の子と言い合いをする箇所です。
「あんたはね、あんたは、“あんたのとおりに”
見えてんのよ。やーいだ!」
(p87)
この稚拙な、あまりに稚拙な悪口に対して驚くほど
動揺するアンナ。
たいした気にも留めないで読んでいたのですが
「“あんたのとおりに”見える」
意外と深いなと思います。
アンナは非常にセルフイメージの低い女の子です。
そして心理的に感情的に問題を抱えて療養しています。
そのようなアンナにとって“あんたのとおりに”見える。
のは辛い事なのでしょう。
思春期の子どもに見られる感情のほつれ。気難しさ。
理由なき苛立ち。それらの諸々をアンナとマーニーの
それぞれが持っており、そして淡々と続いていきます。
それらに対して河合先生のように
臨床心理学的に色々と解釈を加えることも
可能でしょう。
しかし。まずは純粋に物語を楽しむことを
おすすめします。
かつて思春期だった人は当時の自分を思い出すようで
ちょっと恥ずかしいかもしれません。
評者は男性であり、アンナやマーニーの気持ち。
いわゆる思春期の少女にありがちな気持ち。を
捕らえ切れていないかもしれません。
しかし、その点を含めた上で読んでも素敵な作品でした。
なお、下巻においては上巻以上に「時間」を意識
させられるストーリーになっています。
そして、上巻における淡々としたストーリー展開が
一転して、ドラマティックなものに変わっていきます。
ちょっと調べてみると多くの方が「児童文学の傑作」
と評していますが、まさにその通りの作品だと
思います。
「何年かしたらもう一度、読み返そう」
素直にそう思える物語でした。
きっと読むたびに色々な発見や気づきが
あるのではないかと思います。
電子書籍
暖かいきもち
2020/04/30 09:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Chii - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジブリに影響されて購読。
小学生5.6年が対象と書いてあったがちょっと難しいのではないかなと感じた。でも、思い出のマーニー独特の世界観や景色のイメージなど、子供だからこそ浮かばられるものがあるのかなとも感じる。
私自身も都心から離れて田舎で暮らすイメージを持ちながら読み、なんだかあったかい気持ちになった。
下巻が楽しみ!